さわらさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

さわら

さわら

映画(455)
ドラマ(0)
アニメ(0)

カランコエの花(2016年製作の映画)

3.5

『カランコエの花』
カランコエの花言葉「①幸福を告げる②たくさんの小さな思い出③あなたを守る④おおらかな心」

無意識な優しさにより、LGBTが傷つき、それを発したストレートも同様に傷つく。小さなたく
>>続きを読む

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)

4.5

「なにものでもない自分」が、モネやゴッホのように特別な存在になりたくて、大事を起こそうとする。誰でも一度は通る通過儀礼のようなもので、いくらその計画が杜撰で愚かなものであっても、どうしてそれを指さして>>続きを読む

放課後ソーダ日和-特別版-(2018年製作の映画)

3.5

「決められない進路」という典型的なプレートの上を流れる、薄い人間関係と悩み。安易だ。
それでもこの映画が心離さないのは、どうしても戻れない惨めさと、メロンソーダの美しいフォルム。ストーリーなんて少し足
>>続きを読む

沈没家族 劇場版(2018年製作の映画)

4.0

個性的すぎる両親と同居人。誰もが、土くんを語るときの目が優しくよい思い出のようになっているが美しい。常々思うに、家族は過ごした時間に依拠するのではなく、同じ釜の飯を食った経験にこそ大切なものが潜んでい>>続きを読む

映画 賭ケグルイ(2019年製作の映画)

2.5

かわいい女の子たちが躊躇うことなく舌打ちする映画だった。特にヴィレッジ幹部役の福田遥・生徒会役員の中村ゆりか、両氏が舌打ちっぷりがすごい。ドラマ版では隠していた、英勉自身の抑えきれない性癖が映画で滲み>>続きを読む

キングダム(2019年製作の映画)

2.0

全然ダメだった。
漫画ならそう感じはしなかったのに、映画だと童・信がうるさすぎる。漫画だから許されるところを垣間見た。

そもそも、名ばかりの8万人、実働200人ぐらいの兵を50人で打ち破ったところで
>>続きを読む

21世紀の女の子(2018年製作の映画)

3.0

好きだったベスト3に記すと、
①山戸結希「離ればなれの花たちへ」
②松本花奈「愛はどこにも消えない」
③枝優花「恋愛乾燥剤」

同じモチーフとはいえ、玉石混淆の宝石箱を開いてしまった高揚感と少しの躊躇
>>続きを読む

ラブ&ポップ(1998年製作の映画)

4.5

いつ、どこで、何のために買ったのか忘れたが、久々に観るとやっぱ楽しい。「怪物にデジタルカメラ渡したら、こんな面白いの撮れました」ムービー。

なんといってもエンディングが素晴らしい!
汚くつまらない日
>>続きを読む

月夜釜合戦(2018年製作の映画)

5.0

素晴らしかった!
川瀬+渋川という超個性派俳優に負けず劣らず埋もれず、むちゃくちゃ強度高めな女優・太田直里さんが良かった。いつも不機嫌そうにタバコ吸ってるから、“あの”瞬間の笑みが映え、墓場でのダンス
>>続きを読む

暴(や)る!(1978年製作の映画)

4.0

色白・美白と言われてるなか、八城夏子の日焼けがすごくよかった。

砂糖に群がるアリの如く、八城夏子に群がるレイプ魔たち。善意をみせる主人公を、森でホテルでガソリンスタンドで病院で犯す。まさに不条理劇だ
>>続きを読む

インフェルノ 蹂躙(1997年製作の映画)

5.0

都会であれ田舎であれ、どこか壁一枚隔てたところに「壊れた人間」「歪んだ空間」が存在していて、そういう感覚はすごく恐ろしいし不気味だ。当たり前のように盗撮・盗聴をし、人を殺し、人肉を食う(食わせる)。あ>>続きを読む

A2 完全版(2015年製作の映画)

5.0

完全版は初見。
森さんこんなに怒ってたっけと思った。アレフ支部・右翼団体・住民会議。各地獄めぐりを経てのアレフ上層部・荒木浩らの振る舞いに怒りが禁じ得なかったのかもしれない。劇場で観ないとわからないこ
>>続きを読む

八つ墓村(1977年製作の映画)

4.5

初見。

田舎の嫌味が濃縮された展開を見せつつも、途中からは日本初(?)の鍾乳洞ムービー、そして男女愛憎劇の一面をも見せる。めくるめく展開、その前に本来目立つべき渥美清演じる金田一耕助の存在がほぼ空気
>>続きを読む

アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

4.5

本来クソめんどくさいであろう入り組んだストーリーが、ルッソ兄弟らによる見事すぎる交通整理で長尺ながらそう長く感じさせない。すげー。大岡越前もびっくりな名裁きだった(例えが古い)。

僕は観てて、各マー
>>続きを読む

眠る村(2019年製作の映画)

5.0

これほんとすごい。
安心安定の東海テレビ枠!

司法の保身に走る裁判所、家族の名誉回復を目指す死刑囚二世、共同体の維持のため奥西犯人説を信じて疑わない村民たち。三様の正義、現代日本の縮図である。
新元
>>続きを読む

ハロウィン(2018年製作の映画)

3.5

なにが面白いって、アメリカ人のクローゼットに対する潜在的な恐怖心だよな。だいぶ執着してる(日本人なら個室トイレなのだろうかと思ったが、本作でもボコボコに襲われるから日本特有でもなさそうだ)。
怖さの源
>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

5.0

たいへん素晴らしい!!

トランプ政権下で分断深める不寛容な社会を、映画を通じて深く憂いている。「憎しみに居場所はない」というメッセージ、しかと受け取った!いつ・どこで・誰のために自分は拳を捧げるのか
>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.5

特筆すべきは仲原くん。基本的にイイヤツなんだけど、買い出しやラーメン屋でエビスのビール買ったり頼んだりするあたり、「そういうとこだぞ」と思ったり思わなかったり。とはいえ、深川麻衣さん演じる葉子の歯に衣>>続きを読む

キャプテン・マーベル(2019年製作の映画)

5.0

最近の“ヒーロー誕”が嫌だったのは人間臭すぎる作品が多いところで、評判のいい『スパイダーバース』も親子間の悩みがたいへんノイズだった。

そんななか、本作の素晴らしさたるや!むちゃくちゃ面白かった!ど
>>続きを読む

岬の兄妹(2018年製作の映画)

4.0

対象にあくまで前のめりで、汚くとも残酷でも決して目を逸らさないから、下品にならない。真摯だ、それ故に映画内で唯一カメラが退く、あの海岸で泣いてしまう。

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

3.5

世の中にいる人間で一番厄介なのは「本気でバカをする天才」であって、この映画の監督のみならず、関わった人全員がそういうタイプの人間なのだろうと容易に思われ、ほんとハリウッドはすごい。

だからといって、
>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

3.0

ほのぼのいい話ではあった。

が、あまりに薄く配慮の欠ける映画だ。人種と性別という2面のマイノリティを描くも、少なくとも性差に関しては全く昇華しきれず映画的快感は感じられない。サウナのくだりは一体…。
>>続きを読む

ビール・ストリートの恋人たち(2018年製作の映画)

4.0

幼すぎる男女の前に立ちはだかる、あまりに非常で残酷な現実。肩身せまく、胸を張って街を歩くことすら許されない1970年代アメリカ。
とはいえ全てが捨てたもんばかりじゃなくて、例えば近所の商店のおばちゃん
>>続きを読む

盆唄(2018年製作の映画)

4.0

帰宅困難地域である双葉町と、同じくなかなか帰還できないハワイ日系移民の人たち。場所も時も言語も超え、共鳴する姿はなんとも感慨深い。
翻って、帰る場所を易くイメージできる圧倒的多数の我々の幸福を静かに噛
>>続きを読む

世界から猫が消えたなら(2015年製作の映画)

2.0

函館旅行に控えて①。

あまりに人物像が紋切り型すぎやしませんか。特に濱田岳演じる映画オタク。友達少なく教室の端でキネ旬を読み、バイトはレンタルショップ。職場の女性含め、コミュニケーション取ることが苦
>>続きを読む

ファースト・マン(2018年製作の映画)

5.0

怖楽しかった。
いくつもの犠牲と葬儀を乗り越えて、より一層死の世界に魅了されていく狂気な男。素直な美談でない。地球側から見える月とは到底かけ離れた、起伏激しい月の表面はまさに“あの世”そのもの。きっと
>>続きを読む

サスペリア(2018年製作の映画)

4.0

戦争の傷痕とテロの恐怖に塗れる70年代のベルリンを舞台に、ダンサーと魔女軍団、そして博士と別れたその妻たちの人間模様がとてつもなく薄っぺらに描かれる。ルカ・グァダニーノ自身、人間関係や魔女によっぽど興>>続きを読む

アンビリーバブル・トゥルース(1989年製作の映画)

5.0

初ハートリーだった。まぎれもなく傑作。
「愛した男が友人の仇」「愛娘の許されない恋」など、いくらでもしみったれた展開ができなくもないのに、こんなにもカラッと後腐れなく、ほんとに気持ちいい映画だ。

>>続きを読む

ポストマン・ブルース(1997年製作の映画)

3.0

大杉蓮特集にて。が、蓮さんに集中できず。

映画に罪はないのだが、イキってる堤真一が苦手すぎた。始まって30分で食傷を起こし、それでも耐え忍んで、終わるかと思わせる雰囲気からつづく20分ほどの展開に気
>>続きを読む

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)

4.5

趣里の大きな怪演を支える、菅田将暉演じる津奈木のより大きく静かな佇まいが素晴らしかった。

生きているだけでしんどいこの世界の片隅で、めんどくさい男と、めんどくさい女が、めんどくさい人に振り回されなが
>>続きを読む

HANA-BI(1997年製作の映画)

4.5

押しつぶされそうな罪悪感と贖罪の日々。

余命短い妻のために自らを道化と化し、目の前の人を笑わせるよう努めることがいかに尊いか。トランプのカード当て、木製パズル、寺の鐘楼。花火のように一瞬の笑みのため
>>続きを読む

泣き虫しょったんの奇跡(2018年製作の映画)

4.0

大崎善生『将棋の子』を読んでから、奨励会の独特のシステムはある程度知ってるし、瀬川晶司六段のことはもちろん知っていて、ゴール地点はわかりきっていながらも感動するのは普遍性のある話だからだろう。

つま
>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

5.0

家(部屋)が好きです。バクシーシ山下『東京漂流 あなたのお部屋で犯らせてもらえませんか?』もテレビ東京『家、ついて行ってイイですか?』も大好物。ホラーだけれども、中村義洋『残穢 住んではいけない部屋』>>続きを読む

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)

1.5

単なる同情や支援が人を幸せにするのではなく、社会的な役割を受け、生きるべき場所を与えられているという実感こそが人生を裏付ける。

とはいえ、あまりに非常識な客たちだ。誰をも受け入れる花の湯温泉という、
>>続きを読む

ヴェノム(2018年製作の映画)

2.5

奥歯にほうれん草が詰まったような映画だった。なんのために飛行船に乗るのか、犬でもできた“共生”に研究員やホームレスはなぜ耐えられないのか、なぜ突然“ヤツ”は地球に残りたくなったのか。そもそも悪とはなん>>続きを読む

テルマ(2017年製作の映画)

4.5

「育ててもらった」でなく、あくまで「育てさせてやった」という姿勢の映画。過剰なまでの父性や家族信仰、そしてキリスト。凍った湖面の下にいる魚のように押さえつけられた欲望を、恋する乙女は徐々に解放していく>>続きを読む