三國連太郎演じる犬丸は、『白痴』とか『グリーンマイル』とか『二十日鼠と人間』みたいな「聖なる白痴」系のキャラで、どんなに虐められても何をされても怒らない、病的なまでのお人好しだ。
それに対して中村賀津>>続きを読む
ニューシネマ的なフォーマットに東映らしい下品&暴力が盛り込こまれ、退屈しない。
2人を追う室田日出男が葬式に乱入して遺体を観て腰を抜かすシーンや、殺し屋達に脅された妹の愛人が「味の方はわかりませんが…>>続きを読む
約3時間もの長尺に冗長な展開、今観るとヘボい戦闘シーン…
この頃のアメリカ戦争映画にありがちな大味大作だけれども、線路に回り込んだ戦車が正面から列車を粉砕したり、至近距離から戦車同士が撃ち合ったり、燃>>続きを読む
やっぱり映画において「走る」シーンって格別な興奮がある。それまでの全てがそこで機能するからだ。
エルサが「もう寒くないわ」と扉を閉めるシーンで興奮は頂点に。
「最終的に和解するにしても、ここでピカレス>>続きを読む
渡瀬恒彦目当てで鑑賞したのだが、それ以上に成瀬正孝も極上。
もっと言えば2人の関係性が良いのだ。
この映画の見所はほぼこの2人の絡みにあると言っても過言ではない。
「他にやることあんだろがよ」と呆れな>>続きを読む
「学生」と書いて「セイガク」と読む。
安藤昇映画ではおなじみの響きだが、本作では無関係だ。
かなりドマイナーな映画であり、内容も微妙なのだが、バイオレンス度は妙に高い珍品だ。
1974年の東映やくざ>>続きを読む
「謎」自体は単なるドロドロ愛憎劇だが、情緒豊かな画や裁判シーンの緊張感のメリハリで飽きさせない。
松坂慶子の一見アバズレな振る舞いに隠れた一途さは胸を打つし、対する大竹しのぶのぶりっ子的狡猾さの対比>>続きを読む
何やらわちゃわちゃと犯罪サスペンスが展開されるが、そんなものはどうでもよかった。
この映画の魅力は、ドロンとブロンソンの関係性に尽きる。
金目的で同行し衝突を繰り返すうち、やがて互いに過去を語り合い、>>続きを読む
前から思っていた。「ニック・ノルティって何か怖い。しかもどこか陰湿な感じがする」と。
まさにそんな不安を抉ってくるような映画だった。
破天荒だが腕はある。口は悪いが信頼はある。スケベだが人情味がある>>続きを読む
主人公の父、デヴィッド・ニーヴンの罪深い好色さ。
セクシーすぎて実の娘にすら手を出しそう。
全てを無かったことにして「奔放」を演じる父娘。
泣き化粧が何とも怖い。
股間にボカシをかけられながら惨殺される石橋蓮司、腹黒い佐藤慶、厭世ホモ記者の林隆三、イカレ成田三樹夫、忠義の千葉真一等々、登場人物が多い割にそれぞれに印象的なシーンが設けられている印象。
この手の東映>>続きを読む
もう70~80年代くらいにやりつくされたものを今風の演出も混ぜつつ手堅くやっている感じ。
とはいえ、いかんせんオーソドックスすぎて「おいおい今時マジか」と何度も思ってしまった。
20年も前の『エクソシ>>続きを読む
シドニー・ルメットの映画ではバッドエンドなんてさほど珍しくもないが、この映画は度を超えている。
真綿で首を絞められるような息苦しさに見舞われる。
殺された友人、踏み殺される我が子。ナチどもの性奴隷に>>続きを読む
あまり面白くない。
しかし、菅原文太や小林旭の魅力は良く出ている。
2人は敵対関係にありながらも互いを認め合っている。
第三者が相手を侮辱すると激怒する程だ。
それなのに、顔を合せれば殺し合う。この>>続きを読む
いかにも東宝らしいあっけらかんとした戦争活劇で、戦闘機から釘を落として攻撃したり、喰らった敵の悲鳴がテロップで吹き出したり、妙な小技が小粋。
ただあまりにもポップ過ぎて入り込めない。
過剰に重くする必>>続きを読む
誠実な者、淫乱な者、性悪な者、超然としている者。この映画に登場するゲイの性格は多種多様だ。
よくある「オカマキャラ」みたいな記号的な表現ではなく、全員をフラット且つ丁寧に描いている。
唯我独尊男のフリ>>続きを読む
高倉健、辰巳柳太郎、待田京介、藤山寛美ら「任侠」俳優に加え、北大路欣也、穴戸錠、渡瀬恒彦、川谷拓三、田中邦衛ら「実録」俳優が混戦し、さらに竹下景子と大谷直子という2大薄幸少女が華を添える。
川谷拓三達>>続きを読む
拷問、スカトロ、猟奇、在日、死姦、輪姦、近親相姦…さらには撮影中の発砲事件によるスキャンダル。
おおよそ一般の映画においてやっちゃいけないであろう事を全てやり遂げている怪作だ。
配下の外道どもは「オ>>続きを読む
若干荒唐無稽な冒頭が示唆するように、今回はレイプも復讐も前作より過激になっている。
舞台も前作の様な山林ではなく、東欧の街中になり、敵も常習的な犯罪レイプ一家になっている。
監禁・飼育といった環境に加>>続きを読む
ヒロインの女優は知らない人だったが、スレンダー美人だし、とても良いプリケツをしている。
レイプ男達の中に気弱な流され君がいたり、逃げながら数回に渡ってレイプされたりとオリジナル版に忠実。
盗撮だとかレ>>続きを読む
大友柳太朗という俳優は威風堂々としすぎていて全然悪役に見えないのだが、非道を極めさせることで悪役としての魅力を強く打ち出している。
門弟随一の腕前と思われる使い手を襲うシーンはまさに真骨頂だ。
斬り結>>続きを読む
登場人物は全員曲者であり、善悪の区別なく殺し合いまくる。
クライマックスの殺陣は後の『仁義なき戦い』を先取った様な手持ちカメラ撮影で、カメラに水滴が付こうが泥が跳ねようがおかまいなしに壮絶な殺し合いが>>続きを読む
間違いなく標準以上の出来なのだが、反面、妙な物足りなさを感じる。
『十三人の刺客』の鬼退治的な分かり易い物語に『大殺陣』のリアルな殺陣を融合させ、双方のいいトコどりをしている…はずなのに何だか微妙で>>続きを読む
降旗康男の映画は苦手なのだが、いつもの演歌臭い嘘くささが無くて見易かった。
正確に言うと、嘘くさいのは嘘くさいのだが、それが気にならないのだ。
物語開始時点で既に大原麗子が壊れてしまっているし、高倉>>続きを読む
映画で初めて「暴走族」を描いた映画らしい。
暴走族が爺さんを苛めたり殺したりしつつ恋や喧嘩に明け暮れるという、今ではありきたりな物語。
若き日のリー・マービンは既に渋かったが、肝心の中身はちょっと退屈>>続きを読む
捨てられた男達と捨てられた島。
返還前の沖縄の異様な雰囲気の中、任侠から捨てられた男達の怨念が静かに爆発する。
キャストだけでかなり充実しているが、さらにこの映画は台詞・アクションまでも秀逸だ。
中>>続きを読む
警察を通すことで、観客がやくざ側へ感情移入することを許さず、「組織暴力」の冷酷さを描いていく。
この構造は傑作『県警対組織暴力』との相似も感じさせる。
やくざ映画の肝であるはずの抗争はカタルシスなど無>>続きを読む
死体描写はそこそこ薄気味悪かったのだが、種明かしシーンで非常にチープなメイキングが流れるため台無しだ。
頼りにならなそうな永島敏行が最後まで頼りにならない辺りも悪い意味で消化不良である。
『悪魔が来り>>続きを読む
聖なる娼婦。創作の世界ではベタな存在だが、抱かれる面子がことごとく濃いのだ。
ケロイドに侵された殿山泰司に抱かれ、ヤマトを恨む蟹江敬三に犯され、盲目の鹿沼えりと貝を合わせる。
社会的マイノリティの人間>>続きを読む
タイムループ物なんて手垢の付きまくった素材だが、逆にそこを利用して、「お約束過ぎるシーン」や「説明するまでも無いシーン」は大胆にカットしてテンポを詰め、その分後半のボリュームが増えていた。
「2週目>>続きを読む
作品的にはよくある家庭再生モノとはいえ、長男の描写の凄まじいリアリティに惹き込まれてしまった。
読んでもいない本を取りあえずタイトルだけ列挙してスノッブぶり、プライドを保つためだけに微妙な彼女と交際。>>続きを読む
MUTOとかいう対決怪獣がいるらしいとは聞いていたが、まさかここまで扱いが大きいとは…
大きすぎてゴジラは蚊帳の外だ。
まず、映画が始まって最初に描かれるのが、MUTOによる災厄とその危機。
メガヌロ>>続きを読む
主演は渡瀬恒彦なのだが、狂言回し的な役回りであり、実質の主人公は吉田輝雄だ。
基本的には「趣味じゃねえなあ」とか言って田崎潤の蛮行を傍観するだけだ。
フランスかぶれの佐藤允と張り合いつつ認め合いつつ…>>続きを読む
太陽の塔の下、大阪万博のために来日した外人達や観光客を狙い、娼婦やヤクザがギラギラと走り回る…
と書くと、なんだか裏昭和史的なドラマが見られるのではと期待してしまうが、その設定にほぼ意味はない。
エ>>続きを読む
序盤、令嬢の言動は明らかに監禁状態という異常な状況が生み出した倒錯であり、『何がジェーンに起ったか』的な心理サスペンス劇に転じるのかと思っていた。
だが、「いやらしいナメクジ男」とまで嫌っていたスリム>>続きを読む
過激なシーンを起伏無く淡々と連ねる、という妙な手法が、観客の猟奇に対する慢性的な麻痺を引き起こす。
また、撮影クルーの感覚が麻痺していく過程とシンクロするあたりも怖い。
老婆を嬲るシーンはおばあちゃん>>続きを読む