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オッペンハイマーのikumiのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

神妙な顔つきで「私たちは世界を壊した...」と言いながらその破壊の実態には触れず、そもそもこれはオッペンハイマーや当時の状況を描きたかったのであって原爆の映画ではないのだというスタンスはいつものアメリカ様という感じ。(日本もアジア諸国に対しては同じだけど)
今日もまた世界で戦争により多くの命が消えている瞬間、戦争そのものを周縁化したプロットでエンタメやっている限り、また同じことがいつか世界で起きるんだろうなと思う。ジェノサイドを止めるべきこの時代にこの映画を観て「世界の状況や圧力があったから仕方なかった」なんて言う人が身近にいたら軽蔑する。作品内で(主題でなくとも一応)問われた倫理観とは、皮肉だけどそういう姿勢そのものだと思う。それは時代に左右されないし、左右されてはならない。そういう意味では今こそ見るべき映画なのかもしれない。
キャストはこれ以上ないくらい豪華。でもこれで助演男優賞とったロバート・ダウニー・Jrがキーホイクァンにあの態度を取った、という後日談は最悪。

日本的な視点を取っ払っても、この先の人生で何度も観るような作品ではなかった、今が観る時かも。オッペンハイマーを描いたわりにその人間性はあまり印象に残っておらず、彼自身の葛藤も世界の手のひら返しも弱い。
学生時代にモテなかった男性が社会人になって女性にモテだした瞬間おかしくなっちゃう現象ってなに。
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