倉科博文

サイコの倉科博文のレビュー・感想・評価

サイコ(1960年製作の映画)
4.0
ヒッチコックの名作

ある事件から転がり始める物語は、それとは本質の異なる物語と絡み合い、人間の悲しくも深い闇に辿り着くー

現代から見ると、お世辞にも優れたカットや編集とは言えないが、物語の構成と根本のアイデアによってこの作品に与えられた、ヒリヒリとした緊張感と目が離せない推進力は何だ

映像としては、同時代の黒澤明の方が優れていると思うが、次々と主要人物の入れ替わる構成と先の読めない展開は、物語の組み立ての妙と上質なスリルを与えてくれる

これだけ荒々しい素材から、我々を物語の中にのめり込ませる魅力を作品に与えられるとは
映画の可能性を教えてくれる一作だ