最初の数十分はおっさんの何を見せられてんねんと思ったが、並列に並んでいるように見えて入れ子構造にも見える4篇を順番に見るうちに段々と自分の中でイメージとイメージがつながりを結び始めた(頭の中がつながり>>続きを読む
小津に影響を受けたヴェンダースに影響を受けたジャームッシュに影響を受けたヴェンダースという感じ
生活の所作の中にある映画的な運動や音を見つけてくる、例えば一連のトイレ掃除はもちろん、カセットテープを>>続きを読む
ケリー・ライカートは現代の映画作家の中でスタンダードサイズを最もうまく使っている監督な気がする、常に奥行きを感じさせるショット、奥の方にドアや窓や四角いスペースが開けていることが多い、例えば赤ちゃんを>>続きを読む
例えばトットちゃんには宝の山に見える駅のきっぷ入れ、海のものと山のものを詰めこんだ色鮮やかなお弁当、学校にやってきた列車を迎えに裸足で駆け出た朝靄のグラウンド、小児麻痺の友人がはじめて登った木の上から>>続きを読む
不思議と印象に残ったのは台詞のうまさだった
・戴冠式にて、「フランスの帝冠は地に落ちていたので、私が剣の先で拾い上げました」と述べるナポレオン
・「私たちの婚姻が我が国の発展を妨げている」という別れの>>続きを読む
コント「首」
暴力も笑いもフィクションの中でエスカレートすると同じようなところに行き着く、わたしがわたしがどうぞどうぞとフリオチの130分をひたすら見ているのは若干疲れたが、勝利と立身出世のために「>>続きを読む
出てくるキャラクターみんなポップでキュート、起きていることは残酷だがおどろおどろしさは皆無
ファーストカットから足早に始まり、序盤は説明台詞の嵐なのでこの尺におさめるのに相当難儀したのかなという気は>>続きを読む
カウリスマキ映画特有の、明後日の方向向いた二人の会話中、片方が変なこと言ってもう片方がゆっくり相手に顔を向けるあの感じ
ずっと真顔で視線が合わないからこそ、笑ったり視線が合った時にスクリーンの引力が>>続きを読む
ペールトーンのディストピアを作り出す美術、ライティングとカラコレの妙
ストーリー自体は「最初にこの設定を置いて書き始めたら人物の身にこういうことが起こっていくだろう」という想像の範疇を出ないが、逆に>>続きを読む
冒頭、市子の顎から汗が滴るショットと、後半、8年前のことに及ぶ日、そしてラストにほぼ同じ構成のショットが挿入され、その三点が頭の中で像を結んだのは映像的成功と感じた、そして何かものごっついものを裏に抱>>続きを読む
嘘をつき続けた現実と作り物とわかっていることがリンクする、例えば自分が作った教会の模型の中で死ぬこと、戦争は続いていると地上に出た時に戦争映画撮影に出会うこと
戦争を経験することで人は想像の世界や多>>続きを読む
複数のことが同時に起きている賑やかなスクリーン、出てくるやつ全員軽率なのに憎めない、全編サーカスのような映画
ずっとストリートファイターのボーナスステージみたいなことしてる豚、伸び切ったアコーディオ>>続きを読む
誰もがその言葉に、トーンに、固有の領土をもっている
はじめは映画を構成するパーツを一つ一つ分解して見せられているように感じたが、次第に似た色の絵の具を何度も塗り重ねていくうちに突然全く違う色が顔を出>>続きを読む
選挙ポスターだけを見て平面的に変人と判断されてきた独立候補者たちが、畠山さんの好奇心によって立体的に立ち現れてくる過程が映画になっている、彼の取材はまるで鏡のようでもある
一点、上映後にプロデューサ>>続きを読む
シチリアの乾いた夏、バイクで走るのに似合わないでこぼこした路面、ざらざらとした質感がある画、「衝突」のシーンはうーんって感じ
鑑賞中、そうかこれは春画の中の人物が映画に忍び込んでいるんだと理解してから、彼ら彼女らの極端な行動が飲み込めるようになった
タイトルと共にカウンターに放り出される女の白い手の、「償い」を果たした男の月夜に伸びる左手の、なんと美しく絶望的なことか
ラストはダラダラやるよりバツっと暗転した方が観客の中に作品が余白を持って放り出される