アネモネ

愛だと言ってのアネモネのレビュー・感想・評価

愛だと言って(2023年製作のドラマ)
4.3

いやー、よかった。
想像していた以上に。

物語りの流れでヒロインが
感情を剥き出しにするシーンも
一部あるけれど、
作品全体から伝わってくるのは静寂。
1シーン、1シーン主人公の心の動きを
静かに丁寧に描きながら、
後半は優しさに包まれるように
物語りは進んで行きます。

以下は少しネタバレ含む。
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◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

それぞれ抱えるものが大きい
主人公の男女が、互いの人生の中で
傷ついて。哀しみや、苦しみ、憤りを
心のずっと底にしまって。
二人は恨みやトラウマを越えて、
次第に惹かれ合うように。

とにかく切ない。だけどそれを上回る
温かみも感じられる。
完走後にも、しばらく余韻が残り
主人公たちの未来を想像し、
幸せを願わずにはいられなかった。

この作品のキム・ヨングァンがすごいね。
他の作品で過去に見たヨングァンを
思い浮かべても この作品の彼に繋がらない。
別の俳優が演じている?というぐらい
印象が違う。

ヨングァン演じるドンジン。
哀しげな瞳に、もう何年も笑顔を忘れて
いるような感情の見えない表情。
表情筋使用率はゼロ。
自身の気配さえ消しているかのよう。
背中に重たい荷を背負って、
静かに孤独に、仕事に依存するかのように
家と自宅の往復だけをする毎日。
あんな母親を持ってしまった悲運も、
トラウマとなった失った愛も
逃げずにありのままを背負って、
まるで自分の罪がごとく生きている。

一方、ヒロイン のウジュ(イ・ソンギョン)
とその姉弟にとって耐え難い家族の裏切りと
その余波で後に受ける事になる仕打ちには、
視聴者の立場でも怒りが沸いてくる。
姉妹弟の次女にあたるウジュは、
子供の頃から情に厚く三人の中で最も
責任感も強く、自分よりも家族の幸せを
優先する人生を歩んでいる。

華やかさとは無縁、むしろ地味目な男女が
『ただ普通の幸せ』を願って、ひたすら
一生懸命に生きようとしている物語り。
(でも、それが難しい)

全てを受け入れ、相手を恨み咎めず
自分がその傷を引き受ける生き方しか
できないドンジン。
そんな彼がウジュとの出会い、
愛する人を身を挺して守りぬこうとする
彼女の強さに癒され彼の乾いた心が
徐々に潤っていき…、
そんなドンジンの変化に、観ている
私まで じんわり温かい気持ちになったよ。

共同経営者でもあるドンジンの先輩や
ウジュの家族、親友のジュンなど、
二人を囲む人達の、一歩引いて見守る
様子もよかったな。
特にユン・ジュン役のソンジュン良かった。

#ドンジン#キムヨングァン
#ヨングァンの別の顔
#ウジュ#イソンギョン
#ジュンも良いヤツいい男
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