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オッペンハイマーのMyのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.6
思ったより難しくはなかった。

広告のとおり、オッピー(劇中で呼ばれるオッペンハイマーの愛称)の苦悩を重点的に描いているかと思いきや、作品の作り自体のベースには法廷劇がある(「これは裁判ではない」という台詞が繰り返しあるが、ほとんど裁判なので)。これが作品に引き込まれる要素かな、と感じた。

オッピーの苦悩は、ノーランの画と音によって、もはやそれが不幸なのか幸福なのかわからない曖昧さを帯びながら甘美な興奮を伴って映される。
実際、学術と政治において、誰もが到達できる訳でない領域に達したという悦はあったんだろうと思う。
その後、多くの人が亡くなった事に加担したという罪悪感は彼に確かにあったように思うが、彼本来の揺れやすい人物像(まさに彼の言葉で「僕は揺れたいんだ」という台詞があった!)から、優越感と罪悪感の狭間で心が揺れて見える。



今なお戦争の続くこの世界でこの作品が公開され、多くの方々の注目と評価を集めていることに深い意義を感じる。

世界中が、平和になりますように。
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