このレビューはネタバレを含みます
東日本大震災に遭ったのはなにも地元の人ばかりではなかったというのは意外な盲点だなと思った。観光や仕事であの日あの場所にたまたまいた人もいて、その人たちの家族、親しい人々はその日をリアルに体験していない。娘、恋人、友人がある日突然いなくなったという感覚。同じものを見ていないそれぞれの痛みがある筈だ。
ストーリーは結局何が言いたかったのかちょっとつかみきれなかったけど、悲しいのは自分だけだと思っていた真奈が、実際に被災した人たちに出会って他者の悲しみの深さに気づくってことだったのだろうか。親より恋人より悲しみが深いと思い込む理由が同性愛のような感情というのもわかりやすいけどちょっと短絡的だなという気はする。震災のシーンをアニメーションにしてすみれの一生と大地に芽吹く再生を見せ真奈の気持ちに整理がついたことを表現していてそこは上手い見せ方だった。
ラストに30分ぐらいすみれ側から見たネタバレ的な映像が続くのはいいとして、前に見た映像をもう一回長々と見せられるのは正直ジリジリした。もう少し編集に工夫がほしい。