しゅうへい

ザ・ウォッチャーのしゅうへいのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ウォッチャー(2022年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ブラノック家は郊外にある美しい邸宅に一目惚れ、ローンを組んで引越しをすることに。新しい我が家での平穏な暮らしも束の間、ウォッチャーという人物から「一族代々この家を見張ってきた。これからもそうする」という一通の手紙が届く。

夢のマイホームを手に入れたはずの家族、近隣住民の不可解な言動と不気味な手紙に限界まで追い詰められる。2014年にニュージャージーに実在する家で起きた未解決事件「ウォッチャー事件」にまつわる実話をドラマ化したもの。1話目できっと引き込まれる。今作は新居選びの際に最も参考になる作品。

近隣に住むカルト集団から受ける仕打ち、ストーカーのように送り付けられる差出人不明の手紙、人の家庭に首を突っ込む不動産屋、一家の問題を放置する怠慢な刑事、手紙の送り主を調べるために雇った私立探偵。個性豊かな面々が登場するが皆「家」に執着しているが故の行動。ブラノック家の長ディーンもその1人。皆外見も内面もインパクトがあって魅力的…なぜか一人も嫌いになれない。

夫婦はあまりのストレスで疑心暗鬼に陥り、子供達は実情を知らされず情緒不安定になる両親に振り回される日々。円満な家庭が徐々に崩壊していく様を延々と観させられる生き地獄。もはや誰も信用できない中、確証も取れないまま感情に任せて被疑者を責め立てる夫婦は側からみれば異常者だった。警察はこの件に関しては動く気配がなく、夫婦は刑事に紹介された私立探偵と独自の捜査を行っていくのだが足踏み状態。進展したかと思えば振り出しに戻り状況は悪化する一方。家庭内の問題も併発して一度も気が休まらなかった。

ブラノック家が抱える問題を散々共有してきて、最終話でようやく肩の荷が降りた。あの家に魅せられた人間達はまるで廃人。ヒトコワ系作品だが原因は魅力的過ぎるあの家。実際に起きた「ウォッチャー事件」は未解決のまま…最後まで誰が犯人か分からない。被害者家族が新たな地で平穏な暮らしをしていることを願うだけ。
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