なお

攻殻機動隊 SAC_2045 シーズン1のなおのレビュー・感想・評価

攻殻機動隊 SAC_2045 シーズン1(2020年製作のアニメ)
4.0
”持続可能戦争”

2000年代初頭に放送された同シリーズ『STAND ALONE COMPLEX』および『S.A.C. 2nd GIG』に引き続きこちらも鑑賞。

本作の特徴はやはり何と言っても全編フル3DのCGアニメーションであること。
というのも、前述の2シリーズを制作していたスタッフ陣を再結集させることが難しく、手描きアニメでの再現が困難であるため、モーションキャプチャを駆使したフル3DCGでのアニメ制作となったそう。

✏️フル3DCG
二次元のアニメーションに比べ、より現実世界に近い奥行きのある世界観の表現が可能になるというメリットがある反面、見慣れるまでに時間がかかり、フル3DCGというだけで視聴を敬遠してしまう層も少なくない諸刃の剣。

個人的には、このフル3DCGとなったことがかなり功を奏している印象。
まず何より、モーションキャプチャを採用したことによりアクションシーンの迫力が格段に向上。
主にシーズン前半の数話にて描かれたアクションシーンにて、少佐やバトーの実写顔負けの体術や身のこなしを楽しめる。

自分の推し・タチコマも、もともと3DCGっぽい感じではあったが、それが更に違和感なく滑らかに、ぬるぬる動くメカにアップグレード。
時に訪れる手描きアニメ特有の作画崩壊も存在せず、安定感と安心感のある仕上がり。

前2シリーズの大人っぽい少佐も良かったけど、少し幼く見える本作の少佐もまた、イイ。

✏️ポストヒューマン
全体的なストーリーも前2シリーズに比べると小難しくなく、オツムの弱い自分でも理解できる安心仕様。

・海外で遊軍的にレイディスト(略奪を目的とした武装集団)たちを征伐していた少佐たちが日本に戻り公安9課を再結成
・ジョン・スミスを名乗る謎の人物から依頼されるミッションをこなす
・そのミッションの最中遭遇する、「ポストヒューマン」なる人間を越えた力を持つ存在と遭遇。その謎を解き明かしていく

大まかな流れはこんな感じ。

ちなみに「ポストヒューマン」とは実在する単語であり、これから未来に登場するとされている「人間の基本能力を遥かに超えた、現代の感覚では人間とは呼べない存在」のことである。

事実、劇中でも少佐やバトーの攻撃を難なくかわし圧倒したり、9課メンバーの電脳を支配しかけるという強大な力を持つ個体が何体か登場する。

我々が生きる現実上でも、「AIが人間の知能を越える」ことを意味するシンギュラリティがいずれ起こるという仮説が存在する。
そのシンギュラリティが起こるのが一説では「2045年」と言われており、本作のタイトルともマッチしている。

前2シリーズが放送された2000年代初頭では、あくまで「アニメ上のお話」だった設定や内容が、より現実味と迫真性を持ったものになっている。

そういう意味では、「時代が追いついた」と評することができるし、今から20年も前にそんな設定や世界観を構築していた攻殻機動隊という作品の底知れなさを改めて実感できた。

☑️まとめ
「カッコよくて面白いけど、話が難しい」
という小学生みたいな感想を前2シリーズに抱いていた自分のモヤモヤを解消してくれた新生・攻殻機動隊。
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