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TAR/ターのrobinのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

トップまで上り詰めた指揮者の成功と転落。

ここまで長い映画は正直久しぶりで、休憩を取りながら鑑賞。
ケイト・ブランシェットの宝塚の男役張りの身のこなしが美しい。

一般的な映画では、主人公は良い人物か、せめて共感できる部分があるものだけれど、リディアは傲慢で自己中心的で関わった自分以外の人の人生を破滅に追い込む悪人にしか見えなくなっていく。
ちょっとした ”?” と感じたところをスルーすると、リディアの本質を見誤ってしまう。
例えば、恐らく抗不安薬?を妻に与えるときのウソとか。自分も薬に依存しているのに、妻の服薬を隠れ蓑に秘書も妻も騙している。

クリスタとの関係は推測するしかないけれど、"クリスタ、リスク"とメモしたことから考えると、かつての愛人を自分のキャリアのリスクになることを恐れて、クラッシック音楽業界から締め出したのだろう。クリスタの描かれ方がストーカーじみていることで誤解を生む。
気に入った若いチェリストとも、ネンゴロになろうとしていたに違いない。忘れ物を渡そうと追いかけていったときに転んだのに、暴漢に襲われたと嘘をついたのは、すべてを説明すればボロが出るからだろう。

彼女は、彼女を取り巻く人々をないがしろにし過ぎ。
あれだけ献身的に尽くしてきた秘書ににも気を持たせるようなことを言っておいて、土壇場で採用しなかったことで、復讐されても仕方ない。

すべてを失って、実家にある昔何度も見たであろう、古いビデオテープを見ながら原点に返って、また次のステージに進んでいく。
一見すると栄枯盛衰の物語のようで、実は自分にふさわしい場所にたどり着くまでの物語ということか。
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