なお

ウマ娘 プリティーダービーのなおのレビュー・感想・評価

ウマ娘 プリティーダービー(2018年製作のアニメ)
4.0
”擬人化立国ニッポン”

戦国武将、刀剣に続き次は競走馬か…
と、ウマ娘の存在を知った時は率直にそう感じてしまったのももはや懐かしい。

競馬に全く明るくない自分でも知っているレベルで有名な、実在する(した)競走馬の名前を借りた美少女たちが、煌びやかな衣装を身に纏い己の健脚ひとつで地を蹴り”一等賞”を目指す。

ただの美少女アニメに留まらない、熱い愛と友情にあふれたスポ根的要素や、ウマ娘養成施設<トレセン学園>にて描かれる学園ドラマ的要素もある作品。

✏️日本一のウマ娘
実在する競走馬の馬主にきちんと許可を取り(当たり前だが)、物語の大筋やターニングポイントで描かれる出来事はおおよそ史実に基づいたもの。

また、劇中に登場するウマ娘のビジュアルや衣装は実際の競走馬の特徴的な見た目や意匠から象られたものであるなど、もうこれだけで並々ならぬ愛にあふれた作品であることが分かる。
(一説によると、ウマ娘を全く知らない競馬好きのおじさんにとあるウマ娘を見せたところ、そのモデルとなった競走馬名をピタリと言い当てたとのこと…)

作品内容。
シーズン1の主人公格となるウマ娘、スペシャルウィークとサイレンススズカの友情に心惹かれる。

故郷の北海道から上京してきたウマ娘・スペシャルウィークが、慣れないレースに苦戦したり手強いライバルたちに揉まれながらも奮闘を繰り広げ、ゆっくりと、だが確実に成長を遂げる姿は王道ながらやはり安定した展開。

そんなスペシャルウィークに呼応するように、次第に闘志をむき出しにしていくサイレンススズカの姿もアツい。
物語の途中、スズカは左足の骨を骨折。
(ちなみにこの骨折も、サイレンススズカの史実に基づくもの。この骨折が元凶となり、サイレンススズカはこの世を去ることになる)

レースへの復帰が不安視される中、見事この骨折を克服。
再び熾烈な戦いの場へと舞い戻る。
その後彼女は、自らのモデルとなった競走馬が果たせなかった・果たすはずだった夢と目標を叶えることになる。

☑️まとめ
「私の夢は、サイレンススズカです。夢、叶わぬとはいえ、もう一度この舞台(1999年の宝塚記念)でダービー馬(スペシャルウィーク)やグランプリホース(グラスワンダー)と走ってほしかった」
著名な競馬実況者のひとり・杉本清氏は、亡きサイレンススズカとスペシャルウィークの名をとってこのような話をしたという。

既に本作を完走している方ならお分かりだろうが、ウマ娘の世界ではサイレンススズカとスペシャルウィークが同じ競馬場のトラックで、同じレースに出走している。

ウマ娘というメディアミックス作品の醍醐味、それは「モデルとなった競走馬が持つルーツやエピソードを、ウマ娘たちにリンクさせる」ことだと思う。

歴史が長く昔からのファンも多い競馬界である。
一歩間違えれば、安易な「萌え化」としてバッシングされそうなものだが、そうはならなかった。
制作陣が持つ競走馬への深い考察と愛に敬服。

さて、シーズン2では、スペシャルウィークとサイレンススズカと同じチームに所属しているトウカイテイオーとメジロマックイーンが主人公格となるらしい。

友人いわく、こちらも史実に基づいた涙なしでは見られない内容とのこと。
早く、早く続きを…!
なお

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