真田ピロシキ

ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン 第2クールの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

4.0
12月からの分が前の放送分に統合されたので加筆修正して再アップ。

生きるということは思い出を作ることなんだ。出番は他の途中退場キャラと比べて短いFFであったが、あまりに友情に篤く知性の意味を語りかける生き様、そしてDISCによって知性を与えられたプランクトンの群れという特性上どうやっても失われた存在は取り戻せない唯一無二さがFFを特別なキャラクターにした。

まず、引き続き血みどろのハードな戦いを繰り広げる女達。特に特殊監房における看守ウェストウッドとの殴る蹴る突く締めるのシリーズ最も泥臭くエゲツない肉弾戦は見ものでこれを初の女性主人公にやらせたんですよ。今でさえここまでやるのは珍しい。これで徐倫をカッコいいと思わずにいられるわけないじゃないか。ダメージ表現も遠慮なし。5部でよく腕が吹き飛んでいたがそれより現実的で生々しい。そういう方向の表現は人間ではないFFが担当していて、それでいて悪趣味でもない。原作はちょっとウッとくる。それと徐倫役のファイルーズあいが「悩んでた頃に徐倫に力をもらった」と言ってて、連載時に荒木先生がどれほど意識してたのかは分からないがフェミニズムやエンパワーメントを有していた6部が今この時にアニメ化されて世界中で配信されてることは大きな意味がある。『マッドマックス 怒りのデスロード』等をはじめとする諸作品に対する日本アニメからのアンサーにも思えてくる。優れたフィクションは人に力をくれる。「フィクションは現実に影響を与えない」とか抜かしてた似非オタク漫画家政治屋の言葉など聞くに値しないのです。

しかしこの辺から6部は難解さが増してきてて、緑色の赤ちゃんの追いかけっこはよー分からん。脱獄後のボヘミアンラプソディもやってる事は分かっているのだが、ゴッホに描かせるというのは一体。何故ウェザーにそんなことが?

それと私がギレン・ザビとアベンジャーズの低脳ゴリラと並んで大嫌いなビチクソ神父。ジョジョのラスボスはチートばかりだったが、アイツはチートと言うよりインチキ。遠隔操作型のホワイトスネイクは直接戦うとそんなに強くないはずなのに、本体の近くまで戻せば近接型とも互角に戦えるっておかしいでしょ。じゃあハイウェロファントグリーンも接近戦行けんの?FFに対しても水を熱湯にするスタンドDISC持ってたとかなんでそんな地味なスタンド持ち歩いてるんだ?後出しジャンケンが多すぎて全く面白くない。対する徐倫も凄みで攻撃を探知してると謎理論。何度もスタンドが変わるし今までのルールを無視しすぎてて6部の微妙さが極まっている。終いにはそんな面白くない奴が勝つ話なので良い気分はしない。

しかし運命に味方され圧倒的な力で宿敵を葬り去った他者への愛が皆無の癖に神の代弁者気取りな便器に吐き捨てられた痰カス以下のド悪党が、手前勝手な人類の幸福成就目前で魂すら消滅した人達の意志を受け継いだ最もちっぽけな小僧によってぶち殺される快感。最初は凶悪な殺傷能力だったアナスイのダイバーダウンが終盤は身を挺して仲間を守るために使われ、それでアナスイの魂は救われており、それがプッチの誰1人救っていない蛙の小便よりも下衆な似非聖職者ぶりを浮き立たせ大勢のため(と思ってる)にと犠牲にした少数によって滅ぼされる。お前の押し付ける覚悟などとっくに持ってるとね。それが正義で、大義だけを掲げるド畜生神父は正義に勝てはしなかった。プッチ全否定。これが荒木飛呂彦節で正義が軽視されすぎている今の世に必要とされる物語。あのクソカスの妄言を名言と言ってる人がいるけど、本当の名言はシンプルに"正義"でいい。目が潤むエピローグを経て、これでジョジョシリーズは一区切りがつくのでこれまでをまとめたエンディングで締める。製作が決定した時は良い印象がないので見なくてもいいかなと思ってた6部だったが、改めて触れるとイマイチな点は変わらずとも良い物語だった。自身は敗北しても永遠に後を照らす空条徐倫はアバッキオの同僚のようで特別な主人公。唯一無二。