Renz

aftersun/アフターサンのRenzのネタバレレビュー・内容・結末

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

離れて暮らす父と娘の、ひと夏の旅行の思い出を撮ったビデオテープを観ながら当時を思い出し、今は亡き父の気持ちを想像する娘の映画。

ここまではあらすじで情報があり、その他の情報は説明せずに映像でみせる。感情を想起させる描写が素晴らしい作品。

内容は現在の娘と、ビデオテープの映像、現在の娘が思い出しているのであろう経験、現在の娘が想像している父の行動と感情で構成されている。
父だけのシーンは娘は見ていないので、あくまで想像の範囲の父であり、彼が実際にその行動をしたのかは分からない。

父は31歳で娘は11歳。兄妹と勘違いされるほど父は若く見られる。
娘が旅先で出会った男の子とキスをしたと報告しても、同年代ならまあいいかなんて言ってるし、父親になりきれていない感じもある。
リアル親父なら激怒で、そのガキ連れてこいやあ…なんて人が多そうだけどどうだろう?

おそらく父が旅行後に自殺したのだろうことは分かるが、それもはっきり描写していないので、観る人によってはただ淡々と旅行のシーンが続き、帰るだけに見えるかもしれない。
事件とか、極端なことはなにも起きないからね。
さすがに父が辛そうなことは分かると思うけど。

あのとき父の気持ちに気付いていればなんていうことを思うかもしれないが、知っていたとしても11歳の子供に何ができるというのか?
楽しい旅行が気の使い合いで暗い旅行になるだけだろう。
だから何ができるわけでもない。
そもそも終わってしまって月日の経ってしまった出来事。

細かな描写が素晴らしく感情にうったえてくるので、映像に集中しながら父の感情を慮り、現在の娘とともにしんみりする。
その行為自体を楽しむ映画なので好き嫌いは分かれるだろうけど、この映画が高評価されてるのはなんかええなあとは思います。

個人的にはもっと変なことが起こりまくる映画の方が好きかな?
でもこういう映画も良いと思える自分もいますぜ!😎

しかし本作が長編映画初監督作品とは凄いなあ。
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