Chris

スタンド・バイ・ミーのChrisのネタバレレビュー・内容・結末

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

少年の大冒険、旅を通じて彼らの絆はより深まり家族との中も落ち着き未来へ期待いっぱいに踏み出す、的な分かりやすい映画かと思っていた。しかし予想はいい意味で裏切れた。実際はもっとリアルに少年たちが抱く複雑な心情を描写していて、大人になっても思い返せば、甘くも苦くも感じられる、楽しいだけの冒険物語じゃないところがいいと思った。
自分の小学生時代とも重なる部分があり、大自然で遊んだ友達とは今も同じ関係は築けていない。自分は中学に入り一緒になる友達も変わり好みや進路がバラバラになった。全ての人とずっと同じように接し、関わり合えるわけじゃない。だからこそ今も含めて友と過ごした時間が大事なのだと感じた。
終盤のシーンで街へ帰ったときに世界が小さく感じたとあった。この旅で彼らは成長したということを表すとともに広かった世界に対する期待が裏切られてゆく残酷さを示しているようで切ない気持ちになった。
今までどちらかというとマイナスなイメージのことについて記したが、もちろん笑える楽しいシーンもあった。線路の橋で汽車から逃げるシーン、水から出て体中にヒルがついているシーン、カオスでトラウマになりそうで、でも後で思い返せば笑えるような少年の大冒険。田舎の景色、1950年代後半の音楽が流れて、彼らと同じように旅を楽しみ俯瞰では彼らの姿を見て笑って美しいとも思った。
しかしそれも旅の途中までで、彼らが抱える未来への不満が徐々に露呈していく。個人的にこの楽しいやワクワクで詰まった序盤から終盤にかけて悩みが明らかになる構成が先に記した成長の残酷さをより分かりやすく表現しているのだと思った。
題名の「スタンドバイミー」にはどんな意味があるのだろうか。ラストで友達はバラバラになっているので主人公のゴーディの真意は離れたくなかったのか。死んだクリスに逝かないでほしかったのか。色々考えさせられる良い題名だと思う。エンドロールで流れるスタンドバイミーの曲も相まって胸にジーンとくる今までで一番感傷に浸った時間を過ごした。
Chris

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