rさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.7


ノーランのデビュー作。
時間軸を操り物語性を倍増させるスキルはこの頃から確立されていたのだなと思った。同じ出来事でも時間を入れ替えて見せることで物語そのものが持つ以上のインパクトをもたらすことができ
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.8


うわぁ好き… クローンに自分の罪を償わせ自分は無実のまま生き永らえるものの、クローンの存在による歪んだ無限ループに堕ち、行き着く先には自分という存在を保証するものが一切無くなってしまう。突き抜けた変
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The Strange Thing About the Johnsons(原題)(2011年製作の映画)

3.7


アリ・アスターが映画学生だった頃に撮った短編。"実の父親に欲情する息子"というインモラルかつパワフルすぎる設定…やっぱアリ・アスターは平気でこういうことしてくる奴なんだよな。。親子間の主従関係を見事
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.6


"人生を物語にすることは容易でも、本当の記憶を維持することは難しい"と語る写真家ナン・ゴールディンの闘いの記録。芸術と自分の魂を武器に、芸術界で圧倒的な権威であったサックラー家に立ち向かう。彼女が燃
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ショコラ(1988年製作の映画)

3.7


「ホワイト・マテリアル」然り、原住民の誇りやプライドが画面に美しく表れていて良い。それでいて異人種間に横たわる搾取構造や一方がひた隠しにしている罪悪感、場面により変わる関係性、延いては互いに密かに抱
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0


自分が生み出したものの脅威、それがもたらす力を、あの決定的瞬間まで予測・理解することができず、アクセルを踏み続けてしまう点にとてつもないやるせなさを感じた&上手く描かれていた。テンポ速く人物多く密度
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プリシラ(2023年製作の映画)

4.1


水色が似合う私も、お屋敷が全ての私の世界も、全部あなたが創った。若さを盾に手に入れた熱に浮かされる日々は、自分を手に入れるための寄り道だった。守り続けた火を自ら吹き消し、狂騒の日々を愛し抜いた相棒と
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関心領域(2023年製作の映画)

4.0


強制収容所の周囲に展開される関心領域に暮らす加害者、その無関心が営む生活を淡々と観察する。時折顔を覗かせる徹底した冷徹さに背筋が凍る一方、ラスト彼と目が合った時自分が確実に彼らと同じ地平にいることに
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美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

3.7


アフリカのジブチに駐留する外国人部隊。しなやかでバネのような弾力を誇る肉体が砂漠地帯で舞い踊る。均一に屈強な身体を持つ男たちは肉体的には調和するが個々の内側には別々の心を宿す。訓練と洗濯とアイロンと
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愛と激しさをもって(2022年製作の映画)

3.7


人が抱える感情の多面性や、そのコントロールの効かなさといったものを抱えた上で正直に/誠実に生きるということは、他人を傷付ける事なしには成り立たないものであり、その意味でこの上なく真摯にパートナー関係
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.8


19世紀のアイスランドとデンマークの支配関係の下境界線を跨ぎ共存する2つの言葉、そこから派生する感情。信仰による統合という使命を背負う牧師の壮絶な旅路は拒絶で繋がれる物語と言える。荘厳な自然を背景に
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海がきこえる(1993年製作の映画)

4.7


"ライトアップで浮かびあがった高知城は一人で見ても電気の無駄にしか思えなかったけども、もし里伽子と二人だったらきっと綺麗に見えるに違いなかった" という言葉が全てだ。景色、世界を変えてしまう人。
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英国式庭園殺人事件(1982年製作の映画)

4.3


豪華なお屋敷と庭園の絵を12枚描き上げる契約を結んだ画家。彼が描く絵に映り込む殺人事件を匂わすファクター。耽美的なムードと怪しげなサスペンス要素が絡まりこの上ない艶っぽさを織り成す。かと思えば上っ面
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ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)

3.7


ヴィーガン以外にも結構ひやっとする風刺要素をしれっと詰め込んでるんだけど、パキパキしたテンポとキャラクターのぶっ壊れ具合のおかげでさらっと観れてしまう。

肉を食べないヴィーガンの肉が美味しい、って
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愛のように感じた(2013年製作の映画)

3.8


しんどい。
拠り所を求め彷徨う所在無げな10代少女のゆらぎをこれでもかと痛々しいリアルさをもって描く。虚勢を張って嘘ばかり話す彼女の瞳だけはいたく真実を語っているが、それを受け止めてくれる者はいない
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ロッタちゃん はじめてのおつかい 2Kリマスター版(1993年製作の映画)

3.7


なんとも愛らしい。自宅の庭やお隣さんの屋根裏部屋、街のお菓子屋さんは彼女の城。自分の感性をコンパスに各所を歩き回り、行く先々で人との交流を重ね、小さくも強固な彼女の世界が完成されていく。フワリと彼女
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数に溺れて(1988年製作の映画)

4.1


面白い。強かな女たちの策略にどこまでも溺れていく愚かな男たち、という意味でZOOより観やすいというか、ストーリーが綺麗に着地するのも自分は好きだった。

物語を追う毎に1から100までの数字が画面の
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ZOO(1985年製作の映画)

4.0


初ピーター・グリーナウェイ。やられた!シメントリーの美しさ、完璧性への異質な執着心と裸体。腐敗を経て原始を辿るという変態的な発想、そして毒々しい動植物たちの呼吸!自由であり艶やかであり、歪でいて悪夢
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パレード(2024年製作の映画)

3.6


@ユーロのキャスト・監督の舞台挨拶付き試写会にて。

"忘れる能力は人間に与えられたギフト"という言葉を知って以降ずっと心に残っているのだけど、まさにその"忘れる"工程には"失われてしまった人"がこ
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π〈パイ〉 デジタルリマスター(1998年製作の映画)

4.1


「ザ・ホエール」等を手がけたダーレン・アロノフスキー監督の98年作をA24がデジタルリマスター化。パンチの効いたポジフィルム、キレキレの音楽、リズミカルな編集で"数字に取り憑かれた男"の異様な執着心
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