ヒムロ

ロキ シーズン2のヒムロのネタバレレビュー・内容・結末

ロキ シーズン2(2023年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

‘在り続ける者’をシルヴィが殺し、マルチバースが剪定を逃れ無限に増殖を始める。
‘在り続ける者’の変異体が無限に襲い来る未来を防ぐ為、ロキとTVAは増殖する時間軸をコントロールする方法を模索する。
ロキは負けるが、必ず生き残る。



正直言って今までのMCUではエンドゲームに並ぶぐらいの傑作だった。
時間をテーマにした作品では必ず矛盾やおかしな事が視聴者からすると見えてしまうものだが、そもそもそれを感じなかった事がすごい。
最初からこうするつもりでシーズン1を作っていてもこうは完璧に作れないだろうとすら思える。


ロキの口から度々発せられていた言葉、そしてシーズン1の1話の副題にしてシーズン2最終話の副題「大いなる目的」。
人々を支配し、決断から解放するのが目的と語るロキへシーズン1ではメビウスは「君は何から逃げている?」と聞いていた。
兄であるソーや父オーディン、アスガルドの王座や重圧、自分の過去、そういったものから逃げているという意味の言葉だ。
いや、だった。
最終話でロキの質問が変わったメビウスはこう答える「目的っていうのは多くの場合、名誉ある重荷だ。でも重すぎるからって目的から逃げちゃいけない。」と。
そしてロキの逃げていた事とは「大いなる目的」を達成した事によって自分に生じる「重荷」だったという事がわかる。

在り続ける者の「近いうちに会おう」という言葉もそうだが、伏線の回収があまりにも鮮やかすぎる。

演出もかなり目を見張るものがある。
毎度のOPの演出も素晴らしいが、特に最終話は神がかかってる。
最終話では時間を何度も何度も繰り返し失敗とリトライを繰り返すロキのバックにベートーベンの「運命」をリミックスした曲をかけている。
かなりコミカルなシーンで、過去の無駄話をバッタバッタとぶった斬っていくロキ。
コミカルに振っておいてからの失敗、そして過去を巡り再び戻って来たロキ。
その時に聞こえる音はタイムリーの時間オーラを読み取った機械の「ようこそ、在り続ける者。」というアナウンス。
ロキが在り続ける者に並んでいる、そして在り続ける者になるという事が密かにオシャレに示唆されている。
痺れる演出だった。

「神様気取り?」というシルヴィの言葉に「我々は神だ」と返すロキ。
数百年の時間を耐えるというのは人間には到底無理なことに思えるが、神であるロキだからこそ説得力がある。
自分の生まれへと兄への劣等感で腐っていたロキが、「神」としてやるべき目的と責任を見つけるまでの物語。
ソーはおろかオーディンを超える偉大な神に彼はなった。
大好きだったトリックスターのロキでは無くなってしまったが、彼の成長に涙が溢れた。

再びロキに会える事はあるのだろうか。
会いたい気持ちもあるが、こう完璧に終わられるともうこれ以上彼を出さない方が美しいという気持ちもある。

ロキシーズン1で広げた大風呂敷だったが、たった6話で綺麗に畳めるとは思ってもいなかった。
こんな設定初めて大丈夫?と思っていた過去の自分にタイムリープして教えてやりたい。
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