うめまつさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

うめまつ

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キングスマン(2015年製作の映画)

3.8

英国紳士大好きなのにグロ耐性が無さ過ぎて回避してたけど、こんなマイフェアレディinトンチキバイオレンススパイコメディ(長い)だったとは。身体が真っ二つに割れたり首がぼんぼん飛んだりしてたけど、ギャグっ>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.6

冒頭から終幕までピンと張りつめた弦が通っているような緊張感があった。目も耳も存分に満たされたし、とても美しく完成度の高い映画だと思う。ただその『作品』としての額縁が最初から決まっていて、そこに物語を合>>続きを読む

5つ数えれば君の夢(2014年製作の映画)

3.0

主要登場人物全員が代わる代わるに胸焼けしそうなくらいポエジーな台詞を吐き続けるのに「ちょっとごめん何言ってるかわかんない」と誰も会話の途中で水を差さないことに鬱憤が溜まり続ける。そのくどくて甘ったるい>>続きを読む

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

3.6

小川洋子の小説を読んでいるみたい。物語が似ているというよりは流れている空気が近いように感じる。ひんやりと乾いていて其処彼処に哀しみが隠れている。その哀しみの在処に気付いた時、あまりにも苦しくて息が詰ま>>続きを読む

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.8

前半はほぼずっと不穏な空気が支配しているのだけど、それは《主人公が次に誰を食べてしまうのか》という恐怖なのだ。捕食者と被食者両側の視線で映画を観る、という感覚が新鮮だった。ガラステーブルの下に寝転ぶ姿>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.4

最高かよ。私も極限まで鍛えたら、虎にも負けない身体を持ち、橋の上から子供をスカイダイビング救出し、ナートゥダンスで意中の人を射止め、毒蛇に噛まれても驚異的に回復し、鋼のローズウィップ処刑にも屈さず、民>>続きを読む

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

4.2

今を生きる全ての女性たちよ。凡ゆる差別や冷遇や恐怖に耐え忍び、今日まで何とか生き延びて来たことをお互いにそっと讃え合おうぞ。。という気持ちになった。それくらい女にとってまだまだこの世は地獄で、藻がくの>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

2.4

ミュージカル映画なのにライブシーンにノれないのが致命的過ぎる。森山未來やアヴちゃん本人が妖艶な着物姿でパフォーマンスしてたら、本人の魅力も相まってもうちょっと見られたかもしれないけど(お二人のレコーデ>>続きを読む

アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング(2018年製作の映画)

3.6

元気しか出ない。私もこれから毎朝鏡に向かって「私は勇敢!私はブロンド!私はデキる女!」と呪文をかけようと思った。もちろん容姿なんてどうでもいいなんて思ったことは1秒たりともないし、この映画を観た後もや>>続きを読む

マシュー・ボーン・シネマ「くるみ割り人形!」(2022年製作の映画)

4.4

ファンキーでポップな真冬の夜の夢。ナットクラッカーが実寸化してクローゼットから出てくるシーンの衝撃たるや!その不気味さに第六天魔王でも降りて来たのかと思った。さらに被り物を脱ぎ捨てて第三形態になった時>>続きを読む

JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.0

グロいカワイイグロいカワイイグロいグロいグロいカワイイで101分がぎゅぎゅぎゅと針も通せないほど隙間なく構成されており、全く先の読めないRPG的な冒険も、ジャンクディストピアな世界観も、少年ジャンプ級>>続きを読む

ウェイトレス 〜おいしい人生のつくりかた(2006年製作の映画)

4.2

終始モラハラDV束縛旦那に殺意を抱き続けながら、妊婦(主人公)と産婦人科医の不倫を見続けるという、最低と最悪をドロドロに煮詰めた濃厚カラメルソースのような設定なのに、不思議なほど後味は爽やか。まず主人>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.2

私の両の目はこの映画の解像度に適したレンズではないのであるな。。という印象。これまで沢山映画を観てきて、本作含めその殆どは縁遠い話なのに、自分にとって「必要な物語」と「不必要な物語」は一体どこで分けら>>続きを読む

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

3.6

ポップで陽気でキラキラした『THE☆青春ムービー』な導入部にすっかり気持ちが寛いだ頃、いきなり血生臭い現実がどかどかと押し入って来て四方を取り囲まれてからようやく気付かされる。これは戦争映画だったんだ>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.6

まさかここへ来てスラムダンクの新作映画にワクワクできるなんて「生きてるとうっかり良いこともあるもんだなぁ」って0.1秒くらい思えたから、まずは井上先生、これまで命を削って漫画を描き続けてくれて、さらに>>続きを読む

ロマンスドール(2019年製作の映画)

3.8

あまりに大きな喪失に遭った時、周りの音は消え失せる。季節とか気温とか昼夜とか時間とか社会とか倫理とか自分の皮膚一枚隔てた外側の声は一切聴こえなくなる。内側では断ち切られた過去がもう掴めない未来に手を伸>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.4

寝室のシーンに内心「キターーーー!!」って興奮したから、私の黒沢清偏差値もなかなかのものだと思った。蒼井優ちゃんと高橋一生という最愛キャストで、ちゃんとキヨシクロサワにも開眼してるはずなのに、ハマりき>>続きを読む

恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

3.6

前半あまりにもフィル(ビルマーレイ)が傲慢で嫌な奴なので、ラブシーンとかも嫌悪感しかなくてジト目で見てしまった。後半改心してくれたあたりからようやく平常心を取り戻せた。半年以上をかけて《毎日同じ日を繰>>続きを読む

1秒先の彼女(2020年製作の映画)

3.4

ロマンチックとホラーは紙一重案件。可愛いラブコメであることは間違いないけど、あのヒロインを想ってる男の子がバスの痴漢おじさんの容貌だったらかなり厳しいよな。。と思いながら見ていた。(元も子もない見方)>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.6

これまでにアニメや映画や小説で何度も触れてきた若草物語。四姉妹の性格も趣味も特徴も関係性も全部知ってるし、主要なエピソードも殆ど覚えてた。なのに、なのに、なんて新鮮な気分なんだろう。メグもジョーもベス>>続きを読む

戦場のメリークリスマス 4K 修復版(1983年製作の映画)

5.0

ミラクル奇天烈薔薇色キャストが織りなす戦争という名の狂った日常。その干涸びた荒地にひっそりと咲く花は、憧憬のような友愛のような恋慕のような複雑な顔をしている。

麗しのボウイ様が映る度にあまりに鮮烈に
>>続きを読む

8年越しの花嫁 奇跡の実話(2017年製作の映画)

3.4

生まれてこのかた自分の存在に疑問を抱いたことないくせに(←偏見)、どうしてそんなに不器用に笑えるの健。。美男美女の難病もので、さらにタイトルに《花嫁・奇跡・実話》なんて付いちゃうと心のシャッターが勢い>>続きを読む

オルジャスの白い馬(2019年製作の映画)

4.2

気をぬくと「猫かわいい」しか言えなくなる『こねこ西部劇』だった。そして森山未來がまさかのカザフスタン人役という衝撃。ネイティヴに近いのかはわからないけど台詞も流暢に聞こえたし、もう風貌からしてカザフス>>続きを読む

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.4

このアンニュイで気障で浮世離れした登場人物達は何について語り、何を思いながら煙草を燻らせ、何に泣きながら林檎を齧り、何を願いながらくるくると回っているのか私には皆目わからなかったが、印象としては《超哲>>続きを読む

オデッセイ(2015年製作の映画)

3.6

宇宙兄弟読んでたらSF欲を満たしたくなって観た。やっぱり最後に身を助けるのは農業なんですね。。とか、あぁ頭良くなってNASA語を理解したいなぁとか、ジェシカ様かっこいーとか色々あったけど、どんな設定や>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.8

不謹慎極まりないけど『リアル戦場ゲーム〜ボーナスは英国紳士〜』をしているような2時間だった。隅々まで配慮された親切な作りで、その継ぎ目のない滑らかな編集や美しさや切なさまでもが整頓された演出は大変見心>>続きを読む

Love Letter(1995年製作の映画)

4.8

ミミミミミポリンキレイイイイイ!!で始まってミミミミミポリンカワイイイイイ!!で終わる素晴らしい映画。画面に映るだけで人を幸せにできる能力を女優(優れた女)と呼ぶ。見ている間、ずっと押されてなかったツ>>続きを読む

ラストレター(2020年製作の映画)

3.4

私もそろそろ岩井俊二への拗らせた初恋を過去に葬らなくてはならないんだと悟った。あんなに美しく芳しく吸い込んだ途端身体中をキラキラで満たしてくれる澄みきった毒にはもう二度と絶対に出会えないから、ずっと何>>続きを読む

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

3.2

『生まれた時から植え付けられた偏見を一瞬で覆せるもの、それは恋!』という素敵な話だった。二階堂ふみちゃんの役がオスカル設定(男として育てられた女の子)だとばかり思ってたので、普通に男の子で拍子抜けした>>続きを読む

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)

4.2

ジュディが「あなた」と歌う時、それはいつもジュディ自身のことのように聴こえた。失われた子供時代の自分。ドロシーを演じなかった自分。母親としての自分。娘としての自分。特別じゃなくても愛される自分。フラン>>続きを読む

イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり(2019年製作の映画)

3.8

大画面で空飛ぶエディが見れるだけで満足人間なので、期待してなかった分バルーンパニックとしてかなり楽しんだ。私なら間違いなく離陸から20分辺りで死んでるなってくらいの、高いよ怖いよ寒いよの大冒険インザス>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

3.8

とことんリアルなのに何処かファンタジーのような不思議な映画だった。生々しい感情は見えるのにそれを抱える人物の質量は感じないというか、ずっしり重いはずなのに浮いているような感覚から『ピレネーの城』を思い>>続きを読む

名もなき生涯(2019年製作の映画)

4.2

人間が持つことの出来る最も美しいものは、艶めく髪でもきめ細かい肌でも鍛え上げられた肉体でもなく、その内側に宿る魂だということを証明するような映画だった。高潔という言葉はフランツの為にあると思った。どん>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.6

愛おしい。この踊り出したいような髪をくしゃくしゃに撫でたいようなギュッとした気持ちを、ミント色の箱に入れてワイン色のリボンをかけて誰かに贈りたい。もちろん蝶々結びでね。観ている間心の中では、好き、大好>>続きを読む

ムーミン谷とウィンターワンダーランド(2017年製作の映画)

4.2

冬眠っていいなぁ。ゆっくりたっぷり眠るために何日も前からせっせと準備をして、キノコを採り、ジャムを作って、隅々まで掃除をし、たらふく食べて、部屋をあったかくして、時計を止めて、お日様にお別れを言ってベ>>続きを読む