Omizu

Four Daughters(英題)のOmizuのレビュー・感想・評価

Four Daughters(英題)(2023年製作の映画)
3.6
【第96回アカデミー賞 長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート】
『皮膚を売った男』カウテール・ベン・ハニア監督の新作。カンヌ映画祭コンペに出品されドキュメンタリー映画賞を受賞、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にもノミネートされた。

一向に配給される気配がないので英語字幕で鑑賞。『皮膚を売った男』はあまり好きにはなれなかったのだが、本作もそこまで…

オルファの4人の娘を描いた作品で、2人は本人不在のため俳優が演じる。母オルファもまた俳優によって演じられ、現実と再現を並列的に描いている。

テーマとしては新鮮味はあまりない(それ自体は重要なことである)が、多層的に紡いでいく手腕が評価されるのは分かる。ただ、いたずらに話が交錯していくだけで物語が進んでいかない。

ISISに奪われた娘たちを想う母や残った娘を十分に描いているとは思う。2人の娘たちが本人と同化していく一方、母役の俳優さんは言わばインタビュアーの役割も果たしていく。

試みとしては興味深かったが、展開がそこまで劇的にあるわけではないのでいささか退屈してしまった。字幕を十分に理解しているとは言いがたいので、もし日本で上映される機会があれば再見したい。ハニア監督の冒険精神は大いに評価したいが、『皮膚を売った男』でも感じた展開力のマズさという問題を本作でも感じてしまった。
Omizu

Omizu