長内那由多

ペイン・キラーの長内那由多のレビュー・感想・評価

ペイン・キラー(2023年製作のドラマ)
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ピーター・バーグ版『トラフィック』といった様相でE1から力が入っている。オピオイドは如何にして全米で蔓延していったのか?エグゼクティブプロデューサーにはアレックス・ギブニーの名前も。捜査官、服用者、パーデュー製薬らを点描してオピオイド危機の全体像を浮かび上がらせていく。

一番怖いのは高額マージン目当てで医師に処方を促していく営業部隊で、行いに対してあまりにもモラルが低い。バイト感覚でオキシコンチンを売る営業担当シャノン役のウェスト・ドゥカブニー、どこかで聞いた名前だなと思ったらモルダー捜査官とティア・レオーニの娘だった!

完走。
出足こそ身を乗り出したものの、ピーター・バーグの演出は事実に対して忙しなく、シーズン中盤を折り返す頃にはその軽さが気になって仕方なかった。各話冒頭に遺族のインタビューが挿入されるが、社会的意義とTVドラマとしての出来は話が別。バーグの演出では遺族にも報いていないと思う。アドゥーバ、キッチュ、ブロデリック、ドゥカブニーら俳優陣は注目に値するパフォーマンスなのだが。

このまま見逃していた『DOPESICK』に流れようと思う。
長内那由多

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