ミサホ

黒い蝶のミサホのレビュー・感想・評価

黒い蝶(2022年製作のドラマ)
3.7
フランスの最新のドラマを観てみました。6エピソードってことで、長尺ドラマに行く前の、肩慣らしならぬ目(脳?)慣らしと捉えて、臨みました。

現代と過去を行ったり来たりする、なかなかに重たいサスペンス。

所々、『シャイニング』や『ナチュラル・ボーン・キラーズ』を彷彿とさせ、70sのシーンなんかは映像も褪せたような、ざらついたような感じだったし、使われているフォントも時代を上手く表現してました。

ドラマなので、映画よりも軽い気持ち…というかカジュアルな観方が相応しいかなと思い、会社でのランチの時間なんかにも観たりしてました。

でも思いの外、エロシーンが多くて、周りを気にしたり、これはアカンな…と中断を余儀なくされたりもしました。(ヨンウと同じ感覚で観たらアカンやつ)

それに、話が進むにつれて、人物相関図が広がってきて、結構シンプルな話かな…と思っていたのに、“エラ複雑”で最終的にドッと疲れました。


以下、ちょっとネタバレ。でも核心には触れていないよ。






主人公は作家のアドリアン。
新作がなかなか書けないでいる。
そんな折、ある老人から自分の回想録を本にしてほしいと依頼される。

その回想録というのが70sから80sにかけてのアルベール(老人)とソランジュ(恋人…妻?)の、ポップで恐ろしい物語だ。

サイコなふたりがバカンスに行ってはそこで殺人を繰り返す。動機ははっきりしているようで実のところ判然としない。

アルベールは、ソランジュに言い寄ってくる男たちが、いざ彼女に対して性的な欲望を剥き出しにしたとみるや殺すのだ。

男たちは、ソランジュの魅力にことごとくメロメロになり、寝たがるのだ。そうやって男たちの人生は終わる…。

アルベールとソランジュの行動は、殺人への欲望なのか、男たちへの制裁なのか分からない。何故なら、自ら誘惑し、けしかけ、蜘蛛の巣を張るように獲物を狩っているように見えるから。

そんな物語だけれど、実は驚愕の事実が隠されている。アドリアンが聞かされている回想録は果たして、そのまま真実なのか?
私たちが観ている物語は真実なのか?頭が混乱すること必至(わたしだけかも)のサスペンスでした。
ミサホ

ミサホ