ごろちんさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ごろちん

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その手に触れるまで(2019年製作の映画)

4.0

楽しみにしていたダルデンヌ兄弟の新作!カメラがワンテンポ遅れて被写体を追うスタイルは健在で、予測がつかない展開にはいつものようにハラハラさせられた。

ベルギー国内で起きた無差別テロから宗教に関わる作
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山の焚火(1985年製作の映画)

4.1

アルプスの山々とそこに咲く花、岩肌の美しさに癒される気持ちと、山腹で暮らす一家の営みにハラハラする気持ちの折り合いが付かず、そわそわと落ち着かない。観終わった後も上手く気持ちを表現できない…。

何千
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SKIN 短編(2018年製作の映画)

4.2

通信は途切れ途切れ、でも何とか最後まで観れました。2,30秒に1回はフリーズしてしまうほど観づらい環境だったのに、観終わった後の余韻は充分。それほどインパクトのある作品でした。

偏見から侮蔑を込めた
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ファイナル・カット(2012年製作の映画)

3.9

古いもの新しいものコメディものシリアスものいっさい関係無く、似ているシーンを細かく紡いで作り上げた映画のパッチワーク。取り上げる映画がバラエティに富んでいるから、次は何の作品だろ?という高揚感が続きま>>続きを読む

今、僕は(2007年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

引きこもり青年のドキュメンタリーは過去に何回か観たことはあるけど、劇映画は初かも。基本的に交際範囲が広くないから派手さはないし、甘美なところもない。そういった意味では映画にし難い設定なのかもしれない。>>続きを読む

ロゼッタ(1999年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

まだあどけなさが残る少女にもダルデンヌ兄弟は容赦無いですね…。

そして少女だけじゃなく、そうさせてしまった親たちに対して、もっと言うと私たちに対しても。少女に引っ付きそうなほど近いカメラは、辛い境遇
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無無眠(2015年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

うーーん、完全なアート映画。台詞が無いので映像から監督が何を撮りたいのか読み取るしか無いんだけど、いや〜これはABC予想並みに超難問すわ。定点カメラで撮される渋谷のスクランブル交差点、歩道橋を牛歩する>>続きを読む

天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

役者のクオリティの高さも相まって、38分という短い時間なのに登場人物の人格や苦悩までしっかりとイメージすることが出来た。長編にしろ短編にしろ深みのある人物造形を作り出す濱口監督は凄い!!


過去に起
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タシケントはパンの町(1968年製作の映画)

4.2

『パン屋を襲う』くらいの腹の空き具合かと思ったらそんなもんではなく、まさに空腹の極限状態。ロシア革命後の貧困がどれほど凄まじかったのか、この映画を観てかなりイメージがつきました。飢餓からお母さんと弟二>>続きを読む

ルカじいさんと苗木(1973年製作の映画)

5.0

『ルカじいさんと苗木』。なんかぼんやりして食指が動きにくいタイトルだな、と思ってましたが、非の打ちどころが無い傑作でした!!
お爺さんと孫が苗木を探して旅をするロードムービー。新型コロナの影響で人との
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奇跡の女(1982年製作の映画)

4.7

今まで観て来た宗教映画の中でも特に中立で誠実な作品だった。

多くの宗教映画はスクリーンの中で「奇跡」を直接目撃することが出来る。例えば死人が生き返ったり、身体が宙に浮いたり。観客はその奇跡が神のみわ
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バッチ’81(1982年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ブラック企業推奨作品。友愛を謳う有志団体(大学サークルみたいな団体)「AKO」に入会を希望した新入生たちが先輩から受ける様々なしごきに耐えることで新入生同士の絆が深まっていくという感動的な映画(んなア>>続きを読む

フルスタリョフ、車を!(1998年製作の映画)

4.4

観終わった後のグッタリ感……。なんせ皆んなテンション高くて思ったことを直ぐに口にする厄介な人たちばかり。1カットの中に次から次へと人が闖入して来て、脈絡の無い会話や突飛な行動を取る。とにかく展開がノン>>続きを読む

いつくしみふかき(2019年製作の映画)

4.8

父と子の切りたくても切れない関係。望まない「血」や「宿命」から慈しみは生まれるのか。

どうしようもないクズな父親を渡辺いっけいさん(ひさびさに見た気がする)が好演。息子役の遠山雄さんも不本意ながらク
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アマノジャク・思春期(2016年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

31分と短いですが、しっかりと小学校高学年の子どもが抱く不安や葛藤が描かれてました。コンプレックスに縛られ、将来、いや、それどころか一寸先にすら希望を見出せない少年の姿には思わず涙が。受け口を隠すため>>続きを読む

種をまく人(2016年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

家族の絆って何だろう、と考えさせられる作品。どストライクでした!

ダウン症の子を授かった家族のものがたり。ある事件がきっかけとなり、今まで明るい居間の片隅に追いやっていた闇が家族に暗い影を落とす。
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下女(1960年製作の映画)

4.3

ジャケットのおどろおどろしい感じ、最高です。額縁に入れて飾りたいくらい。

愛憎の縺れから一家が泥沼に嵌まって抜け出せなくなる感じがじわじわと怖い…。一人の男を巡り、本妻と家政婦のバトルはメロドラマの
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死んでもいい経験(1995年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ある意味すごい映画。コメディ映画より全然楽しめる!!「死んでもいい経験」というタイトルからどんな鬱映画なのかと思っていたら、OPから女性の「ハアァン」とか「フウゥン」といったアフレコの溜息に思わず口元>>続きを読む

もうひとりの人(1988年製作の映画)

4.8

色んなことを考えさせられた作品。

ハンガリーが舞台の戦争映画は今まで観た記憶が無くてすごく新鮮!この作品は1944年の敗戦色が強くなり始めた頃のハンガリーで前線から命辛々逃れた兵士のその後。

戦時
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乾いた人生(1963年製作の映画)

4.5

お腹が空くと兎に角イライラが止まらない経験は誰にでもありますよね。数年前にお腹が空いたら沢尻になるCMがあったけどあんな感じ(あの頃は良かったのに…)

『乾いた人生』は干ばつで難民生活を強いられたブ
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若さと馬鹿さ(2019年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

大事なことと楽なことの綱引きでズルズルと楽なことに引っ張られ続ける男。でもモテるための筋トレは欠かさないという残念な感覚の持ち主。そりゃ楽しながら快楽に溺れて毎日を過ごせればそれに越したことはないけれ>>続きを読む

叫び声(2019年製作の映画)

3.7

豚の擬声語はブヒッ!と可愛らしいが、実際にはブビバッヒ、ンゴゴゴ、ピギャーゴボボとかなりエゲツない。

そんな豚たちの耳をつんざくような鳴き声をずっと聞いていると、何だか悲痛な叫び声にも聞こえてくる。
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お嬢ちゃん(2018年製作の映画)

4.2

萩原みのりが出演している映画を観るのは『普通は走り出す』以来2回目。今回の役は子供っぽくてまさに「お嬢ちゃん」。萩原みのりのミステリアスな魅力を二ノ宮監督が上手に引き出していました。

とにかく登場人
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秋のマラソン(1979年製作の映画)

3.8

黄色や赤に彩られた街路樹を横目で眺めながらマラソンに勤しむ男たちの友情劇。……ではなく、哀愁漂うおじさんが妻を横目で警戒しながら不倫に勤しむ愛憎劇。

でも、おじさん好きの人にはたまらない作品(たぶん
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モスクワは涙を信じない(1979年製作の映画)

3.7

フランス映画のメロドラマとイタリア映画のほっこりとした家族ドラマが合わさったような映画。今まで観てきた重たいソ連映画とは違い俗っぽい感じで、コサックとキリル文字が出てこなかったらどこの国の映画かたぶん>>続きを読む

サタンタンゴ(1994年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

2回の休憩を挟むものの、7時間18分という今まで体験したことがない作品に好奇心と不安を抱きながら劇場へ。タル・ベーラ監督の作品は『ニーチェの馬』のみ鑑賞済み。

序盤は寒村に住む村人たちの怠惰で厭世的
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イゴールの約束(1996年製作の映画)

4.4

真冬の朝の冷え込んだ空気にずっと晒されているような感覚。

感傷的なBGMは一切無し。同情するなら金をくれ(古い)というより、同情しないから金よこせ‼︎と言わんばかりに不法滞在外国人から金を徴収する父
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真昼の不思議な物体(2000年製作の映画)

3.5

観る者をふわふわとした不思議な感覚にさせてくれるアピチャッポン監督の初長編。

インプロ(即興)トレーニングのワンワードのように他者が話した内容を引き継いで一つの物語を作るという作品(ちなみにワンワー
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西瓜(2005年製作の映画)

3.9

あぢぃ……ということで「涼」を感じたくて鑑賞。

水を様々なメタファーとして取り入れてきた蔡監督の作品。
雨のシーンが多くて湿度が高めの作品が多かったけど、この作品は水不足に悩む真夏の台湾が舞台。そこ
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万歳!ここは愛の道(2019年製作の映画)

5.0

絶句。何なんだこれは……。強烈過ぎて気持ち悪くなった(もちろん褒め言葉)。

すばらしき世界(2018年製作の映画)

4.4

『万歳!ここは愛の道』と同時上映したショートムービー。石井達也監督が19歳の時に制作した作品だそう。特に期待しないで観てたらずぶずぶとのめり込んでいった。

とにかくリアル。母子家庭の子どもが抱くであ
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オルエットの方へ(1970年製作の映画)

4.7

女子3人組の旅行は男から見ても本当に楽しそう!!
スクリーンから心底楽しんでいるのが伝わってきて、こっちまでバカンスに来ている気分になる。そこのところが傑作と言われる所以なんでしょう。ウナギ、いいから
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サン・ソレイユ(1982年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ちょっとしたネタバレですがジャケ写のオバQみたいな化け物はちょい役です。こいつに過度な期待は禁物(自分だけ?)

それより80年前後の新宿界隈、阿波踊り、豪徳寺の招き猫、秘宝館といった日本の映像やアフ
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ウーマンウーマンウーマン(2018年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

「りんごってかわいいじゃないですかぁ」と宣う不思議ちゃんを奇怪な生き物でも見るかのような冒険家の表情が最高!
相手の意思にお構いなくズケズケと要求してくる女の理不尽さは、さながら『ファニーゲーム』のよ
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僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

3.8

幼い頃、願い事は神様にした方が良いのかイエス様にした方が良いのか迷っていた。その時のイメージだと神様が厳格な父親でイエス様が優しいお兄さん。だから頼みやすいイエスにばかりお願いしていた気がする。

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ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

ポスターに「ゾッとするほど、魅力的」と書いてあるけど、ジャックに、というより映画に魅力をあんまり感じなかった。

強迫性障害と潔癖症のジャック。その割に身なりや行動にその片鱗が見えない(血痕を気にする
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