くさむすびさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ヒンターラント(2021年製作の映画)

3.8

戦争の影響で病んだ帰還兵と猟奇殺人の謎を解明するミステリーとの融合が上手くいってる。全編CGとだけあって違和感はありありだが、数年捕虜収容所にいた兵士たちが母国に戻ってきたら見違えるような国になってい>>続きを読む

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

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NHKBS 世界のドキュメンタリーで鑑賞。これは何を差し置いてでも見る価値があると思う。
『娘は戦場で生まれた』を思い出した。民間人を無慈悲に攻撃するロシア軍。子どもですら無惨に命を落とす様子に思わず
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苦い涙(2022年製作の映画)

2.0

ファスビンダー版未見だからか、面白さが分からなかった。レビュー読んだ感じ、多分元を見てないと楽しさが分からなタイプの映画なんだろう。
そこそこのキャリアを積み重ねているであろう映画監督ピーターと、まだ
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辰巳(2023年製作の映画)

4.1

108分、一瞬も気が緩むことなく引き込まれた映画だった。筋書きはとてもシンプルなんだけど(悪く言えば平坦)、演出と演技が本当に素晴らしい。
序盤から「『ケンとカズ』の監督だなー」と思わせる遠藤雄弥と藤
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

2.6

このシリーズとは相性が悪い。前作も寝たが、今回も1番の盛り上がりとなる場面で寝る一歩手前まで行った。
舞台設定が地中奥深くというのもあるからか、人間が蚊帳の外に追いやられている感じがあり、それ自体は構
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マッドマックス(1979年製作の映画)

2.8

『フュリオサ』予習。
チェイスシーンは面白いけど、肝心の展開が遅くてしょうがない。続編ありきの作品なのかもしれないが、1本としての満足度はまるでない。マッドマックスはFRしか見たことないのもあって、雰
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不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

3.4

分かりそうで分かんない。脚本は高橋知由だけど、突発的な暴力性(今回は会話ではなく、物理的なものとして)は相変わらず濱口作品の緊張感。触れるという何気ない行為が恐ろしく感じる2つのシーンは鳥肌もの。正直>>続きを読む

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

3.8

避暑地で14歳の少年が年上の女性に恋するというありがちな設定ではあるんだけど、奇妙な湖の噂や幽霊についての話など、ずっと漂っている死の気配が瑞々しさをかき消していてそこが好みだった。「結局何の話だった>>続きを読む

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

変貌した日岡を完全に食った上林の極悪っぷり。大上からのパワーダウンは否めない。でも瀬島の家のシーンで、今作の楽しみ方が分かった気がする。とある一言が図らずも大上という刑事に対する見方みたいなものを少し>>続きを読む

宇宙探索編集部(2021年製作の映画)

1.2

フェイクドキュメンタリーなんだけど、映画の中の製作陣と被写体の関係性がよく分からない。被写体に近い割にカメラマンは声を発さないのが気になるし、それがノイズになって映画に入り込むのを妨げているような気が>>続きを読む

THE WITCH/魔女 —増殖—(2022年製作の映画)

3.3

1作目はパク・フンジョンの中でも面白くない方に分類される映画だと個人的には思っているので、2作目に当たる今作は映画館で見なかったんだけど、前作みたいな早送りしたくなるほどの退屈な話運びはなく割と楽しめ>>続きを読む

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

3.0

これが『Saltburn』や『聖なる鹿殺し』の源流か。ヌルッと始まり、ヌルッと物語を展開していくのが気味悪い。バカなのでこの映画に込められた深い意味合いなどは全くピンとこなかったが、ストーリーを追って>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

大林版『異人たちとの夏』に乗れなかった反動か、今作はしっくり来た。特に後半の両親との別れのシーンは主人公が別れを切り出すのではなく、両親側から別れを告げるアプローチがすごい良かった。だからこそ突然やっ>>続きを読む

べネシアフレニア(2021年製作の映画)

3.3

外面は普通のヴェネチアの街並みだけど、内面はオーバーツーリズムに対する市民の嫌悪感情が募りに募って過剰な抗議活動に発展する一種のディストピア的な世界観の居心地の悪さ。最初は「そこまで目くじら立てなくて>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.1

『異人たち』予習。
ファンタジーとしては曖昧な所にハマれず、真相も予想の範疇だった。けど終盤の強烈さは完全に予想外だし、残酷ながらも美しい愛の話は胸にくるものがある。死が一つのテーマでありながら、生の
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ポーカー・フェイス/裏切りのカード(2022年製作の映画)

2.8

テンポ良く進む編集によってサクサク見れるし、ポーカーで巨万の富を得た設定が、終盤の命懸けの心理戦に説得力をもたらしているのも良かった。
ただストーリーが悪すぎる。新鮮味が全然なく、どこかで見たような要
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午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

4.9

レア・ミシウス作品でお馴染みノエ・アビタ演じるタルラ、深夜ラジオに救われた映画好きって、完全に俺じゃんと思いながら感情移入してしまった。
シャルロット・ゲンズブール演じるエリザベートは、自分自身も辛い
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

3.5

想像以上に変な映画。途中まではのれてなかったんだけど、登場人物全員イカれている事実を受け入れてからはそこそこ楽しめた。
パブロ、指輪、パプリカチキン、鶏、ポレットを追う姉、ストライキで自由を求める人々
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オールドマン(2022年製作の映画)

1.5

単純な疑問だけど、なぜジジイ目線オンリーで話を進めようと考えたのかが気になる。どう考えてもこの手の話なのにジジイ目線しかない時点で一筋縄ではいかないことが開始数分で分かるし、それを悟らせないためにもジ>>続きを読む

聖なる復讐者(2022年製作の映画)

2.9

"狂犬"という名の教官のもとに、あらゆる暴力が許容されている少年院で復讐を企てる中で、弟を救えなかった過去への贖罪。そして自分に対する戒めのように、返り討ちを覚悟で所構わず自暴自棄に殴りかかっていく。>>続きを読む

意志の勝利(1935年製作の映画)

2.3

ナチス・ヒトラー映画強化週間⑥。
プロパガンダ映画なのでつまらない所もあるが、ヒトラーの話術や国民のモチベーターとしての能力は天性のものがあったんだなと今作を見て実感する。「絶えず指導者は変わってきた
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RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

面白くはあるんだけど、見てて心踊らなかったのが正直な感想。実在するラッパーの話という事前情報からは想像もつかないような逆サクセスストーリーで笑った。若気の至りで薬を売ったり、暴力に走ったりするのは分か>>続きを読む

ヒトラーへの285枚の葉書(2016年製作の映画)

1.8

ナチス・ヒトラー映画強化週間⑤
上部だけの事実で物語が進行していくので、そこから見える心情の深層に肉薄しているとは到底思えない。例えば息子が戦死する前の生活とか、手紙を書く中での葛藤などを見せてくれな
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ゲキ×シネ「天號星」(2024年製作の映画)

3.8

初ゲキ×シネ。久保史緒里さん目当てで鑑賞。上映前に軽いあらすじを読んだくらいの知識で見たが、めっちゃ楽しかった。入れ替わりものなので、どうやって元の体を取り戻すかを試行錯誤する話かと思いきや、そこはあ>>続きを読む

貴公子(2023年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

パク・フンジョンは『THE WITCH』とかじゃなくて、一生ノワールを撮り続けてほしい。ここ数年の韓国ノワールでは断トツで1位。僕が考える傑作韓国ノワールに揃っている3つの要件①ドラマの面白さ②血生臭>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

何回チャレンジしても"真珠"のシーンが本当にダメで毎回完走できずにいたのだが、やっと乗り越えることができた(大分キツかったけど)。
暴走する刑事と、既得権益に染まっていない刑事のせめぎ合いが面白い。「
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シンドラーのリスト(1993年製作の映画)

3.7

ナチス・ヒトラー映画強化週間④。
ユダヤ人であるスピルバーグが今作を撮った意味は十二分に感じられるが、いくらなんでもこれで3時間15分は流石に長い。スピルバーグほどの天才ならもっと短くまとめられたので
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屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ(2019年製作の映画)

4.2

冒頭の完璧な犯行には程遠い場当たり的で杜撰な死体解体から面食らう。不細工だと罵られても全然動じてない所に彼の今まで歩んできた人生を感じたり、フリッツの部屋に消臭剤が置いてあったりなど細かいところでリア>>続きを読む

ヒトラーの贋札(2007年製作の映画)

3.6

ナチス・ヒトラー映画強化週間③。
ドキュメンタリーチックの大胆なズーム、固定していないカメラなど徹底してリアルを追求していて緊迫感がある。あの贋札製造所にいた人間の中で、生きるために贋札を作り続ける者
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ヒトラーを欺いた黄色い星(2017年製作の映画)

2.0

ナチス・ヒトラー映画強化週間②。
劇映画パートと当時の生存者にインタビューをするドキュメンタリーパートが綯い交ぜになっている構成なんだけど、自分は説明が多すぎない映画が好きなので、当時の心境を当事者が
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ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

3.9

ナチス・ヒトラー映画強化週間①
映画的に特筆すべきシーンもないし、ひたすらナチス幹部が"いかに効率よくユダヤ人を処理するか"の問題を議論するだけで切り返しが大多数を占めている映画。胸糞悪い作品だが、不
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記憶の棘(2004年製作の映画)

3.4

『関心領域』予習。『アンダー・ザ・スキン』よりは楽しめた。
途中までめっちゃ良かったんだけどな。序盤にショーンの謎を見せるから余計なことを考えずに物語に入り込めるんだけど、ただでさえファンタジックなス
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生きててごめんなさい(2023年製作の映画)

3.5

初っ端の「自分がこの世界の主人公だ!」と言わんばかりの横柄な客を中心に据え、明らかに上手くやれていない居酒屋店員と彼女を助ける男は画面の端のほうにいる構図。そして2人の関係が縮まった後に出てくるタイト>>続きを読む

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

4.1

『蛇の道』の続編としてこれ以上ない題材で見せる、新島の荒治療セラピー映画。復讐とは違う私情の入らない殺しの仕事を請け負い、空虚な毎日をひたすら積み重ねる。笑いが時々生まれるのに、作品を纏う重い雰囲気が>>続きを読む

アンダー・ザ・スキン 種の捕食(2013年製作の映画)

2.0

『関心領域』予習
ジョナサン・グレイザーの映画は『THE FALL』と今作しか見ていないのでまだ何とも言えないけど、高低差を使うのが上手い監督だなと思った。今作もスカヨハと一線を越えようとした男たちは
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ブラックベリー(2023年製作の映画)

3.4

ブラックベリーを生み出したRIM社の栄枯盛衰。事業規模、社風、上司、人間性、ブラックベリーがシェアの半分を占めていた時代からiPhoneが台頭し始める時代と、様々なものが移ろいゆく中でRIM社が築いた>>続きを読む