ろくすそるすさんの映画レビュー・感想・評価

ろくすそるす

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希望の街(1991年製作の映画)

4.8

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 映画の中に一つの世界を構築する。その試みは、エドワード・ヤンの『牯嶺街少年殺人事件』がまさにそうであったけれど、この映画は遊び心に溢れた名作『ブラザー・フロム・アナザー・プラネット』でインディペンデ>>続きを読む

男の争い(1955年製作の映画)

5.0

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 手に汗握る男たちの頭脳戦と銃撃戦。ケイパーもののスリルとギャング・マフィア抗争劇の悲哀を一本の映画で楽しめる骨太なノワール映画の大傑作。
 序盤は、五年間ムショにいたギャング・トニー、若い妻子を持つ
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熱い賭け(1974年製作の映画)

4.5

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金貸しの息子でプロのピアニスト志望のハーヴェイ・カイテルが肩に担いだラジカセでポップソングを大音量で流しながらマフィアを巡る暴力沙汰に巻き込まれてゆく異色作『マッド・フィンガー』の監督として一部>>続きを読む

吐きだめの悪魔(1986年製作の映画)

4.5

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昔、とあるテレビ番組で故・中島らも氏が大絶賛し、エッセイなどでもよく言及していたのを思い出して、この禍々しいタイトルの映画を怖いもの観たさで手を出してみたところ、とんでもない大傑作であることがわ>>続きを読む

スウィッチブレイド・シスターズ(1975年製作の映画)

4.1

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『残虐女刑務所』やパム・グリア主演の『コフィー』、『フォークシー・ブラウン』など多種多様な映画を撮った「エクスプロイテーション界のハワード・ホークス」(Byタランティーノ)として知られるジャック>>続きを読む

クリーン、シェーブン(1993年製作の映画)

3.9

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ロッジ・ケリガン監督による異色作。独房のような精神病院を出た、パラノイアに憑かれた青年ピーターの静謐な狂気を描いていくのだが、悲鳴や会話などの音声が唐突に挿入されるため、まるで狂気の人の頭の中>>続きを読む

ジャグラー/ニューヨーク25時(1980年製作の映画)

4.0

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 「娘を返せ」ものとしては、ポール・シュレイダーの『ハードコアの夜』と同じくらい好きな一本。
 まず、冒頭シーンが秀逸。喫茶店のテラス席で、憂鬱な表情をした男が、顔を象ったパン生地の料理にケチャップの
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喜劇 特出しヒモ天国(1975年製作の映画)

5.0

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男と女の 間には
深くて暗い 川がある

誰も渡れぬ 川なれど
エンヤコラ 今夜も 舟を出す

東映映画の真骨頂!セールスマンから急遽小屋の支配人とジーンのヒモ
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SHARING(2014年製作の映画)

4.3

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新百合ケ丘のしんゆり映画祭にて、篠崎誠監督と山田キヌヲさんのトークショー付きでの鑑賞。

カート・ヴォネガットJrの『スローターハウス5』でも引用されているラインホルド・ニーバーの「ニーバ
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手紙は憶えている(2015年製作の映画)

4.1

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かつて同じアウシュビッツにいた老人ホームの友人との約束で、90歳の認知症の老人が、アウシュビッツでユダヤ人を虐殺したナチスの男を処刑しにゆく物語。監督、エゴヤンはこれをクリストファー・プラマー>>続きを読む

ホワイト・アイズ/隠れた狂気(1987年製作の映画)

3.8

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史上最も狂った異色映画の一つ。狂ったと言っても、映像やお話自体が全く支離滅裂なのではなく、画面の節々に滲み出る狂気を隠しきれないところに、この映画の凄みがある。

監督はニコラス・ローグ
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ソルジャーブルー(1970年製作の映画)

4.8

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 『アルジャーノンに花束を』の映像化作品である『まごころを君に』の監督として知られるラルフ・ネルソンによるアメリカン・ニューシネマの、そして戦争映画の大傑作。原住民を虐げる兵士たちを描いた歴史作品とし>>続きを読む

地獄曼陀羅 アシュラ(1993年製作の映画)

4.6

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 「ドゥルガーの女神の姿で復讐の女神は現れる……」

 インド映画のオールタイムベストというだけでなく、悪役が、これ以上ないくらい腹の立つ復讐映画。これほど恨みを蓄積していったリベンジ映画が他にあった
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FAKE(2016年製作の映画)

4.3

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散々語り尽くされ、そして自分としても周囲の何人かの人間には語り尽くした感はあるが、公開から早いもので2カ月も経ったので、流石に良いだろうと思い、あのラスト12分のディティール込みのネタバレでのレ>>続きを読む

狂った果実(1981年製作の映画)

4.0

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ロマンポルノの中でも本作は、ある意味で「異色中の異色」であり、実に強烈な一本だった。とりわけ、ここまで腹立たしいヒロインを生んだというだけで、日本映画のなかでもかなりのエポックメイキングと言い>>続きを読む

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

4.3

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にわかファンではあるが、それでも『僕といっしょ』や『ヒミズ』、『シガテラ』などで心を鷲掴みにされた自分としては、古谷作品の映画化というだけで、期待値が上がってしまう。2カ月くらい前に一度鑑賞し>>続きを読む

フリーク・オルランド(1981年製作の映画)

3.0

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 もっとも、狂った映画は何か、と言われると、恐らく五本指の中に絶対入ってくる、とんでも映画の本作。
 ドイツの女性監督による前衛映画なのだが、そのファッションがとっても奇抜。そして、ストーリーがヘンテ
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野蛮人たち(1972年製作の映画)

3.0

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 フォースター原作を映画化したことで高名なジェームズ・アイヴォリーの『野蛮人たち』を観た。アイヴォリーにも、そもそも興味もなければ、フォースターの熱心な読者でもない私がこのマニアックな作品を鑑賞するき>>続きを読む

ドリラー・キラー(1979年製作の映画)

3.0

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 『バッド・ルーテナント』、『天使の復讐』などの傑作多き鬼才アベル・フェラーラーの初期の作品ではあるが、なんともぶっとんでいる。いや、ぶっとんでいるどころか、余りに雑な作りなのだけれども。
 猟期犯罪
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突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録(1985年製作の映画)

4.0

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ザ・夏映画PART2!バッドチューニングでお馬鹿な内容の、青春ドタバタ&パロディの珍作。監督は、ハリウッドの奇才、ロバート・アルトマン。
 ロブスターとキング・サニー・アデが大好きなOCとスティ
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海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

 冒頭の引用「言葉多すぎるは、おのれを傷つけるものなり クレチアン・ド・トロワ」

 ザ・夏映画!何年かぶりの再鑑賞。恋愛で男を見る目がない女マリオンは十五歳のいとこポリーヌを預かり、ビーチへ休養に訪
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ブラッド・イン ブラッド・アウト(1993年製作の映画)

4.8

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あらゆるレビューサイトで高評価を誇る、「隠れた傑作」。今では、DVDが絶版となり、中古DVDが最低額でも「一万五千円」から取り引きされているカルト作。何年も前から、喉から手が出るほど欲しかったが、DV>>続きを読む

フリーウェイ/連鎖犯罪 逃げられない女(1996年製作の映画)

3.7

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オリバー・ストーン監修の映画で、「赤頭巾ちゃん」のパロディーを、売春と薬と異常犯罪者、そして糞みたいな権力に溢れた掃き溜めのような世界で作り上げたという設定がまず魅力的。
 売春をして金を稼ぐ母
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ディストラクション・ベイビーズ(2016年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

真利子哲也監督作。
監督が敬愛する鬼才漫画家・新井英樹先生から多大なる影響を受けていると知って、居ても立っても居られず鑑賞。結果、新井作品の影響を濃厚に残した、カルト作だと思った。新井
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競輪上人行状記(1963年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

隠れた名作という言葉が、とってもぴったりなベスト級の日本のトラジコメディの大傑作。脚本はなんと今村昌平、監督は後にロマンポルノの最多作品監督となる西村昭五郎で、所々で南田洋子を使った艶のある演出が冴え>>続きを読む

マルチプル・マニアックス(1970年製作の映画)

4.1

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 ゲテモノ映画の巨匠・ジョン・ウォーターズ処女長編作品。
 人殺しに取り憑かれた巨漢のゲイ、レディ・ディヴァインが見世物小屋の如き「変態ショウ」を開催している。
サドルに欲情する女、全裸でピラミッド、
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復讐鬼(1969年製作の映画)

4.2

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 若松監督の描く、暴力と性の陰惨な世界。閉鎖的な山岳地方の部落で、妹チエを農民たちに強姦された挙げ句、縄に吊され、袋叩きにあった青年が九死に一生を得て、『丑三つの村』の古尾谷雅人よろしく「皆様方よ、今>>続きを読む

パンツの穴(1984年製作の映画)

4.0

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任侠ものとアクションと艶笑話と漫画実写化の奇才・鈴木則文監督による下ネタ青春コメディの傑作。随所に「うんこ」ネタ、中学生の煩悩エロ世界、ちょっと犯罪すれすれで危険な臭いの展開がメインで展開していくのだ>>続きを読む

修羅(1971年製作の映画)

4.4

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これは暗く、やりきれない映画。一人の浪人、源五郎を芸者小万とその夫、三五郎(唐十郎)が騙し、百両という大金をむしりとる。許せぬ、と復讐に燃える源五郎は、この夫婦に協力した者どもを皆殺しにする。
 この
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ラッパー慕情(2003年製作の映画)

4.4

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再見。最近になってふと思ったことだが、昨年のベストに『ローリング』を入れた人は、この映画に不思議と惹かれるかもしれないと感じた。
 ヘタウマ系の漫画を一心不乱に書きまくって公募に落選、持ち込みに失敗し
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胎児が密猟する時(1966年製作の映画)

4.6

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再見。個人的に、若松孝二監督の最高傑作の一つ。
サディストで女嫌いの専務・丸木戸貞男(もちろんマルキ・ド・サドのパロディー)が女性社員を監禁し、身体に鞭を打つなどの暴力を振るうところからこの映
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ボーダーライン(2015年製作の映画)

4.4

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シカリオ、圧巻。
『灼熱の魂』の鬼才監督の放つ、メキシコ麻薬戦争を題材とした映画作品。凶悪事件を追ううちに、麻薬カルテルへの捜査のためメキシコに派遣されたFBI女性捜査官と彼女を支えるその相棒、メキシ
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飛ぶ夢をしばらく見ない(1990年製作の映画)

3.5

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 突然、年が若返る病気にかかった老婆と中年の営業マンとのロマンスを描く、山田太一版の『ベンジャミンバトン』とも言うべき作品。
 細川俊之演じる建築会社の営業部長田浦は、人生に空虚さを感じたのか、寿司屋
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やくざ残酷秘録 片腕切断(1976年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 監督・ナレーション・安藤昇のやくざドキュメントの怪作!
 「この映画を製作するに当り諸先輩及び諸団体の勇気ある御協力を戴き深く感謝します 安藤昇」というテロップで始まるが、この映画は、やくざの慣習を
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ショーガール(1995年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

再見。
 祝ブルーレイ発売!我らがエログロ界の大巨匠ヴァーホべンのラジー賞総なめの伝説的傑作。
 ヒッチハイクして、スーツケース丸々盗まれた一文無しのノエミは、カジノの町ラスヴェガスで、お下劣なストリ
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学校の怪談4(1999年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 かくれんぼは悲しい遊びです。という言葉は、確か寺山修司の残したものだと思うが、確かにそのとおりであると思う。なぜなら、かくれんぼでは鬼が隠れた人を見つけなければ、ゲームは終わらない。つまり、決して「>>続きを読む

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