幌舞さば緒

RRRの幌舞さば緒のネタバレレビュー・内容・結末

RRR(2022年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

例えば、アーノルド・シュワルツェネッガーとシルベスター・スタローンのような誰がどう見ても強そうでたくましい筋肉質の役者2人がダブルキャストで、内容は紛争アクション、ザ・王道の男バトル&友情もの、ヨーロッパドレス姿の美しいプリンセス登場、可愛い恋話もあり、動物もたくさん登場(しかも戦う)、肉弾戦、銃撃戦、炎や爆発描写もあり、それに加え彼らが劇中で愉快にキレよく踊ったり、血だらけで抵抗するシリアスな場面で突然ディズニー映画のように歌い始める…。そんな映画あるわけないと思いきや、そんな映画に出くわしてしまったのだ。背後から襲いかかってきた虎の腕を掴み、その虎を敵の兵にぶん投げたその直後に、2匹目の虎に立ち向かっていき、その飛び掛かってくる虎をマトリックスのように避ける…見たことのない数々の演出、組み合わせを目の当たりにして、自分が固定観念に囚われていることを思い知る。観終えた数日間「DOSTI」「Komuram Bheemudo Song」など数々の劇中歌をヘビロテ。RRR、常に情熱的な描写を選択し続ける映画だった。


台詞メモ

The STO R Y -物語の始まり-

「狩猟日和でしたのね」「そうだ」「素敵でしょ」「見事だ。誰が描いた?」「まさか、こんな子供が?」「暖炉の上に飾ってもいい?」「エドワード」…「奥様から娘の歌に褒美だ。もらっとけ」「感謝します。光栄です」「マッリ」「ロキ、あの金は歌の褒美じゃねえ。お前の娘は買われた!」

「待て、その銃弾の価値を?英国の工場で英国の金属を用い7つの海を渡った。銃弾が銃口を通過するまでに経費は1ポンド、英貨1ポンドだ。それを無駄に撃ち放つのか?褐色人ごときに」

The FI R E -火-

「あの群衆…恐怖を感じます」「恐ろしいのはあの男だ」

「毎年恒例の警察官昇級式を行う。候補者75名のうち3名の多大なる貢献を認めここに表彰する」

The WATE R -水-

「地元警察の見解を聞くと娘はお返しになるべきかと。太守からも同様に…」「理由は?」「ゴーンド族の娘です」「だから?頭に角でも生えてるいると?」「素朴な部族で抑圧にも声を上げません。彼らは群れで生活し仲間を1人でも失えばそれはもう大変な悲しみのようで、そのため群れには必ず〝羊飼い〟がいます。羊飼いは命懸けで群れを守るのです」「その部族民が弓と矢で偉大なる大英帝国を転落させるとでも?」「弓矢で英国を倒す?」「どうか、誤解なきよう。私は忠告を申したまで。しかし羊飼いは仲間を取り戻すまで諦めません。朝も夜もなく雨風に耐え渓谷を駆け必ず捜し出します。虎が食おうとすれば…その歯を砕き頬を裂いてでもその子羊を連れ戻します」

★「必要に迫られお前を利用した。許せ、兄弟よ」…「マッリを取り戻すためデリーに来て半年。手は尽くしてきた。どう思う?マッリは生きてるのか?」

★「なぜ怒りを抑え…抵抗しない?」「素性が知られたら今度は親方が罰を受ける。こんなに親切にしてくれる家族に迷惑が及ぶ。目をつけられたらすべてが台なしだ」

「総監を狙う刺客がうろついている。部族民は無能で恐るに値しないが、親交のある藩王がこの部族の能力を評価している。総督に関する問題であるため慎重な対応が求められる」「承知しました。虫けらを退治しましょう。豚なら丸焼きがふさわしいのでは?資料を拝見したい」「その件に関して少々問題が。情報がない」「ないとは?」「容姿の特徴や前科前歴は?」「捜索は不可能では?どうやって逮捕する?」「前科もない部族民を捕まえる?」「この不可能を成し遂げた者を特別捜査官に昇進させます」「生死は問いますか?」「保証しましょう。適任者がいるとすればあの男です」「首を取れば報奨金を与えます。生け捕りなら特別捜査官に昇進です」

★「何をするの!やめなさい!なぜ殴るの?」「ID不携帯で」「家畜じゃないのよ」「すみません」…「心の優しそうな人だな。あの人と親しくなれば屋敷に忍び込めるかも」

RRR 1920年インド 蜂起と咆哮と反乱と
(繋ぎ合う手と手)

♪虎と狩人の間に、首と絞首台の間に、燎原の火と、雹を降らす嵐の間に、太陽と雨雲の間に生まれた絆。流転する数奇な物語。友の手は固く結ばれた。この手は命を救うのか。それとも奪うのか。山火事と洪水の友情、成文律と不文律の友情、炎と氷河の抱擁、それが彼らの友情。

★「父さんだ。向こうが母さん」

★「食えよ」「左手で食べないの。行儀が悪い」「どの手も同じだ。…どうした?」「昔のことを思い出した」

♪思いがけず吹いた砂嵐。それを吹き消す2人の距離。対立を知らずに未来を生きるのか。同じ道を歩んでいる。しかし求めるものは違う。この友情はいつか裏切りによって壊れるのか。駆け抜ける潮の流れのように予測不可能な動きが迫り来る。それは避けられない運命。流転する数奇な物語。友の手は固く結ばれた。この手は命をすくうのか。それとも奪うのか。

♪一方の手で守り、もう一方の手で殺す。固く一つに結ばれた東と西。予期せぬ戦いが起こった時、誰が勝者を決めるというのか。

★「兄貴、何を持ってる?」「これか?行方不明の男の似顔絵だ」「なぜ俺に見せない?」「確かに。それもそうだ」「この辺りには詳しい。知ってるかも」…「見とれるほどのいい女か?」「すげえ美人だ」「話しかけろ」「そりゃ話したい。でも無理だ」「話したければ頭で考えたってダメだ。行動に移せ」

「いけません、小さすぎます。子供用です」「私のではないの。小さな女の子がいてね。マッリよ。その子に」

「またお会いしたいわ。社交クラブでパーティーがあるの。招待状をどうぞ。ぜひいらして。それじゃ」

「誰が嫌いな男のバイクに乗るか」

「バングルは?」「聞こえないわ」「お屋敷に伺っても?」

★「サルサでもフラメンコでもない」「ナートゥをご存じか?」

「よければ私の家でコーヒーでも」「屋敷に誘われたぞ」「あなたも誘いたいけど座席が…」「お構いなく。約束が」「いずれまた」

「圧倒されたわ。体に脈打つ鼓動、宙を舞う脚、輝く瞳…その瞳。アクタル、その瞳の奥でいつも何か探してるみたい」

「なあ、白人も子を産むんだよな?痛みは知ってるよな?子をさらい檻に閉じ込めて…奴らには人の悲しみや涙の痛みが分からねえんだ。だが、どうする?マッリを救い出す。請い願うことなどない。正面から踏み込む。邪魔者は排除だ。ジャング、ラッチュは?」…「兄貴は?どこにいる?」「兄貴は首尾よく成し遂げる。白人の犬に捕まるものか。兄貴は森を支配する虎だ」

「シータ、ラーマから便りは?」「ないわ」「手紙の1通も?」「どういうことだ?あれから4年。まだ待てと?忘れたんじゃねえか。村や故郷や仲間に誓った言葉を。俺らはともかくお前との約束は?」

「マルオアマガサ。噛まれたらえいこくじんだって解毒できんぞ。1時間で死に至る」

「兄貴よ、本当のことを話す。俺はアクタルでもムスリムでもない。ゴーンド族のビームだ。集落の娘が連れ去られた。なすすべもなく救出の手立てもなく、信頼できる筋もなく。だから別人になりすました。相談しようと何度も思った。だが話してしまえば兄貴に危険が及ぶ。信用しなかったわけじゃねえ。今夜マッリを迎えに行く。生きて戻れたら会おう。もし死んだら…兄貴との日々は俺の宝だ。死んでもそれは高潔な死だ」

「兄貴…何してる。なぜ警官の制服を…」「英国政府への反逆罪で逮捕する」「警察だったのか?兄貴は警察なのか?信じたくない」「降伏しろ」「母に誓って罪は犯してない。真実を話したろ?やめてくれ。俺に非はない。俺の目を見てくれ兄貴。俺が一体何をした!俺はマッリを救いに来ただけだ。幼い子を。頼む兄貴よ、マッリを返してくれ。俺らのマッリを返せ」「最後の忠告だ。降伏しろ。降伏しろ!」「何を言ってる」「降伏しろ」「兄貴よ、そんなことを言う姿を見るのもつらい。兄貴は俺たちの仲間だ。兄貴は親友だ!」

INTE RRR VAL (拳と拳)

「現場におけるめざましい活躍と危険人物逮捕の功績によりA・ラーマ・ラージュに特別捜査官の地位を授与する」

「パーラクルティ村に政府の命令だ。村人は水害を理由に税を滞納している。士官が現地調査に訪れたところ村の長老レッディがこれを襲った。非道な犯罪である。国に対する反逆罪でこの男を死刑に処する」銃弾の話のすえハンマー

「インド人の命は銃弾1発の価値もないと言う。ならばこの銃弾の真価とは?それは銃弾が英国人の心臓を貫いた時、白人どもの血にまみれた時、銃弾はその真価を発揮する。その真価こそ解放だ。全員が的に命中させる力を備えた時、必ず銃を渡す。訓練を積め」

★「こら!坊や、左手で食べないの」「だって早く食える」

「お前は村で民兵を育て、俺に警察官になれと言う。俺もお前と村にいたい」「ダメだ。警官の中に入ってくれ。内部情報が必要だ」

「俺の戦いは…お前の戦いだ」

★「でも母さんが…弟が…」

「たった1丁の小銃で連中を退却させた。想像してみろ。同胞が皆、武器を持てば…敵は退却し永久にこの国を去る。約束しろラーマ、全村人に武器を握らせると約束しろ」

「シータ、元気か?すべては計画どおりだ。私の働く武器庫から各地に武器が移送される。毎回、保安監督官が選ばれる。じきに私の番だ。武器は手の届く所に。だがシータ、私の心は重い。誰のための闘いか。味方すべき人を敵に回し親友をも裏切った。目標を前に道を踏み外したのか?分からなくなった。お前に会いたい」

「罪人を処罰し市民を恐怖に陥れ反英分子の士気をくじいてやれ」「まあ楽しみだこと。血を流すさまが見たいわ」「楽しみにしてろ。公開で鞭打ちだ。英国に反抗した非を認め、ひざまずくまで鞭で打て。命乞いさせろ」

「罪人がひざまずき、自らの非を認め、総督に許しを請う。さもなくば厳罰に処す。ひざまずけ。ひざまずけビーム」

「数発で顔をゆがめたぞ」「なのに声も上げてない。流血は?私が見たかったのは血だまりよ。まだひざまずかない。ひざまずかせなさい!捜査官、これを使って」

「これだけでは済まんぞ。これ以上打たれれば死ぬ。ひざまずいて罪を認めろ。自分の命を守れ」「…ビーマの末裔よ、お前を生んだ大地。お前に命を与えた森の木々。母なる故郷がゴードン族のお前に告げる。よく聞け」

♪コムラム・ビームよ、不滅の炎となってくすぶり続けろ。くすぶり続けろ息子よ。灼熱の太陽となって燃え続けろ。燃え続けろ息子よ。奴隷のように圧制者の足元に倒れるならお前はもはや森の女神の子ではない。お前が不当な支配にひれ伏す者なら太鼓を打つ森の女神の子ではない。コムラム・ビームよ、不滅の炎となってくすぶり続けろ息子よ。鞭が皮膚を裂く時、悲鳴を上げるなら流れる血を見て恐怖に震えるなら、お前がおののき涙を流すなら大地女神の子ではない。心臓を満たす血は川の流れのごとし。それが大地女神の額の印となるのを見よ。女神の足を染める紅粉となるのを見よ。母の唇に輝く微笑みとなるのを見よ。コムラム・ビームよ、母なる大地女神に命を捧ぐ。

★「ラーマ、次の保安監督官はお前だ。ほら見ろ。移送は2日後」…「ビームの絞首刑は2日後。執行場所を刑務所から移す。ヤムナー川へ」「何を言い出す?なぜ刑場を変える?」「ビームを逃がす」「ラーマ、なぜビームを?」「マッリをビームに返してやるためだ」「何のことだ?正気になれ」「もう何の迷いも感じない。祖国解放のため誰しも払うべき犠牲はあると考え私はビームを白人に渡した。だか今日分かった。ビームは殉死者ではない。火山だ。銃のない革命を知った。奴の歌は民衆を動かした」「いいのか?お前は使命を背負い努力を続けた。あと一歩ではないか。この15年…」「25年かかろうとビームを犠牲にはしない。皆に武器を手渡すと父さんに約束した。ビームの感情は人々を武器に変えた。同じ感情を届ける」「よく考えろ。危険だぞ。事によれば命を失う」「望むところだ」

「この男は鞭で打たれても死を恐れませんでした」

「私に妙案が。刑務所でつるせば奴は民衆の英雄に。執行はヤムナー川で。人知れず死体を流せます」

★「あと数日の命なのに運動を。何のために?まだかなわぬ夢を見ています。死が目前に迫っても」「〝責務とは行為にある。その結果にあらず。行為の結果を動機とせず、結果に執着するな〟私は結果を求めない。飢えた我が血の最後の一滴まで責務に向かって突き進むのみ。装填、狙え。撃て」「なるほどな。せいぜい虚勢を張ってろ」

「これ以上とどまれない。真夜中に出発だ」「でもどこへ?隠れる場所がない」「心配するな。道は開ける」

★「誰が天然痘にかかった?」「いいえ、誰も。警察を追い払いたくて。人助けしろというのが許婚の口癖で。来て」

「聞こえてしまったの。子を飢えさせたら食べ物が気を悪くする」「何と礼をすれば。見ず知らずの者に手を差し伸べる…あんた名前は?」「私はシータ。南のほうから許婚に会いに」「その人は今どこに?」「デリーにいる。英国政府の警察で捜査官に。どうか心配しないで。警察官になったのは解放闘争を…」

「ラーマ、火の粉が上がろうと目的遂行のため突き進め。何があろうと目的を見失うな」

★「その人は武器を手に入れたの?」「もうすぐ手に入れるという時、あの人は親友を裏切って逮捕し英国政府に引き渡した。葛藤したみたい。手紙にあの人の悩みがつづられていた。そして親友を救う決心を。どんな結果も受け入れる覚悟で。親友を逃がしあの人は捕まった。政府からこんな手紙が届いたの。〝2日後、絞首刑に処す。遺体を回収するように〟」「俺はマッリを救ったが…その人は祖国を救おうと。俺は森で生まれ…無知だった。この手で殴りつけ親友を見殺しにしてしまった。シータ姫は王子を捜さない。王子が迎えに来てくれる。俺が必ず連れてくる。あんたは命の恩人。恩人のあんたに誓う。ラーマを連れ戻すことを」

「この全域が兵舎よ。牢は兵舎の端にある。気をつけて」

「兄貴、俺が間違ってた。大義のために戦っていたとは。俺はなぜ…」「どうしたビーム、誰に聞いた?」「シータが?会ったのか?」「目覚めさせてくれた。ラーマを連れ戻すと約束した。白人の根城を焼き払ってでも救い出す。行くぞ」

「英国の工場で英国の金属で製造し7つの海を渡った。1発の銃弾はインド人の命より尊い。無駄にしてなるものか。返してやれ、ビーム。奴の心臓の奥底に」

「ビーム、君のおかげで私は目覚め目的を果たせた。例に何が欲しい?」「読み書きを」〝水と森と大地を〟
幌舞さば緒

幌舞さば緒