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イコライザー THE FINALのRISAのレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
5.0
ー マッコールが辿り着いた、彼のいるべき場所

2014年にシリーズ1作目が公開され、
本作ではシリーズ3作目にして最終章を
迎える訳だけど、
本作でも悪を見過ごすことのできない
”最強なお人好し”である彼が笑
人々の為にそして自分自身のために
救いと裁きを下していく物語で、、

もう、、最高でした。すべて。

シリーズのファンである私からすると
1作目は物語の衝撃度がすごくて、
2作目はより物語の深みが増していて
本作ではぐっとくるシーンが多かったなと。


ここからは少しネタバレに
なってしまうかもしれないけど、、、


 


まずは物語のはじまりには、
まだマッコールさんが登場していないのに
その爪痕だけでマッコールさんを感じさせる
演出に「ジョン・ウィック」に似た
思わず笑いがこぼれてしまうような感覚と
その後、一気にスピード感を増して
盛り上がっていく銃撃戦の場面。
(画角ひとつにしてもすべてが100点だった!)

加えてマッコールさんが負傷したシーンも
すごく自然なリアクションと、
繊細な心情のお芝居がとても印象的で。

本作の舞台であるシチリアに関しても
小さな田舎町で皆が助け合って
生活を共にしているその空気が
映像越しに手に取るように伝わってきたし
エンゾが彼に投げかけた
「ゆっくり」という言葉にも
すべてが込められている気がして。
(気を付けて、無理しないでではなくゆっくりね
って言葉ってより温かく感じるし、
相手を押し付けることのない言葉だなと)

それに階段を登るシーンを1つとっても
暗闇から光へ向かっていく彼の背中や
少しずつ体も回復をして、
杖を付いた状態から駆け上がるまでになる
あの時間の流れみたいな演出も
すごく素敵で印象的だったなーと。

ただ、そんな清らかで温かな空気に包まれる
シチリアが舞台だからこそ、
今まで彼が戦ってきたような”悪人”の登場は
今まで以上に心が痛んでしまって。
(あの魚屋さんの事件のときも
心優しい亭主さんの怒りからの悲しみが
押し寄せてくる感情のお芝居も
ものすごく印象的だったな〜。)

正直、本作のストーリー自体は
文字に変換してしまえばきっと
ありきたりだと感じるかもしれないけど
映画の醍醐味としてその物語に登場する
人々の感情を表すお芝居だったり、
その物語の舞台となる町や世界の空気
っていうものが映像越しに鮮明に伝わってくる
ことが本作でも本当に素晴らしくて。

加えてマッコールさんっていうキャラクターも
架空のようで現実味のある等身大の存在だから
(派手ではなくどちらかというと地味な市民で
だけどすごく愛情深くお人好しな性格だなんて
きっと私たちの生活にも身近な存在だしね)
彼の”制裁”こそ、フィクションだとしても
彼の存在を客観視ではなくて
主観的に感じてしまっていて。

少し話は変わってしまうけど、
ヒーローの定義って、正義に対して
決して主観的ではなく客観的に捉えることが
できる人のことを指すと思っていて、
これが主観的になった瞬間に
ヒーローからヴィランに転落するのよね。

マッコールさんに関しても、
自分の利益なんて考えたこともないだろうし
正義っていうことすら頭にないだろうに、
ただお人好しで悪に対してアレルギーをもつ笑
からこそ結果として人を救っている訳で
まさに「親愛なる隣人」とは
スパイダーマンよりもマッコールさんに
当てはまるような気がしてしまうのよね笑

ただそんな彼が見つけた、
自分のいるべき場所を守るために
いつものような制裁を下す終盤のシーンも
最高に痛快だったな〜
(魚は目を見るのよといった彼女の言葉から
ターゲットが死ぬのを目をもって確認する
抜かりのない彼の仕事っぷりも最高だったな笑)

と長々と印象的だったことを書いてしまったけど
一番のサプライズはやっぱり彼女の存在!
「マイ・ボディガード」でも共演した
ダコタさん演じるエマの正体には
思わず映画館でも「あ!」と声に出てしまって笑

年を重ねても、時代を超えても
きっと揺るぎないテーマとして
人の温もりや社会的な利益よりも人々との平和
みたいなテーマがここにはあるから
やっぱり本作は名作のひとつだな〜。
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