Solo1968

キャンディ:隠された狂気のSolo1968のレビュー・感想・評価

キャンディ:隠された狂気(2022年製作のドラマ)
3.3
(アメリカにて)実際に起きた事件に基づいて作られた作品

よく見かけるこの”くだり”。
全5話のエンディングにて効果的にこの文言が映し出される。
そして、それ以上に強く印象づける文言が続く。
 
事実に基づくものだが、作品中には演出上で事実と異なる描写を含みます 的な注釈がとても強く印象付ける。

それが、とても巧妙な演出とも思え、ここ最近で知った自分の使わない表現で 良く目にする単語のひとつである「胸糞 ムナクソ」という表現がとても当てはまる作品。

○作品のエンディングにおける主人公に対する判決は、実際の事件と同じで、その判決に対する納得し難い気持ち。
○映画、ドラマだからこそ描ける
「真実」「真相」は、見事に描かれておらず、第一話で被害者を殺害した人物=主人公をはっきりと開示して、全5話にて 何故に?知人を殺害する事になったのか?
が描かれているが、単なる時間軸をなぞるものでなく、見事な演出で時間軸、時系列を行ったり来たりする事で、その真相への興味、殺害に至る主人公の動機、など、その結末、ネタ明かし?に期待して見進めるが、良くも悪くも
見事に 肩透かしを喰らう事になる。
○台詞ではなく、色味や(無)音による演出で、なんでもない 台所の調理器具の鍋ひとつをとっても、何もかもが何か犯罪において重要な秘密を持っている物のように見え、緊張感を与える演出は見事で、見事に不気味さをずっと漂わせた。
○登場人物 主人公以外の台詞もこれも見事に 何かの含み?と思わせる この台詞が何か鍵となるはずだ!と勝手にその一言一言の言葉の裏に隠されているであろう比喩などと考え、語ることがない 様々な物のシーンにも目を凝らした。
○文化 人種 時代背景 自分の人生と重ならない部分も多分にあるが、そうだとしても、ラストにおける判決に至る裁判でのシーンは理解が困難なものが自分には多すぎた。
◎主人公の弁護をほぼ無償で引き受けて見事に無罪を勝ち取る事に導いた弁護士と主人公の関係性。
依頼人の主人公からはたったの一ドルの気持ちだけの料金を受け取り、自身は法廷において何百倍の罰則金しかり罪を犯すこととなるが、何故?そこまでして彼女を弁護したのか?その必要があったのか?仕事としてはとんでもない損失を買って出た理由がわからなかった。
○主人公と不倫関係を結んだ被害者の夫の真意、これも製作者の意図と思うが 何とも分かりづらく、自分にはどうも不可解。途中もしかしたら、主人公との共謀?とも思えたが、。
○裁判における主人公の証言
 ここが最大の焦点であり、実際の事件においても然り。見事なのはこの時点で被害者は存在せず、真実は被害者のみ知るわけで、それを知りたいと誰もが作品にのめり込み 描かれる真実と 捻じ曲げられた?歴史として残されている法的な殺害者側の供述との違いは、見事に描かれず。

 そのフラストレーションが結果的に 当時の衝撃的な判決に対しての不満など当時の新聞やテレビニュースを見た人々の気持ちと同じような感情を見事に再現したという点では本当に凄い巧妙な作品と思える。
 
 
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