長内那由多

Jury Duty(原題)の長内那由多のレビュー・感想・評価

Jury Duty(原題)(2023年製作のドラマ)
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裁判を収めたモキュメンタリーで、陪審員長に選ばれるロナルドという兄ちゃんだけが素人。彼は本当に裁判の記録ドキュメンタリーを撮影していると思いこんでいる。彼を囲む周りの俳優陣はほぼ即興らしい。各話冒頭に本作の概要を記したテロップは流れるけど、わかりづらいのでこの辺の事情を知ってから見てもいいかもしれない(海外版wikiに詳しく書いてある)。

本人役で登場するジェームズ・マースデンが最高。この人、当て馬的な正統派二枚目役だと全く面白味が出ないけど、『魔法にかけられて』『ヘアスプレー』で見せた陽性のお馬鹿ハンサム路線だと途端にチャームが増す。カリカチュアされた“ハリウッド俳優”を屈託なく演じていて可笑しかった。

ロナルドという兄ちゃんがあまりにもイイ奴で、次第に人間の善意や献身、モロに『トゥルーマン・ショー』な撮影現場や17日間も虚構を生きることの怖さまであらゆることを考えずにはいられなくなる奇妙な作品だった。

本作で一般人を演じる俳優たちのリアリズムに驚かされるばかり。TVシリーズを多く見ていると、ハリウッドの層の厚さは多くの無名の役者たちあってこそとよくわかる。マースデンは「ソニック、見た?配信じゃなくてちゃんと買って見てよ。オレにも金が入るから」とマジな台詞。ストの側面を理解できる作品でもある。
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