納得できる結末だった。地に足のつかない非現実的な展開の「寒さ」が、観客を物語の敵として異化する構造が、強い。
筋に稚拙な点は見られるが、映像の強さがすべてを持っていってしまう。
高畑作品の根幹を私は超越的な赦しの構造に見ているが、ここでも最後の解放のマジックと言ったらない。
この朗らかに楽観的な無常を手放しに肯定する境地には私はまだ至っていないが、アニメーションの見事さは格別である。
小池のアニメーションを目当てに鑑賞したが、全体的に楽しむことのできるよい娯楽作品だった。
素晴らしい映画だが、『宇宙よりも遠い場所』のあとでは筋の甘さが際立って見える。
幼年期の青春がその人生をゆるやかに拘束することを、 さっぱりとした哀愁とともに描く。予定調和的な終盤の冗漫さはしかし人生と相似的である。そこかしこに見られるこの冗漫さーー遊びにこそ本作の魅力があろう。