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進撃の巨人 The Final Season Part.1のAPOのレビュー・感想・評価

進撃の巨人 The Final Season Part.1(2020年製作のアニメ)
4.0
アニメ一気観してから、残りの117話『断罪』から原作漫画を読了した。
2021年冬にアニメも続編が放送され完結する予定らしいので、勿論観る気満々。

先ず、虜になった。というのが率直な感想。
2009年に連載がスタートし11年7ヶ月の歳月をもって本作に終止符が打たれた。当初私の周りでも大きな話題になっており、教室や部室で単行本を手にしている人が多かった。私は当時全然惹かれず微塵も読んだ事が無かったが、周りを見る限りとても話題性があり人の関心を集める作品であった事は知っていた。
今回アニメを一から観始めたのはやはり周りに勧められたからで、マイペースに観て行こうと決意したのだが、かなりハイペースで観終わった気がする。


アニメから本作に没入した人間だからなのかもしれないが、原作漫画で読むよりもアニメの方を推したい。戦闘シーンなどの躍動感や臨場感は他に劣らないものがある。アニメの終盤辺り若干作画が変わったので少し違和感を覚えたが、それでも素晴らしい。また作中音楽も効いている。ストーリーを加味してないとは言い切れないが、音楽にのせて観ていて楽しい作品である。澤野弘之が作曲したOSTなのだが、惹きつけられる。
素直に欲を言えば、完結までアニメで一気に観たかった。ただの自分都合だが。


日本に止まらず世界中で最終回含め結末への持っていき方に賛否両論あるらしいが、まあこれはどんな作品にも憑き物。増してや海外でも色々な意見が飛び交う事自体が、本作が"認められている" 証拠だ。
フィクション作品の終止符の打ち方ほど難解な物はないと思う。本作のような大作なら尚更。

「人と人が "言い表せない感情" を共有すること以上に価値のあることは無い。」

本作を通じて読者や関係者に以上のような手応えを得られた事が嬉しい、と仰っている別冊少年マガジン編集部。
正に人が創造する稀有な作品にしか出来ない崇高なお遊び。


単なる人間vs巨人などという安易なものではなく、長期に渡って人々の憎しみが憎しみを生み、終わりのない負の感情サイクルを共有してくれる本作。我々が生きる人間社会が実際に抱える問題でもある。進化を遂げ発達した頭が生産する思考や感情のジレンマに、作中の登場人物達が真っ向に立ち向かう姿は英勇だった。





(以下ネタバレ含む)

最後、巨大化したアルミンと協力してミカサがエレンの首を切る。
始祖の力を持つエレンをミカサが殺す事で、驚異であった巨人の力をこの世から抹消した。

伏線の回収の仕方など見事なものがあった。過去の記憶や未来を見る事が出来る、いや見えてしまうエレンが殺戮者になる事で、エレンが心底大切に思っていたミカサを始めとする仲間を救う。
思考と感情が行動と矛盾しているじゃないかと思う人も勿論いてもおかしくないが、どうしようもない世の中でどうしようもない選択肢しかない時、生まれた時から変えられない"さだめ"の中でエレンは闘い続けた結果を見届けられた私は素直に嬉しく思う。
結局エルディア人の差別問題や今回の地鳴らし発生の地パラディ島に対する問題も何も解決はしていないと一見思う。
しかし巨人の力をこの世から消し去ったという事実はとてつもなく大きな事だと確信している。人と人との争いが消え、平和で自由な世の中などそう簡単に手に入れられない。綺麗スッキリな結末でなくて、今後も考え闘い続けなければいけない問題なのだと直球で示した著者に感服。愛問題なのよね結局。
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