otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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二十才の微熱 A TOUCH OF FEVER(1993年製作の映画)

4.1

 微熱どころか低体温な感じの袴田が「売り専」で男娼営業をしているあたり、愛を求める相手が女ではなくて、ということなのか求めあぐねてそこにはまり込んでるだけ?実は誰にも愛を向けられないし受け止めえない性>>続きを読む

あちらにいる鬼(2022年製作の映画)

4.1

 鬼のいるのがあちら側というわけで、こちらにいる「わたし」と鬼とは決して交わらないのが私の「わたし」たるところである。しかし、わたくし、みはるを追う白木鬼を拒めないみはる自身もこころの内に鬼たる白木を>>続きを読む

オートクチュール(2021年製作の映画)

3.4

 こころ温まる話というなら何も記すには及ばないのだが、ディオール版おとぎ話のめでたしめでたし感がさり気無さそで効き過ぎてないか?

 ディオールといえばモード界の頂点で、文化大国フランスの一つの顔であ
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ラ・ブーム2(1982年製作の映画)

3.7

 悔しいけれどフランスとフランス人には眩しいものを覚えてしまう。ただ、羨むことはない、眩しいだけである。
 100分の光彩の中で回想するのは第2外国語にドイツ語を選んだ件である。眩い中に身を置くよりも
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勝利と敗北(1960年製作の映画)

4.0

 「俺がこんな会長の所にいたら今頃 . . .」とやくざ者に身を落としつつある元郷田ジムのボクサー岡野が迫った「こんな会長」は峰岸(山村聰)。それなら、「あんな会長」の郷田(安部徹)はやくざ上がり、表>>続きを読む

エンドレス・ラブ(1981年製作の映画)

3.8

 女にしてみりゃ男は偉そうで押しつけがましく、勝手に攻め入って来て、それこそが売りのつもりでいる了見の狭いバカなんだろう。しかし、当の女もその押しに揺さぶられると何かを見失ってしまうのかもしれない。そ>>続きを読む

ミズーリ・ブレイク(1976年製作の映画)

4.0

 危ないジャックが化け物マーロンの喉を裂く。闇の仕置きが都会的な洗練味を添えている。肺の腑が血で溢れ窒息する数秒の静けさに何も気づかない人間はその晩もよく眠れるだろう。マーロンもまた永遠の眠りの前に自>>続きを読む

旗本やくざ 五人のあばれ者(1963年製作の映画)

3.7

 暴れん坊将軍が賢君吉宗であるように、貧乏御家人あばれ者五人は一児の父親五人組であった。というわけで、育児に鎬にみんな懸命。チャンバラをやっているわけにいかないのである。
 ところで、直参の名誉誇らか
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悲愁物語(1977年製作の映画)

4.0

 主役の桜庭が血の汗をゴルフに注ぎ込み悩み多くハングリーな女子プロ王者に栄進するというのなら梶原原作で通るんだろう。ところが、企業のイメージキャラクターに抜擢されて人気者、その人気にあやかろうという有>>続きを読む

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像(2018年製作の映画)

4.0

 日本なら中国画を嚙みこなして日本画ができて、それに加えて西洋画もやってきて、それらを受け入れる過程でさまざまな志向を持つ作家たちが個性豊かに作品を生んでくれた。おかげさまで楽しみの幅も増してありがた>>続きを読む

ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ(2018年製作の映画)

4.0

 "contro"に"versus"と訴訟沙汰を思い起こさせる原題だが、それに違和感を覚えるのは、通常、被告席に置かれるだろうヒトラーがピカソ他を訴える格好となっているからだ。しかし、当時1930から>>続きを読む

ゴジラ2000 ミレニアム(1999年製作の映画)

3.7

 映画界に氾濫したゴジラを避けて通ってきたがこの作品では主演が村田雄浩という。ゴジラに匹敵する役者は村田ただ一人ということか?その点が面白そうで見てしまったが、いったいこの日本には議会や米軍は存在しな>>続きを読む

明日に処刑を…(1972年製作の映画)

4.2

 保線工夫のビルと渡り鳥パイロットの娘ベルタの馴れ初めは1930年的に血と炎と鉄拳まみれで苛烈、視線が絡み合う間もない。ベルタの父に故障機の運用を強いて墜死させておきながら遺体に向かって毒づいて止まな>>続きを読む

母のおもかげ(1959年製作の映画)

4.1

 母親とは良くも悪くも自分の一部に違いない。これは構成要素というより積み荷のようなものであって構造体と調和するとは限らない。しかし、オーバーロードでも詰まされ積まねばならない場合もあれば、積むネタがな>>続きを読む

アンナの出会い(1978年製作の映画)

4.2

 わたしと誰かの間で宙ぶらりんな女アンナ。女と称してもそれに限ったものか、女プラス何かな者なのか、反女的?非女的、超女的、女装性無性的何かなのか、また相手を「誰か」といっても、靄の中の見えない相手を手>>続きを読む

蜂の巣の子供たち(1948年製作の映画)

4.1

 この蜂とは働きバチであろう。彼らは働いて芋を食ってまた働く。働いて食う芋はうまいという。これは、ヤミで暮らして狡すっからいことをしていては分からないそうだ。
 あの頃の芋は今はやりの甘くみずみずしい
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.0

 ありえない様なラザロが法律上あってはならないところに現れる。法律は人が作るものだがその背景にはカトリック信者の精神がある。それに背く地にラザロが犯罪者にして背教者と戦うでもなく存在する。何をやってる>>続きを読む

明日は日本晴れ(1948年製作の映画)

4.2

 国破れて山河在り。この山奥には米兵も焼け跡も闇市もない。あるのは動かないバスと戦争に疲れた乗客ばかり。
 敗戦で帝国の機関が止まったようにバスも故障で止まってしまうと按摩福市の勘働きに沸いていた車内
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按摩と女(1938年製作の映画)

4.2

 好いた女は犯罪者。研ぎ澄ました感覚と類稀な勘働きが売り、四周のできごとを相棒福市と読み比べしては楽しんでいる。この按摩、徳市が、好いた弱みではまり込む悪い妄想。あのヒトはあの男(佐分利信)とデキては>>続きを読む

有りがたうさん(1936年製作の映画)

4.1

 天城越えも乗り合いバスの時代。街道渡世の新参者といったところだろう、運転手は方々誰かれなく道を譲ってくれる相手に「ありがとう」と声を掛けて先を行く。この「街道渡世」という言葉がなかなか耳に馴染む。>>続きを読む

台風クラブ(1985年製作の映画)

4.1

 みんなでワイワイ「台風クラブ」をやってる割にそこかしこ、すきま風を感じてしまう。

 幼なじみ崩壊まであと半年。台風前夜、金曜の夕ベのひととき、理恵は立ち寄った三上邸で、東京の高校を目指すといい学習
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小原庄助さん(1949年製作の映画)

4.1

 大河内伝次郎が八の字眉毛に瓶の底眼鏡で借金取りから逃げ回っている。どんな世界かと思ったがそれでも、朝湯朝酒で碁仇の和尚のところに籠城だそうで、オツなもんじゃないか。

 あれこれあっても、杉本佐平太
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愛の渦(2013年製作の映画)

4.0

 世渡りが下手そうに池松が俯いている。それが何故か乱交パーティー会場を目指しているのが、いかにも事件の兆しを感じさせる。乱交だから誰相手でもいかせる自信がなければ出かけられまい。そんな場所に職なし多分>>続きを読む

猫は逃げた(2021年製作の映画)

3.9

 猫もそっぽ向く離婚騒動。「カン太」の親権が最後のもめごとなんだが、そうとは知らぬはずのカン太は書き立てほやほやの離婚届に用足ししてしまう。
 カン太が猫と知れると幾分肩透かしだが、こんな芸当、猫にし
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にっぽん泥棒物語(1965年製作の映画)

3.9

 名盗伝、大盗伝ではない。三分の理を説くのでもない。それどころか三国窃盗団4犯に跨る興亡の伸るか反るかな歳月、昭和30年、4犯目のお勤めを切り上げて死に目にも会えなかったおっ母さんに墓前で詫びるまでで>>続きを読む

君が若者なら(1970年製作の映画)

4.0

 話が終わっても前田の罪状がピンと来なかった。しかし、悪ければ過失致死、よくても要加療者の遺棄致死、どちらにしろそれに逃亡者の幇助、警察への妨害が連なる。それらみなひっくるめて「よくないこと」をやって>>続きを読む

狂ったバカンス(1962年製作の映画)

3.6

 いろんなことを背負い込んでるが後ろ指を指されるような事はないし世間を良くしようと励んでさえいる。世間よりも頭一つ分くらいは稼いでいる自負もある。お蔭で電気技師として地位も名声も築いているし、自動車指>>続きを読む

ネッド・ライフル(2014年製作の映画)

4.1

 "Run"―― 七つの世紀を股に架けた「悪魔」の最期の言葉である。息子に宛てたというより、危機千発な生涯から漏れた本能の声だろう。
 "No"―― そんな親父の最後の無茶に返した?それだけではないだ
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フェイ・グリム(2006年製作の映画)

4.0

 フェイ母さんの願いは、益々父親似になってきたように見える息子ネッドに父親代わりの誰かをあてがう事なのだが。しかし、何かが叶うとき、別の何かを失うか被らねばならないのが悪魔から「進化」したらしいヘンリ>>続きを読む

ヘンリー・フール(1997年製作の映画)

4.1

 「ヘンリーのばか」と唱えた方が素直だろう。幼児相手の性犯罪歴を持ち保護観察中なのもいかがわし気なのらくら者風情だが、詩文への造詣もあり気と多彩?異様な人物だ。ひねくれたその態度は世間から捨てられた身>>続きを読む

右側に気をつけろ(1987年製作の映画)

4.1

 タチあんちゃんはボクサー(俄)なので左が気になるとして、ゴダール公爵の右とは何ぞや?監督敬愛のジャック・タチが主演「左に気を付けろ」に倣って、公爵の命取りとなる右は如何に繰り出されるのか?
 それに
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がめつい奴(1960年製作の映画)

4.0

 がめついお鹿婆さんだが、なぜか身無し子のテコを養っていて、さもしいだけなのでも、ケチなのでもないらしい?
 一見して渋ちんくらいにしか見えないが、ひとたび口を開けば、後年のヒョウ柄のおばはんとかバブ
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中国女(1967年製作の映画)

3.7

 銀行家の娘アンヌは農村で下放を経験したら哲学の出来が良くなってバカロレアに受かってしまったらしい。若い時の成功体験は強力である。あらためてほかの若い連中と共産主義や毛沢東やらを勉強しだしたら、どうや>>続きを読む

オデッセイ(2015年製作の映画)

3.7

 宇宙飛行士とはつまらん奴で、宇宙にただ一人の火星人になったら3sols(三日三晩)ぐらいヤケ酒漬けでもよかろうにと思うのだが、そうはならないよう訓練されているのか、もともとそんな資質に恵まれてないの>>続きを読む

ヘル・フィールド ナチスの戦城(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 深夜、消し忘れたテレビから流れてきたのがこちら。ナチスで地獄の城と聞けば不死身の妖怪兵士かなんかの培養中が相場というわけで、朝っぱらから笑わせるじゃねーかと思ったら、ナチスに殺された富豪一家の幽霊だ>>続きを読む

ギルダ(1946年製作の映画)

3.9

 捜査二課は殺しなんぞじゃ騒がない、挙げるのは自由世界への反逆。というわけで、タングステン・カルテルを潰してしまえばあとは野となれ。イカサマ師上がりのジョニーにも謎のヴェールに包まれたギルダにも用はな>>続きを読む