ユウサク

すっぴんヒーローのユウサクのレビュー・感想・評価

すっぴんヒーロー(2024年製作のドラマ)
3.4
わたサバでコメディ俳優として覚醒した丸山礼主演の短髪ドラマ。女性スーパーヒーローもの。本編+オーコメ版とメイキング2つ見て普通に映画くらい時間かかってしまった。

当然美醜をどうこう言う話にしてはいけないので、あくまですっぴんを「薄い顔」とからかわれたトラウマからすっぴんを晒すことにためらいがある、というキャラ造形。当座の悪役もヒーロー状態の衣装を笑うことはあるものの容姿をジャッジはしない。そのうえで「ブス」という言葉を使い一線を越えるのは誰なのか、そしてその人物がどういう結末を迎えるのか、考えられた脚本だと思う。あいつ、絶対に吉村をイメージしてるよな……。また容姿で値踏みされたり、弱い立場を悪用された「べっぴんヒーロー」の目線もあり、直球の連帯が響く。クライマックスの語りは説明セリフなのは否めないものの、「すっぴんで働く人たち」へのシンプルな人間賛歌として好印象。こういう制作の考え方がちゃんと表に出てる作品の方が面白い。
驚いたのは冒頭の突っ込んでくるトラックから子供を守るシーン。正直ニチアサ諸作品よりCGのレベルが高かった。すっぴんヒーローのパワー描写もちょっとやり過ぎなくらい(マン・オブ・スティールくらい?)なのが説得力がある。邦画大作で色々やってる人が担当らしい。ちょっと緩めのファンシーなシークエンスとか大降りの雨とかだともう見分けつかないな。
そしてアメコミ調のトータルデザインも目に楽しく、スーパー店内やバックヤードの装飾も華やかかつまとまりがあった。すっぴんヒーローのスタイリングも真面目過ぎずギャグ過ぎずの塩梅。オレンジの統一感とスーパーマンオマージュの「す」が良い。「す」を象る変身ポーズは丸山礼本人の考案ということで天晴れ。通常変身→短縮変身→クライマックスの大仰な変身と、お約束も踏まえてあるのが感心するし大仰な変身は普通に笑った。浪川大輔の小物感とかも面白かったんだよな。「いや矢印の向き変えてるだけやん」っていう。三人組の衣装はダースベイダーとストームトルーパー意識らしい。クレジットでも確認できるけど小島プロダクションが小道具で協力しているらしく、本当どこにでも出てくるなと思った。

AD時代すっぴんで働いていたプロデューサーの経験が反映されてる作品ということで、もっとこういうのぽんぽん作られたらいいなと思う。
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