このレビューはネタバレを含みます
話が逸れるけど例えば、自分が乗っていたロケット…というか進路が望んでいた理想とは程遠い場所に墜落したと思いきや、辿り着いてしまったその興味の湧かない世界で日々不運が続いてると思いきや…違うかもしれない。そこは自分が目を背け続けた反動により広がる景色だったりして。嫌がるわりには自分そっくりで、本当は現状の自分にピッタリな空間だったりして。そんな見方もできてしまう猿の惑星…寓話的でもあり、これぞ奇妙な物語。
台詞メモ
「どこなんだ？見当はつくか？」「地球から320光年離れた名もない惑星。オリオン座の星を周回している惑星だ。これで満足か？」「ベラトリックス星かな。それにしては白すぎる。テープを聞いてないから本当は分かってないんだろ。何があったんだ？着水なんて計画外だ。現在地よりも日時を知る必要がある」「かなり長い時間眠ったぞ。その分働くとしよう」
「ドッジ、土壌を調べろ。センサーは？」「ある」「放射線計測器は？」「あるよ」「拳銃が1丁、弾が20発、応急処置セット、カメラ、それから3日間は過ごせる水と食料もあるぞ」「1日の長さは？」「いい質問だな」「ランドン、おい、ランドン！強力しろよ」「スチュワートのことだが何が起こった？」「空気が漏れたんだろう」「悲しくないのか？」「今さら遅い。死んだのは1年前だ」「地球を離れて18ヶ月か。宇宙時間でな」「白髪があるぞ。だが2031歳にしては元気そうに見える。ハスラインの仮説が証明された。10年前後の誤差はあるが地球を離れて2000年だ。信じられんか？俺たちの知ってる世界はチリと消えたのさ」「証明しろ。地球に戻れないなら仮説のままだ」「事実は素直に受け入れろ。楽になるぞ」「不毛の土壌だ。微量の炭水化物に全窒素は硝酸塩の中だ」「危険なイオン化は？」「ない」「そうか」「72時間以内に生物を見つけ出さないと」「食料が尽きる前にな」
「水の残量は？」「230ミリリットル。おかしいな。雷は鳴るのに雨は降らない。夜には曇る。月が見えないのに明るい」「せめて位置が分かれば」「またその話か？もう教えただろ」「分かったよ。いとおしい地球から300光年離れた場所だ。愛する人は20世紀も前に死んだ。帰れたとしても変人扱いされるだけさ」「もうそんな話はよせ」「事実は1つ、俺たちは今ここにいるってことだ」
「俺にも夢はある。君のとは違うがね。人間より優れた生物がいると信じてるんだ」
「この部屋は汚いわ」「博士、汚いのは獣たちです。くさいし病気持ちですよ。洗浄すべきだった」「不満があるみたいね」「私は単なる獣医ではない。ゼイウス博士に私の話は？」「したわ。彼はチンパンジーを見下してる」「だが割当制は廃止された。昇進したいんです」「私はただの動物心理学者だから権限はないわ」「でも必要な物は手に入れてる」「ゼイウス博士に貢献しているからよ。脳手術の基礎はここで生み出されてる。獣たちの脳を使ってね」「奴らはまだ汚い。噛まれれば感染する。押さえろ」
「また話せるフリをしてる」「彼は優秀だわ。話そうと努力してる」「ただマネてるだけです」
★「猿のマネ事とは面白い」「彼はあなたに話しかけています」「模倣の才能があるだけだ」「毛布を服代わりにするなんて普通じゃありません。器用さのテストをやらせてみましょう」「獣にか？」「ほら、指を動かしてます」「君のマネをしてるだけだ」「でも理解してるみたい」「人間に理解などできん。簡単な芸を覚えるので精一杯さ」「私はそうは思いません。これまでの…」「ジーラ博士、これは警告だ。実験的に脳手術を施すことには私も賛同している。だが、君の行動研究には感心しないね。獣から学べることがあるというのは実にバカバカしい考えだと思う。人間は厄介者だ。ジャングルの食料を食べ尽くし、我々の森へ移住し、作物を食い荒らす。早く絶滅させるべきだよ。猿の生き残りに関わる問題だ」
「コーネリアスはある仮説を立てたの」「たぶん間違ってる」「知能の低い霊長類である人間から猿が進化した説よ。禁制区域の中で記録に残っているよりも古い文明の跡を発見した」「裏づけが少ない」「そうかしら？」「ゼイウス博士たちに異説と言われた」「真実は異説ではないわ。テイラーの存在こそが証明になる。変種よ。進化前の霊長類と猿をつなぐ存在だわ」「怒りっぽいな」「〝俺はそんなんじゃない〟」「もし本当なら巻物の価値がなくなる」「もともとないのよ」
★「1人の変種ごときでなぜそこまでパニックになる？」「お前1人ではない。ランドンもいる」「確かに…」「1人いればたくさんの仲間がいるに決まっている。お前の巣はどこだテイラー。女どもはどこに？」「名前で呼んでくれて感謝するよ。ゼイウス博士、俺は自分が何者か知ってる。だが君たちは？どうしてこんなに歪んだ文明が生まれた？」「この文明は底辺にいるものにとっては歪んでるかもしれん。東側の砂漠は未踏の地だ。生物が生きられる環境ではない。テイラー、本当のことを言え。禁制区域の先にもジャングルはあるのか？」「俺は知らない」「同族を守ろうとしているならお前が犠牲となるぞ」「守る者などいない。俺が何をしたと言うんだ？」「存在が脅威なのだ。まるで歩く疫病だよ。お前が何者かは分かってる。6時間以内にすべて自白しろ。さもなければ手術するまでだ。看守！」「俺を切り刻んでもいい」「この獣を檻に戻せ」「俺を恐れてるんだろ。あんたはこの俺が怖くてたまらないんだ」
「助けてくれて感謝する。巻き込んで悪かった」「会った時から巻き込まれてるわ」
「なぜ顔の毛を剃ったの？」「俺の惑星ではヒゲは若者のものだからさ」「ヒゲだって？僕は流行には乗らない」「なぜだか…頭が悪そうに見える」
★「テイラーお願い、そんな扱い方はやめて」「なぜだ？」「屈辱的すぎるわ」「君たちが俺にしたことと同じだ。首輪まで付けて」「獣だと思っていたからだ」「今なら分かるだろ。コーネリアスは正しかった。先に人間が存在していた。文化も化学も彼らが先だ」「ならば答えろ。人間が優れていたならなぜ滅びた？」「疫病か大災害が原因だろう。この惑星を見る限り隕石の可能性もある」「でも確証がない」「彼にはある。君があの洞窟を見つけるずっと前からね。信条ではなく秘密を守ってたんだろ」「昔の書物で読んだんだ。立法者である最も優秀な猿が記した。コーネリアス、こっちへ。ポケットに紙が。この男に第29巻の6節を読んでやれ」「〝人間という獣は悪魔の手先だ。霊長類の中で人間だけが娯楽や欲望のために命を奪う。土地を奪うために兄弟を殺すのだ。人間を繁栄させるな。さもなければすべてが荒廃する。人間を遠ざけジャングルへと追い込め。人間は死をもたらす〟」「この考えを覆すものは洞窟から見つかっていない」
「30歳以上の大人のことは信用するな」
★「お前のような存在をずっと恐れていた。私と同じさ」「なぜあんたは俺のことが怖いんだ？どうして俺を嫌う？」「人間だからさ。お前の言うとおり人間のことは知っていた。証拠から察するに人間には知恵と愚かさがあったらしい。感情が脳を操り、自分を犠牲にしてでも戦いを行う生き物だった。そうだろ？」「洞窟に武器はなかった」「かつて禁制区域は楽園だった。だが、人間が砂漠にしてしまったのだ」「まだ理解できない。人間から猿に進化した惑星…答えはあるはずだ」「捜すのはよせ。知らないほうが幸せだ」
★「なぜ知識を増やし未来に役立てないのです？」「私は未来を守ったのだ」「彼は何を見つけるのです？」「自分の運命さ」
