Tomさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

凄い。芸術性も高く,ファンタジックなフック乍ら現実を見据えた社会性もあり何よりエンタメとして面白い。衣装に撮影,色彩,美術と調和する不協和音が織りなす世界観に完全に掴まれた。哀れなのは誰なのか突きつけ>>続きを読む

サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.9

監督の映画愛が画面から伝わってくる。映画を創ることが生き甲斐なんだろうな。美しい街並みに三角関係と,らしさも魅せて,思いの丈をパロディと共に自虐してぶつける面白さよ。近年の映画祭や映画業界の風潮を臆せ>>続きを読む

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

2.6

出オチ感が凄いな。正直,CGも安っぽさとまでは言わないが物足りなさが残る。ご都合展開もツッコミながら楽しんで見てたけど雑すぎる上に説明台詞と同じ展開の連続にテンションが上がってこない。もっと救う対象を>>続きを読む

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

4.5

言葉が出ない。衝撃過ぎる。一才の保証のない,命懸けの脱北のドキュメンタリー。再現映像無し。本作を録れる時代と技術の進歩に加えて,作品の現実への影響まで考えた上で公開を決断した勇気と,牧師や監督の想いに>>続きを読む

マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.8

自由奔放なバーンスタインの半生を妻との愛を中心に描く。カラーと白黒,画角変化,長回し,ジャンプカットと技巧が一杯。全てが効果的かと言われると微妙だが,ブラッドリークーパーが試行錯誤しながら監督の道を模>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.4

なんて豊かな映画なんだ。そしてこんなに優しく友情を描く西部劇を見たことない。ゆったりした時間の中で魅せる自然と動物と人間の営み。絡んでゆく緩やかながらひりつくサスペンスと開放感を魅せるドラマが心地よい>>続きを読む

サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.9

冒頭カオスなスーパーマーケットから楽しい。ワッフルメーカーどんだけ欲しいんだよw丁寧過ぎて犯人はすぐ分かるが色んな驚かし方と殺し方をアイデア全開で魅せてくれて楽しい。焼き鳥ならぬ焼き人とdeathトラ>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

3.8

バリーコーガンの魅力が全部詰まった本作。撮影に構図,色彩,階級格差やキャラの見せ方,一つ一つに説得力がありスリリングで面白い。スリラーなのにガチすぎて笑えてくるこの感覚は中々味わえない。監督の手の上で>>続きを読む

Pearl パール(2022年製作の映画)

3.8

愛されたい,抱きしめられたい,外の世界へ行きたい…。その気になれば逃げれるが愛されたいが故に誰かに依存せずには居られず壊れていく様が切なくも恐ろしい。彼女の抱く感情は誰の中にもある普遍的なものだから,>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.8

代わり映えのない日々。美しい木漏れ日の光と影を見つめて見えてくるもの。一度きりの人生,今この瞬間。そして世界の繋がり…。劇場を出て視線が上がった。上を向いて生きていこう。忘れかけていた,第二の人生を歩>>続きを読む

小さき麦の花(2022年製作の映画)

3.8

格差が広がる🇨🇳。貧困層の深刻さの中に魅る季節と命の循環。競争社会とは真逆の生活に忘れていた大切な感情を思い出させてくれる。種を蒔き花開く愛と慎ましく懸命に生きる姿に感動。強い根を張り,他者を想い,日>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.3

これは異次元。これほど繊細に深く彼女の見ている世界と心情を表現できるものなのか。アニメーションに命が宿ってる。色んなものに見て触れて考えて…これまで見えなかった現実が見えてくる感覚。凄い。彼女の強さや>>続きを読む

REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)

2.6

幕開けの第1章はずっしり腰を下ろして仲間集め。とんとん拍子に集まっていく感はパンチが弱く物足りない。未練たらたらなザックスナイダーアクションも随所にかっこいいがいつもより見辛くもっさりしてた。正直家の>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

2.5

"後悔先に立たず"
今時の不安定な若者世代をよく捉えてるし,ジャンプスケアにも頼らず外しも絶妙で今年のホラーでは演出が一番巧いと思う。映画として良くできてる。ただこの若者達のノリと主人公の人間性が苦手
>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.5

誰もが老い,いつかは死ぬ。避けられない普遍的な重いテーマを終始'静'のギャスパーノエらしさ全開でじっくりと正面から見つめる。死は怖いものだと痛みと共に強く強く訴えるのが深く刺さった。2画面で4倍以上の>>続きを読む

レオ(2023年製作の映画)

2.0

長寿で経験豊富なトカゲが子供達の悩みを解決していくミュージカルアニメーション映画。両者の間に亀裂が入る理由も納得いかず,伝えたい内容が先行して繋がりが無理矢理な印象。一人で抱え込まないでという想いは伝>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.2

永遠に見ていたい。不器用ながらも温もりを互いに求めるささやかな恋を気取らない演出でゆったりと魅せる。時折魅せる隣り合わせの戦争が現実を意識させ,僅かな会話と絶妙な間で醸し出す笑いが最高に心地よい。カウ>>続きを読む

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

3.4

物語的に少々歪だが想像力の力を具現化したアニメーションでしか出来ない表現で捩じ伏せられた。構成的な間の悪さはかなり気になったが,世界観の造り込み含めて期待以上の出来だった。あの2人だけのルールの理由が>>続きを読む

#マンホール(2023年製作の映画)

2.8

強引な話の転がし方やアイデアは面白いが,撮影が兎に角残念。マンホールの中を凄く広く感じる撮り方で,圧迫感が全然感じない。中島裕翔の演技というかエネルギーが凄くて良かった。細かい事は気にせず楽しめたら勝>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.2

凄ぇ。戦争と人間の心の恐さ。その皺寄せが子供へ向かう構図。それを妖怪のこの題材でサスペンスで突きつける鋭さと面白さよ。未来の為に闘う父の背中が格好良すぎて泣いた。必死に生きても報われんかもしれない。で>>続きを読む

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.4

よだれが止まらん。そして料理の工程と奥深さ,二人の想いと情熱が同時に伝わる圧巻の長回し。音楽も流さず自然音と調理音だけで魅せる素朴さも新鮮でいい。其々の料理への立ち位置の変化に"食"もまた芸術だと教え>>続きを読む

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

3.8

問題を抱えた子供達が映画役者となって自身を演じ,探求する物語。繊細な表情を捉えるカメラがいい。創作と現実の境目が分からなくなっていく恐怖。現実を見据え人間の内を探求しながらも客観的な視点から気づきを引>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

3.7

凄ぇ!リドスコが英雄ナポレオンを見事な愛の物語で蘇らせた。それを演じるホアキンのナポレオン感よ。カタルシスの弱さは惜しいが圧巻の全戦争シーンだけで価値がある。ロケーションに衣装,音楽,美術と流石の世界>>続きを読む

プチバンピ(2020年製作の映画)

2.8

シンプルにキャラが可愛い。TV版と比べ線も細く,くっきり描かれ色鮮やかで綺麗な仕上がりに。子供向けなのもあり想像の倍は台詞がうるさくてわちゃわちゃしてた。でも子供は喜びそう。実際300年籠って映画見続>>続きを読む

人生は、美しい(2022年製作の映画)

4.0

余命僅かな妻が初恋相手を夫と探す旅。仲が良いのか悪いのか,笑って良いのかダメなのか絶妙な線を昔乍らのミュージカルで攻めるのが新鮮で最高。🇰🇷の歴史と社会問題を絡め,過去は振り返りながらもポジティブ思考>>続きを読む

スラムドッグス(2023年製作の映画)

3.3

わんこの可愛さとくだらない下品で汚いネタてんこ盛り💩!役者陣もノリノリで楽しんでる姿が目に浮かぶ。人間の勝手な想像と願望を逆手に取る所か,ぶった斬ってくるのがイイね。想像以上の綺麗な着地にもびっくり!>>続きを読む

ロスト・フライト(2022年製作の映画)

3.8

面白い!安心と信頼のバトラー兄貴。惚れてまう。脇までキャラ描写も丁寧で緊張感も切れず,時にクスッと笑わせて,話の転調も巧い。正しく"一つ一つ着実に"積み上げた良作だ。新鮮味や派手なアクションが無くても>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.3

大河とTVでは絶対描けない描写,武将と時代の捉え方が実に新鮮な時代劇。想像以上にエンタメしてて,首もパンパン飛ぶし,まさかの恋愛群像劇に思わず笑った。楽しそうな即興感もいいし皮肉がたっぷり効いたフリと>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

この空気感!!良いねぇ。かっこいい。凄く好み。フィンチャーの職人技が光る,隙もないし肩の力が抜けた粋な作品だ。台詞選びも音での緊張感の演出も実に秀逸。そこに一流には一歩届かない殺し屋の人間臭さと緩さが>>続きを読む

バレリーナ(2023年製作の映画)

2.8

前作でハラハラドキドキ斬新な『The call』を撮った監督の新作。本作はシンプルな復讐劇。相変わらず暴力描写が巧いし,ちゃんと痛いw前作と比べると物語の捻りもなく,ありきたりでパンチも弱い。アクショ>>続きを読む

シャドー・ゲーム ~生死をかけた挑戦~(2021年製作の映画)

3.2

安息の地を求める難民者達の人生は国境を越えれば勝ち,出来ねば負けの命懸けのゲーム…。皮肉なのだろうが,そう捉えないとやってられない現実に唖然。家がある事,食事ができる事…今の当たり前の生活が当たり前じ>>続きを読む

マインド・ゲーム 〜自分の道を信じて〜(2022年製作の映画)

3.3

タリバンに父を殺され,アフガンを離れた青年を追うドキュメンタリー。国境を越える事をゲームと呼ぶのが同じ映画祭で2本共通してるのが興味深い。コロナによる移動制限や国境を越えて尚続く大変な日々,残してきた>>続きを読む

ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦(2022年製作の映画)

3.9

国内対立が続く🇻🇪。子供達に無償で楽器と指導を提供するPJを追う。ドゥダメルの人間性と音楽性,国に公演を止められても諦めない強さに惹かれる。画面越しに素人でも分かる想いの乗った圧巻の演奏とERの演出に>>続きを読む

アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

1.0

SWの焼き直しと繋ぎなんかにアントマンを消費しないで。体のサイズを変えて戦う面白さも楽しい家族の日常も消滅し世界観も破茶滅茶…。量子世界の魅力も完全に死んでる。繋ぎとしてもヴィラン含め今後に全く期待で>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

1.5

迫力満点,没入感0点。ゴジラが街を破壊する時の見上げるカットは良かった。ただ脚本も人間ドラマも演技も酷すぎて笑ってすら見てられないレベル。音楽もそこで流すんだって感じだし同じ説明何回するんだよ…。監督>>続きを読む

ペイン・ハスラーズ(2023年製作の映画)

2.0

いくら営業とは言えこんな風にアポ無しで病院凸して薬を押し売りをするって,実際やっていいのだろうか?アメリカでは普通なんだろうか…。役者は豪華だが映画としてもかなり微妙。全く感情移入出来ないのに同情させ>>続きを読む