キヲシさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

キヲシ

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飾窓の女(1944年製作の映画)

4.1

そうか「スカーレットストリート」のトリオなのか。地味な中年男エドワードGロビンソンが浮かれ、狼狽え、しらばっくれて、迂闊さを誤魔化し、平静を装う。これは楽しい。「疲れた」と呟き左手の扉、さらに奥へと…>>続きを読む

激怒(1936年製作の映画)

4.1

ベランダを伝い隣の室内を通り抜けて行く噂話。さらに酒場で次々と尾ひれが付いて行き、とうとう保安官事務所に戻っていく。その際の真剣な顔、おどけた顔、歪んだ顔…。ショーウィンドウの前の軽口から、なんと遠く>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

3.0

1931年の映画がこんな画質で見られるとは素晴らしい。倉庫の隅で怯えて目を見張り、跪いて独白した挙げ句、顔を手で覆うピーターローレが圧巻。だがしかし、警察と犯罪組織のカットバック?発見から尾行、そして>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.5

ちょっと背を丸めてボタン付けをするソンガンホがいい。母親役のIUは「マイディアミスター」か!とはいえ、なんといってもヘジン役の子どもが、色々おいしいところを持って行ってしまった。映画がドライブし始める>>続きを読む

主戦場(2018年製作の映画)

4.1

櫻井先生、杉田先生におかれましては相変わらず「美しく」かつ「素晴らしい」。在外日本人の方々、名誉日本人ケントさんに「いいね」したい。対する学者の方々は地味で面白味に欠けるところがありますね。まあ、そも>>続きを読む

教育と愛国(2022年製作の映画)

3.1

「歴史から学ぶことはありません」という元東大歴史学者伊藤氏の発言に驚く。抗議の葉書を何百通も送りつけた議員やらの語り口と表情の「素晴らしさ」。対して、廃業に追い込まれた元教科書編集者の悔しさと寂しさの>>続きを読む

柔らかい肌(1963年製作の映画)

4.0

不倫映画。あんな可愛い娘がいるのに…。小難しい話するけど顔を見れば子どもっぽいジャンドサイーには、ドルレアックはもったいないよ。とはいえ、スタンドでのスカートに履き替えるくだりのスリリングさと幸福感。>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.0

二本分はありそうな濃密な映画。なんかもうどうしようもなく惹かれ合う「二人」。取り調べで「シマ寿司」なんて、そりゃ後輩も怒るわ。「グッドモーニング」って言われもねえ。気まずい出会いの握手がまた…。「例の>>続きを読む

イコライザー2(2018年製作の映画)

3.7

車載カメラからの流れる風景が美しい…タクシー運転手とは適職を見つけたなあ。前作と同じマッコールアイが発動するのは最初だけだが、あーこれこれ!若い黒人兄ちゃんに色々世話するのがまた、デンゼルワシントン本>>続きを読む

イコライザー(2014年製作の映画)

3.8

スニーカー掃除して、スムージー飲んで、といった朝のルーティンをこなす主人公とデンゼルワシントンが重なるんだよなあ。ホームセンターで同僚から前職は何?と問われ、ステップ踏むチャーミングなところ。タイヤ引>>続きを読む

灼熱の魂(2010年製作の映画)

3.9

ファーストショットの荒野の風景、髪を切られる少年、裸足と戦闘服とブーツ。中東でのロケが新鮮!などという呑気さをぶち破るバスや狙撃手の衝撃。靴を脱いで屋敷を抜けて…目力が印象的な歌う女はハサミでザクザク>>続きを読む

サポート・ザ・ガールズ(2018年製作の映画)

3.0

リサはなんというか、そう最高の上司なんだが、曲者従業員への気配りが過剰とも思えるほどで、みんなのビッグマム感が素晴らしい。けど、見ているだけでちと疲れる。裏口で座り込んでいるとこでの鳥のさえずりが、や>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

「風立ちぬ」からの「千とトトロのアリエッティ」が「風の谷」のばあばに守られ「もののけ」を追って、「ポニョ」が「ゲド」から「ハウル」に助けられて「ラピュタ」を彷徨い、勢い余って「君の戸締まり」?
「わら
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行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

3.8

最初の街頭をスケボーで走るところで、なんかちょっと泣きそうになる。キヌーは性格のよさが表情に出てるなあ。ボードに八つ当たりしてた頃に比べると、諦観も含んでいるけど大人になったよ。白人の仲間がいても黒人>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.2

ラストの表情がこの作品の複雑な豊かさを表している。ファーストショット、緑色の瞳のアップからの郊外の空撮で大丈夫と思う。そしてあのカジノだよな。音楽も素晴らしい。雨粒を手の平で受け、シンクロして服を脱ぐ>>続きを読む

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

4.0

ちょっとふてぶてしい感じの中年男性記者が政治家や御用コメンテーターに対峙する。編集部がシンプルで整理されているのが印象的。反体制パンクバンドのライブからの火災、病院での院内感染、消毒薬の不正、がなりた>>続きを読む

忘れられた人々(1950年製作の映画)

3.6

メキシコ時代のブニュエルは面白い。いや、題材は貧民街の不良少年たちの容赦ない群像劇なんだが…。障碍者への非道の数々からも共感を寄せ付けないハイポ。翻弄されながら健気に生き抜く小さな目。爺さんが気にかけ>>続きを読む

黄金時代(1930年製作の映画)

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うわー、すいません、ごめんなさい。サソリ、ぼろぼろの兵士、都市、ベットに牛、パーティー会場に馬車、撃ち殺される子ども、失われた指、あの男女は?指揮者と入れ替わる?城から出てくる奇妙な男は…。まあ、ブニ>>続きを読む

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

スウェーデンの現代アート美術館のキュレーターかあ…。美術館のパーティーで老若男女が踊るシーンに妙に感心した。日本ならダークスーツのオールドボーイズがオルゴールをBGMに下卑た笑い声を上げるだけじゃねー>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.8

思っていたのと全然違った。ファーストショットから普通ではないが、ズームアウトしていくので状況が分かってくる。腕時計の話からズレが気になって来るのだが、とにかく音楽が不穏。車に乗ったカメラが一瞬捕らえる>>続きを読む

マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

3.8

公営プールのシーンが衝撃的で、プレコグはともかく他は結構忘れていた。テレビ放映かビデオ以来の再見。傘とか小銭は原作ディック短編のテイストがよく出てる。さらに垂直降下する自動車、工場、ロケットスーツと外>>続きを読む

ゼロの未来(2013年製作の映画)

2.5

あらら…クリストルヴァルツって、「イングロリアスバスターズ」のナチ将校だよな。「未来世紀ブラジル」「ドンキホーテ」のギリアム監督との組み合わせなんだが…。ネズミがかわいい。メラニーティエリーもキュート>>続きを読む

ヒート(1995年製作の映画)

4.5

三時間近い長尺に相応しい見応え。デニーロとパチーノが…カメラ越しに認め合い、テーブル越しに語り、そして互いに銃口を向ける。救急車、作業車、バス、穴だらけのパトカー、消防車、ヘリ(夜の空撮が素晴らしい)>>続きを読む

パブリック・エネミーズ(2009年製作の映画)

4.1

これはジョニー・デップが素晴らしい。冒頭の陽光の中の脱獄、そして中盤の地下からのそれ。前半のオペラのような銀行強盗、後半のぐだぐだなそれ。最初の映画館で左右に視線を送る観客の中で、不思議な佇まいを見せ>>続きを読む

バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

3.0

ブラジル映画。祖母の葬式に帰郷した女性、謎の錠剤、キャンペーンソングと共に現れる市長、出張私娼、カポエラダンスもなんかゆるくない?他にもおかしいもの、変な奴が沢山登場するけど、怪しいウドキア、切れるウ>>続きを読む

7BOX [セブンボックス](2012年製作の映画)

3.1

珍しいパラグアイ映画。市場にて手押し一輪車で荷運びをやり手間賃を稼ぐ青年が主人公。って、何その生業?中身のわからない七つの箱を預けられて、狙われて逃げ回る。幼馴染み、同業者、警察官、荷主たち、韓国人オ>>続きを読む

ミッドナイト・ファミリー(2019年製作の映画)

3.8

メキシコ市では数が圧倒的に足りないので民間救急車が走っているとの字幕。運転席を撮る車載カメラに座席中央からローティーンのガキが顔を覗かせる。ん?無線が入って急行、患者を搬送、翌朝電話で彼女にその様子を>>続きを読む

精神(2008年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

くたびれた建物でくたびれた患者がくたびれた先生の診察を受けている。町中を歩いてくる女子学生たちのワンショットとの対比。猫までくたびれている。ところがどうだ、宿泊施設の利用者である女性患者のインタビュー>>続きを読む

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.0

芥と三島の討論は、何を言っているのか理解し難いのだが、二人の間では成立していた。途中乱入した男が話しているときに、二人でタバコ飲むところが印象深い。あとは内田樹のコメントが的確でさすがだなあ。三島はも>>続きを読む

台風クラブ(1985年製作の映画)

3.5

うーむ、記憶が曖昧だが、制作年度、次回作が「光る女」ということは、相米慎二を追いかけるキッカケとなった作品か…。バービーボーイズはブレイク前だったな。是枝監督発言で再見。
なんといっても三浦友和がよい
>>続きを読む

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)

4.1

かつてはテレビの洋画劇場で二週に分けて放映されていた。名画座でも見たはずだがあまり記憶がない…。暗い室内での「いつか頼みを聞いてくれ」から、陽光の下での結婚式と家族写真、そして馬だよなあ…。市場、人気>>続きを読む

ミーン・ストリート(1973年製作の映画)

4.2

かつて三鷹オスカーにて「アリスの恋」「タクシードライバー」の三本立てを鑑賞。その後、何年か前に再見。ストーンズの「ジャンピングジャックフラッシュ」を背にスローモーションで歩いてくるデニーロが最高。ビリ>>続きを読む

ブロンクス物語/愛につつまれた街(1993年製作の映画)

3.9

30年ぶりに再見。デニーロ監督、不思議な味わいの映画作るなあ、と今回も思った。マフィア映画風なんだが、そこに色んな要素が混じっている。サイコロ賭博の高揚感(トイレに入れとけ!)の後、普通のバスドライバ>>続きを読む

イースター・パレード(1948年製作の映画)

4.0

カバーガールのシーンなど、なかなかゴージャス…と思っていたらジーンケリーの代役とのこと、納得です。アステアの踊りは相変わらずキレッキレ。最初のウサギのぬいぐるみを騙し取るソロでやられる。あ、これがラス>>続きを読む

(1951年製作の映画)

3.3

ルノワールなので見た。ちょっと前のインド、ベンガル地方、この河はガンジスなのか?30年位前に旅行したのだが、こんな田舎には行かなかったなあ。でも、この風景、黄麻工場、バザール、祭り、フィッシャーマン…>>続きを読む

ボクシング・ジム(2010年製作の映画)

4.0

ワイズマンの映画は初めてだったのだが面白い。なんせこのテキサスのジムに通う人々が多彩。白人の比率は高いが、老若男女問わず。ごちゃごちゃしたジムなのに赤ちゃんがベビーベッドで寝てるし、「ボクシングって不>>続きを読む