LudovicoMedさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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レイジング・ブル(1980年製作の映画)

4.7

《スコセッシがフィルモグラフィ史上最も暴力哲学に感化されてしまった殴り合いスポーツ》

これと、『タクシードライバー』『グッドフェローズ』合わせてスコセッシの3大文脈の金字塔ってことになってる本作。ア
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

1.6

《理解し難い死を克服することで共依存の2人の世界を完結させる》

久々に全く情報の知らない作品を映画館で観た。この手のある種死者との決別をセカイ系の表現文法で大胆に魅せるタイプは大林信彦チックで好みな
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溶解人間(1977年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

《リックベイカーの職人メイク光る溶解人間》

宇宙飛行士が謎の放射能を浴びたせいで帰還すると、全身ドロドロ人間という掴みだけで素晴らしい掘り出し物。邦題の頭に"リックベイカーの"って付けた方がなお注目
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

《おばあちゃんの魂が繋げた奇跡のような私だけの秘密》

『燃ゆる女の肖像』の大評判というもの日本でもセリーヌシアマというネームバリューが広く知れ渡り、続くコンパクトな本作は柄にもなくジブリ映画のような
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中国女(1967年製作の映画)

2.9

《五月革命効果でジャーナリズムな名作バズりが急上》

ゴダール史の中でも厄介な時代の厄介な名作『中国女』はゴダールが凝り固まった毛派闘士への傾倒を『フレンチディスパッチ』ティモシーシャラメ編みたいな学
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激怒(2022年製作の映画)

3.7

《健全を強要する街の不健全、暴力という不健全は健全な怒りによる唯一の武器へと》

元映画秘宝ライターでありライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフルの名物ゲストとしても好かれていた高橋ヨシキ氏が念願
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シン・レッド・ライン(1998年製作の映画)

3.1

《シン地獄の黙示録としてのテレンスマリック戦争映画哲学》

前2作の初期から20年ブランクが空いて挑んだ戦争映画だったが流石に手の込んだ映像美の配置は職人芸になりつつ、気が遠くなりそうな全編マジックア
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デスペレート・リビング(1976年製作の映画)

3.4

《欲望の大解放とそこを牛耳る暴君陛下の街》

下品でハードコアそれでいて抱腹絶倒なジョンウォーターズ監督がまだドリームランダーズと名乗るゲテモノ映画クルー達と創り上げたヤバい初期の本作。『ピンクフラミ
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魂のジュリエッタ(1964年製作の映画)

4.7

《いでよ、フェリーニ司るマジックリアリズム》

フェリーニカラー映画時代の幕開けが『8 1/2』以降というのがなんともシンボリック。映画制作スランプの情緒をまんま作品に投影しつつも、なお人生をセレブレ
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アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター(2022年製作の映画)

3.8

《まさに未知の映像体験だった10年前、3Dは映画史の進歩か後退か?》

いよいよ13年ぶりのジェームズキャメロン最新作『アバターウェイオブウォーター』の公開が現実のものとなりますね。キャメロンは良くも
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セルビアン・フィルム(2010年製作の映画)

1.6

《トラウマ映画更新チャレンジ!》

皆さんのトラウマ映画はどんな作品?。『ジョニーは戦場へ行った』『悪魔のいけにえ』?もう2度と観たくないなんて作品がご自身にあったりなかったりするでしょうが、私はハッ
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

1.4

《このプロットオンリーは流石に無理がある》

100%A24作品だった記憶で映画館に乗り込んだらロゴがなくてあれって思ったが、A24が北米配給権を獲得と記載されており納得。
やけに小綺麗な画面はA24
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たのしい知識(1969年製作の映画)

2.4

《たのしい映像と音の解体》

ゴダールロスが辛いこんな機会だから、本作をと観たが、考えてみたら『ウイークエンド』周りの作品順番がよくわかってなくてガッツリ学生運動の雑談映画だった。しかもテレビ局用に発
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WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

3.5

《アメリカンニューシネマが忘れ去ったワンダという女性の存在》

アメリカンニューシネマ真っ只中、華やかなスタジオシステムの映画撮影から脱却するように若い世代の映画人は外へ飛び出し車を走らせ希望の薄いエ
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ウラジミールとローザ(1970年製作の映画)

3.6

《異議あり、映像で法廷を語るすなわち事件を映し出された解釈によって総括する事柄事実を害することに他ならない》

異議を却下する。そんな映画の上映は認めん!→白画面という中盤の映像論にとりあえずビックリ
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地下室のヘンな穴(2022年製作の映画)

3.5

《メリット/デメリットが両立された副作用につい手を伸ばしてしまう》

摩訶不思議な一発コント映画職人カンタンデュピューが手がけた『地下室のヘンな穴』というヘンな映画を観てきた。カンタンデュピュー映画は
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囚われの女(2000年製作の映画)

4.5

《アイズワイドシャットの面影、彼女を制覇したい男の官能ノワール》

マルセルプルーストの『失われた時を求めて』を現代的に翻訳し『めまい』ベースに再構築したシャンタルアケルマンの代表作ってことになってい
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私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

2.1

《"私"アケルマンのプライベートな時間、"彼"と"彼女"の二人の時間》

このタイトルなもんでさぞ極私映画なんだろうなと、思っていたら想像の10倍くらい監督シャンタルアケルマンが真っ裸なまでに曝け出し
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アンナの出会い(1978年製作の映画)

4.6

《シャンタルアケルマンのトラベルバカンス映画は憂鬱旅行記》

アケルマン映画の憂鬱は厳しい。ひたすら長いショットに閉じ込めた何もしない時間を通して出来事と出来事の合間にふと訪れる心に開いた無気力をキリ
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哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

《束縛VSファムファタール、の果てのラストには唖然》

ブニュエルっていうとどこ行って映画撮ってもスキャンダル醸し(およそカトリック主義者に噛みつかれたりで)仕事しづらい人って印象だったので『ビリディ
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呪詛(2022年製作の映画)

3.3

《素材はいい、アイデアも面白い、でもジャンプカット過多がなあ》

今年の夏はアジア産ホラーがアツい。『哭悲』『女神の継承』そして本作とどれも斬新なアイデアでその類いのジャンルに新展開を見せてくれた。さ
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

《そうはならんでしょ!との対峙「nope」》

もうすっかりサプライズホラーの仕掛け人として映画ファンに認知が広がったジョーダンピールであるが、今回はあらすじすらも漠然とした状態で公開に挑む異常事態で
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マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

《見たこともない映画文法、映画史が順番を間違って生み出した怪物映画》

チェコ映画界の『七人の侍』だ、とチラホラ噂を耳にした謎の歴史大作とのことだが、こりゃあトンデモない。真っ先にガイマディン『The
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エル(1952年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

《ブニュエルの投影ってマジ! 理想像を求め、縋り、病みゆく男》

厳格でどこかおどろおどろしくもある洗足式にて、美しい脚に惹かれ一目惚れに始まる本作の冒頭。この景色にまさしく主人公フランシスコの極度の
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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

1.4

《ジュラシック"ワールド"じゃなく結局"パーク"だったクリプラ三部作》

そもそもジュラシックワールドシリーズに関してはバカにしているスタンスなので、大体『ジュラシックパーク』なんてスピルバーグの93
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皆殺しの天使(1962年製作の映画)

4.2

《ダチョウ倶楽部のどうぞどうぞ無限地獄》

Mナイトシャマランにもインスピレーションを与え『オールド』にオマージュしたとインタビューされてたルイスブニュエルの超常心理モノの傑作。 シュルレアリスムの映
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ハロウィンH20(1998年製作の映画)

2.5

《映画ハロウィン祝20周年記念タイムライン》

『ハロウィン』40周年記念シリーズのタイムラインがジェイソンブラムとデヴィッドゴードングリーンの3部作でリブートされておりますが、20周年の際も祝ってジ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.6

《人生には成功と失敗が付き物? いや中途半端な私だって生き様なのよ》

アカデミー賞の国際長編映画部門で『ドライブマイカー』とバチバチ対決だったキャッチコピーみたいなタイトルの映画。それが公開されるや
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ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)

3.8

《ポンジュノ流正しくなさの基盤語る団地のドタバタ》

ポンの処女作。どこにでもあるような団地に見えて、明らかにメタファーを漂白させた団地で犬の一悶着を巡るブラックコメディであったがみんなそんなに腹に一
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女神の継承(2021年製作の映画)

4.2

《エクソシストホラー新開拓‼︎ 決定的瞬間を捉えるPOV、衝撃的瞬間を目にする笑いの使い分け》

『コクソン』の二匹目のドジョウを狙うべくナホンジンが手がけ見事成功させたタイ産ホラーが攻めの話題性を
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.5

《虚栄と神々しさを操るジャーマネと溺れるエルヴィス》

エルヴィスプレスリーの伝記とか山の様に映画化されてる神話すぎてて興味ない本作だと思ってたら、そういやバズラーマンじゃん、と気がつきとりあえず映画
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.2

《トラウマの記憶をアニメーションへ視覚化》

第94回アカデミー賞でドキュメンタリー部門、アニメーション部門、それと国際長編映画部門にも同時ノミネートされたフォーマットの珍しさに隠れた注目所でもあった
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犬王(2021年製作の映画)

3.3

《ワンスアポンアタイムイン室町ウッドストックのカウンターカルチャー》

謎に包まれた湯浅政明新作がようやく封切られた。昨年のヴェネツィアやトロント映画祭にてプレミア上映され、その変幻自在な歴史劇とミュ
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ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

1.9

《夏バテ、ギャグバテ、ワイティティバテ》

夏休み興行に向け、次々ビッグバジェットが準備にかかる時期、MCUは一見さんに門前払いを喰らわせねよう『マイティソー』新作を用意した。
このところ、気合いが入
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ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 4K リマスター版(1968年製作の映画)

4.3

《ミッドナイト上映のミニシアターで体験!》

言うまでもなく"ゾンビ様式"を開発した超パイオニア映画で通っておりますが、当時はアメリカの深夜上映回ミッドナイトカルトから世界中に伝染した一種のアングラ映
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X エックス(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

《悪魔のいけにえ?、、、ではなかった、X?、、、ではなくSEXでした》

謎ベールを押し出したA24の新作ホラー がやってきた。『ユアアイズオンリー』みたいなスケベなポスターが絶妙にホラーを感じさせな
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