【シーザーの物語②】
「猿の惑星 新世紀/Dawn」は、住処を分ける程度で紛争を終わらせることは出来ないという、現代では、ガザ地区のイスラム系武装組織ハマスの攻撃をきっかけにイスラエルが過剰なまでの反撃を行い、ガザ地区パレスチナ人の死者が2万人を大きく上回り、その半数近くが子供という悲劇となったことを思い出させる。
更に、アルツハイマー治療薬は、猿インフルエンザウィルスとなり猛威を奮い、多くの人間が死に至ってしまったというストーリーも、かなり皮肉がきいているうえに、新型コロナウィルスのパンデミックまで予見したような構成だ。
人間は人間同士の殺し合いを厭わないのに対して、シーザーは「エイプ(猿類)はエイプを殺さない」を最重要なルールとして掲げたが、知恵をもってしまえば、権力欲も鎌首をもたげ、有名無実化してしまうという、現代の国際社会のあれやこれやを思い出してしまう。
このオリジナルタイトルは「Dawn of the Plannet of the Apes」で、dawnは夜明けの意味だが、実は暗澹たる未来を想起させ、夜明けとは程遠い分岐点となる作品だ。