シーズン1も良かったが、今シーズンもすごくいい。大作、力作揃いのHBO作品の中では異色とも言える珠玉の小品で、S2は“友人の結婚式で歌う”しかプロットがないのに、その向こうにいくつもの人生の機微がある。
E1は散歩に始まり就寝で終わる。ほとんど何も起こらない。ささやかな日常にある小さなドラマを描く素朴さ。どこかの誰かの話。それでもそう開放的ではないであろう田舎町に、あまりにも祝祭的なクィアコミュニティが描かれ、どこかファンタジーのようなフィーリングがある不思議。
毎話、アヴァンシークエンス巻頭3分で泣かせ、残りはひたすら下ネタ。ところが、歌のレッスンで指導された「初恋の相手のように」という例えがわからないヒロインは、だからって恋がしたいワケじゃないと言う。何も起こらなくても、観る者に反射する脚本。
望むと望まざるとにかかわらず、人生は続く。人は誰かの特別な誰かになりたいが、そうじゃなくなることは怖い。
自然主義的な演技のブリジット・エヴァレット、ジェフ・ヒラーは今年最高レベルの名演。最終回は泣けてしょうがなかった。