ヒムロ

心霊グラインドハウス ~ねむりめ~のヒムロのレビュー・感想・評価

2.7
オカルト専門の探偵事務所、犬井探偵事務所に持ち込まれたのは都内某所で起こる電波ジャック事件の解明。
助手の後田がWi-Fi機能付きカメラを片手に現場と思われる廃墟に侵入するが怪異に襲われてしまう。
そんな彼を助けたのは後に「ねむりめ」と呼ぶ事になる不思議な幽霊。
他の霊体と同化し、その霊の過去の視線を見ることができるねむりめに懐かれた後田。
しかし電波ジャック事件はまだ序章に過ぎなかった…。



心霊マスターテープの枠の後継と聞いていたので、ホラーモキュメンタリードラマを想像していたのだが全くのドラマだった。
ホラーモキュメンタリー、およびそもそもホラーを求めているとがっかりするだろう。
ジャンルとしては探偵を主軸に置いているだけあってミステリーに近い。

謎が多いまま進んでいき、徐々に複雑な伏線が解かれていく…のは確かなのだが、「心霊なので不明なところは不明なまま」というのが作り手には都合がいいが、見ている側としてはモヤモヤするところもある。
それでも現実とフィクションの境目を無くそうとする脚本はまさに心霊ドキュメンタリーの精神であり、すばらしい意欲作ではある。

だが地方局ドラマ特有のチープさが、主観映像に頼りすぎていない事によって浮き出てしまっているように感じた。
ねむりめを使った3人称視点は移動するたびにわざとらしい挙動で揺れながら動くので、見てて酔いそうになるという意味で気持ち悪い。
コメディテイストな部分は多少ラストに回収されたのでいいのだが、役者全員のわざとらしすぎる演技だけはどうにもいただけない。
1人2人なら許容できるのだが全員なのはかなりキツい。
演技指導に問題ありだと言わざるを得ない。

ラストは特にだが、リアルタイムでTVで見てこそ楽しめる作品だったと思う。
時代やCSということとマッチしている手法とは思えないが、少人数で楽しんでこそホラーの醍醐味を得られるという感覚は正解だと思う。

僕は心霊玉手函シリーズを見ていないので、見れば岩澤さんの作風への造詣も深まってまた評価も変わってきそうな所がある。
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