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ヴァイオレット・エヴァーガーデンのAPOのレビュー・感想・評価

4.5
「お初にお目にかかります。お客様がお望みなら何処でも駆けつけます。自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです。」

美しい映像画力と美しい音楽に纏われたとてつもなくハートウォーミングな物語。勝手ながらこういうものを秀作と呼ぶんだと改めて感じた。

名前もない孤児に生まれ、拾ってもらったギルベルト少佐から「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」という名を頂く少女。高い戦闘能力と忠誠心から戦争にて"武器"として少佐の下で任務に就く。敵襲にやられ、最後の少佐からの命令で「生きて自由になれ。心の底から"愛している"。」と言われ、自動手記人形、通称ドールとして働く。ヴァイオレットは"愛している"の意味を理解する為に、様々な人の想いを手紙にしてゆく中で人情を学んでゆく彼女の物語。



(以下ネタバレ含む)

毎話涙腺が決壊しかけた。というか決壊した。一話一話でストーリーもしっかりしていて着実にヴァイオレットのドールとしての成長や心の成長も伺えて。

第5話のシャルロッテ王女の公開恋文。
王女という格式高い立場ではあるものの、代筆ではなく自分の想いを自分の言葉で自分の手で手紙として相手に届ける尊さ。だからこそ本当の気持ちが相手に伝わる。お互いの気持ちをしっかりと確かめ合い純愛としてお互いに受け入れる。何とも愛おしいものだった。そして長くに渡って幼い頃から面倒を見てくれた遣いのアルベルタとの別れを素直に悲しむシャルロッテ。涙しか出ん。

第6話のリオンとの回も個人的に記憶に残っている。無愛想なリオンとペアになったヴァイオレット。不器用なリオンが作業を進めるに連れてヴァイオレットに心が惹かれてゆく。境遇な似ているリオンとヴァイオレットが一緒に人生で一度きりしか観ることができないアリー彗星を眺めながら過去について話す二人。夜空の画も綺麗過ぎた。リオンが新たな一歩を進む成長にも繋がった物語。
「その別離は悲劇にあらず。永遠の刻 流れる妖精の国にて新たな器を授かりて、その魂は未来永劫 守られるが故に。」

そして号泣した第10話。
先の永くない未亡人の母親にまだまだずっと甘えたい人形を片手にした年頃の少女アン。代筆依頼をした母親がヴァイオレットの相手ばかりしているのがアンは嫌でたまらない。アンが最後までずっとヴァイオレットの事を人形だと思っていて別れの際にほっぺにキスをしてあげる際に人だと気付いた時、なんて可愛らしいんだと心が洗われた。親子愛の真髄を見ているようで、母が未来のアン宛に手紙を書いていると分かった時、ヴァイオレットが会社に戻って感情が溢れ出すシーンなどは涙ダダ漏れだった。終始子供らしく可愛らしいアンとヴァイオレットとのやり取りなど全てにおいて素晴らしい物語だった。

このアニメの良かった場面などを記載していくとキリがない。

京都アニメーション制作でこの作品の画力は半端ではなくどのシーンも眼福であった。
それに加え、Evan Callの音楽とTrueの"Sincerely"、エンディングテーマである茅原実里の"みちしるべ"も良かった。
作中の世界観を作り出すEvan Callの曲はどれもタッチングで心に沁みた。OST良過ぎるでしょ。
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