TOSHIさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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女と男の観覧車(2017年製作の映画)

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私はウディ・アレン監督作品が大好きだが、本人が主演する作品に比べると、出演しない作品は物足りなく感じる事が多い。私がアレン監督作品に惹かれるのは、人生は無意味という諦念が核にありながら、それでも大都会>>続きを読む

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

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勿論、障害は映画が描くべきテーマだと思うが、感動ポルノになりがちな傾向があり、本作もあまり気が進まなかった。しかしスティーブン・チョボスキー監督の「ウォールフラワー」が良かったため、安易な作りではない>>続きを読む

30年後の同窓会(2017年製作の映画)

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年代で変化する男女の関係を描いた「ビフォア」シリーズや、子供が青年になるまでを実際の成長に合わせて描いた「6才のボクが、大人になるまで。」等、リチャード・リンクレイター監督の作品を観ると、映画は時間で>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

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「万引き家族」。いきなり違法で、衝撃的なタイトルだ。昔から万引きのような行為で、暮らしている家族はいただろうが、現代にそんな家族がいるという意味で、より衝撃度は強まっている(公開直前に、佐賀で本当にそ>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

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また、変化するアメリカ映画を象徴するような作品だ。「フランシス・ハ」を観た時に、フランスのヌーヴェルバーグ映画のようだと感じたが、主演して脚本も手がけていたグレタ・ガーウィグの、自伝的要素のある監督デ>>続きを読む

犬ヶ島(2018年製作の映画)

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先ず外国人監督が、未来の日本を犬の視点で描くという発想が素晴らしい。何故、犬の視点なのか、理屈よりも感覚的な、映画ならではのコンセプトだ。ウェス・アンダーソン監督の、「ファンタスティックMr.FOX」>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

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個人的に「インヒアレント・ヴァイス」はとても好きな作品だったが、待望のポール・トーマス・アンダーソン監督作品である。またダニエル・デイ=ルイスの、俳優引退作になるらしい。

舞台は1950年代の、第二
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友罪(2017年製作の映画)

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誰にでもなかった事にしたい過去はあるが、人間は決して過去から逃れる事はできない。刑事事件それも、殺人となれば尚更だ。インターネット上で過去の事件に関する事実や憶測が晒され続ける現代では、“忘れ去られる>>続きを読む

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)

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「ソーシャル・ネットワーク」等の脚本家であるアーロン・ソーキンの監督デビュー作だが、ソーキン監督ならではの実在の人物の栄光と挫折、光と影の物語だった。そして予想通り、いや予想以上のスリリングな会話劇だ>>続きを読む

立ち去った女(2016年製作の映画)

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かつての「ぴあ」のような情報誌もなく、鑑賞する映画を、フィルマークスの上映中の映画で上位表示されている作品だけで決めていると、観るべき作品を見落としがちだ。本作もそんな、見逃して後悔していた作品だった>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

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私の映画界への最大の不満は、現代を描いた作品の少なさだ。着想を何らかの原作や実話に依存しているために、自ずと過去を舞台とした作品が多くなるのだろう。独自の発想で今を描けない作り手が、「昔、実はこんな事>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

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先月、他の映画を観た際に、早く着いて待合室で時間を潰していた時、本作の予告が繰り返し流されていたが、古舘伊知郎氏の「アウトレイジに対する東映の答えですね」という推奨コメントが印象に残った。このコメント>>続きを読む

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

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何故今更、トーニャ・ハーディングなのかと懐疑的だったが、観始めると、疾走感溢れるパワフルな作風に引き込まれて行った。

アメリカのフィギュア・スケート界で初めて、トリプル・アクセルを成功させた元オリン
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サバービコン 仮面を被った街(2017年製作の映画)

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監督・脚本・主演と錚々たる名が並んでいるため、映画ファンとしては観なければいけない気にさせられる。何故、1950年代なのかと思うが、ジョージ・クルーニー監督が、白人による黒人に対する差別を描きたいため>>続きを読む

マザー!(2017年製作の映画)

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「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督の、日本では公開中止になった作品だが、やっとレンタルで鑑賞できた。確かに問題作ではあるが、原作物・実話物ばかりの現在の映画界では、社会的センセーション>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

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同性愛がテーマの作品だが、予め同性愛という色眼鏡で見る必要はないだろう。避暑地での甘酸っぱい初恋の物語として捉えると、素敵な映画だ。しかしやはり、同性間の恋愛について考えさせられてしまう作品だった。>>続きを読む

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

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他人に無関心な、現代社会。誰かが助けを求めても助けない、変な人がいても見て見ぬふりをする欺瞞に満ちた社会。多くの人々の関心はSNSに向かう事で、その傾向はますます強まっているように思える。描かれている>>続きを読む

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

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ソン・ガンホがタクシー運転手役と聞いただけで、大体どんな映画か分かるなと思ったが、とんでもない。やはり映画は、実際に観てみないと分からない。ポスターのビジュアルからも、想像できない内容だ。韓国史上最大>>続きを読む

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

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これは凄い。見た事もないような映画だ。コンセプトの独創性から、期待が高まっていたが、映像表現としては想像を超えてきた。全編がゲーム感覚の作品としては、過去にも「トロン」(1982年)等があったが、スケ>>続きを読む

女は二度決断する(2017年製作の映画)

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日本ではまだテロは対岸の火事だが、ドイツでは2000年以降、外国人排斥を掲げるネオナチグループ「国家社会主義地下組織」(NSU)が、連続テロ事件を引き起こしていた。捜査当局が移民間の抗争と捜査の見立て>>続きを読む

ダンガル きっと、つよくなる(2016年製作の映画)

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タイトルは、インド語のレスリングだという。一言で言えば、「インド版:アニマル浜口・浜口京子(×2)」のスポ根物だが、レスリング映画という枠に収まらない、想像を超える面白さだった。

インドでは経済成長
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ラブレス(2017年製作の映画)

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神話のような重厚な作風で、世界的に高く評価されている、ロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督だが、本作も「ラブレス(愛のない)」というタイトルからして、冷徹な内容が予想され、観る人を選ぶ作品だろう(>>続きを読む

ワンダーストラック(2017年製作の映画)

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トッド・ヘインズ監督は一貫して、社会的・性的マイノリティを描き、多様性を深く掘り下げてきた。同性間の至高の愛を描いた前作、「キャロル」も素晴らしかったが、今回は、耳が不自由な人に焦点が当てられている。>>続きを読む

娼年(2018年製作の映画)

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<以下、性的表現によりR18+指定の作品についてのレヴューです。念のため>

こういった性的なセンセーショナリズムが先行する作品には、映画として評価したい物が少なく、観賞を迷ったが、性風俗を巡る人間ド
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

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30年以上前には、映画監督として最高の名声と富を手にしていた、スティーヴン・スピルバーグ監督にとって、映画作りのモチベーションは、どこにあるのだろうか。どうしたって、趣味に近いモチベーションになるので>>続きを読む

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

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何故、今更チャーチル首相なのか、と思いつつ、良い映画なのは間違いなさそうなため、完全に映画ファンとしての義務感で鑑賞した。

舞台は1940年、ヒトラー率いるドイツ軍が東ヨーロッパの大半を占領し、フラ
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リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

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ディズニー映画は近年、ダイバーシティ・有色人種重視の思想で、描かれる人物像が変質してきているが、ディズニー/ピクサー作品の本作も、主人公がメキシコの少年で、同じ流れにあるように感じる。一昔前のディズニ>>続きを読む

素敵なダイナマイトスキャンダル(2017年製作の映画)

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ある人物の生涯や半生を題材とした映画は多いが、これ程、独特な作品もなかったのではないか。最初、末井昭って誰だと思ったが、かつて深夜に流れていた、パチンコ必勝ガイドのCMで、「ゴンゾーロ末井」として、女>>続きを読む

ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)

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「上の句」、「下の句」を観て、映画としての突き抜け方に物足りなさを感じたため、劇場で観るか迷ったが、今回が一番良い可能性もあると思い、鑑賞した。舞台である東京・府中の映画館で、他の映画を観た時の予告で>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

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鬼才・ヨルゴス・ランティモス監督の、新作である。
冒頭、真っ暗な画面が続いた後、手術中の心臓の映像が映し出される。心臓の動きというのは、ずっと見ていると不安になる。こんなにせわしなく動いていて、これが
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ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)

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手が回っていなかった作品だが、アカデミー外国語映画賞受賞に後押しされ、遅ればせながら鑑賞した。
映画において、社会に馴染めず違和感を抱えている人物を主人公に据え、逆に社会の異様さを浮き彫りにさせるのは
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

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独特の世界観・映像美で知られる、ギレルモ・デル・トロ監督の最高傑作との評判で期待が高まっていたが、公開直後にアカデミー賞受賞が決まった(受賞を見込んで、公開時期が決められたのだろうか)。オタク監督によ>>続きを読む

ハッピーエンド(2017年製作の映画)

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世界で一番“嫌な映画”を撮る、ミヒャエル・ハネケ監督の新作である。まさかタイトル通りに、本当のハッピーエンドな作品かと思ったが、そんな訳はなかった。客席を見渡しても、タイトルに騙された感じの人は殆どお>>続きを読む

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

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現役最高の映画監督が、クリント・イーストウッド監督である事に異論がある人は少ないだろう。どんな題材でも人間の本質に迫り、同時に観客を引き込むエンターテインメント性をもたらす演出力は、現在の映画界で右に>>続きを読む

ゆれる人魚(2015年製作の映画)

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公開前ヴィジュアルの、人魚の尾ヒレのグロテスクさに引いてしまっていたが、やはり観るべきかと、遅ればせながら鑑賞した。
本作は一言で言うと、「人喰い人魚姉妹の、ホラーテイストのミュージカル映画」だ。素晴
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リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)

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本作は、岡崎京子の原作漫画を読んでいた二階堂ふみが、行定勲監督に実写化を提案し、実現した作品だという。今、1990年代の漫画を映画化して、何を伝えたいのかが焦点だが、現代にも通じるのは、原作が描かれた>>続きを読む