メザシのユージ

胸騒ぎのメザシのユージのネタバレレビュー・内容・結末

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

2024/05/16
吉祥寺
(26本目)
小さなスクリーンだったけど、ほぼ満席。

旅先で知り合った家族の家に、奥さんと娘と遊び行く、ただそれだけの事なのに、ここまで恐ろしい話にできるクリスチャン・タフドルップ監督のセンス。
オランダで平原の中に家族がポツンといる感じなど、孤独感や誰もいない感が強く感じられる場面が多かった。映像がとても美しくて、それも余計に怖い。
ホラー映画だけど、畳みかけるようなショックシーンがあるわけじゃ無い、ただただ「イヤだなぁ」といった空気がずっと漂う、そんな怖さ。

知り合った相手がどんな人かは、短い時間ではわからない。「この人とは、何か合わないなぁ」と思っても初対面だからとか、相手に対して失礼だとかそう考えているうちに、いつの間にかのっぴきならない状態になってしまうかもしれない。

この人とは合わないと直感的に思ったら、多分それは間違ってない。あと自分の意思を曲げてはいけない瞬間は絶対にある。それも忘れてはいけない!

イヤな気持ちにどっぷり浸かりたい時にオススメの一本。ハリウッドリメイク版も楽しみ。


「旅に行く事」を相談したとき「なんのリスクもない」と友達にいわれる。何度も止めるチャンスはあった。ウサギも無視して逃げれば良かった。
食事をカードで奢らせる、車の中で大音量で音楽かける。
娘がウサギを忘れたと行って取りに行く時点でもう終わってた。まさか椅子の下にあるし。
ベジタリアンなのに肉を食わされた、踊ってるときにベタベタしすぎ。胸の中のモヤモヤをぶつけてあと1日楽しく過ごせるかと思ったら。奥さん同士は庭仕事、切れないハサミは舌を切るハサミだった。夫同士は、心の中のストレスを吐き出す場所が、夫婦最期の場所。

お父さんが「良い人でいるのに疲れた」という場面が印象的、悪魔は人の弱い心につけこむ。

子供が踊ってるのに怒ってお土産のカップを投げつける。
奥さんがシャワー浴びてたら歯磨きをしにやってくる。

旅先で知り合った家族を連れてきては子供を入れ替えてたことに気づいた時には時すでに遅し。夫同士で叫んだ所で、娘を攫われて裸の状態で岩を投げつけられて死ぬ。死んでる二人は宗教画のようだった。

「胸騒ぎ」ちょっとこれは、今の気持ちを吐き出さないと精神衛生上よくないって事で、ネタバレ全開なので映画見てから読んでね。

デンマーク人夫婦のビャアンとルイーセ、娘のアウネスは、休暇で訪れたイタリアでオランダ人夫婦のパトリックとカリン、その息子のアーベルと出会って意気投合し、楽しい時間を過ごす。数週間後、ビャアンたちはパトリック夫婦に招かれ、人里離れた彼らの家で週末を過ごすのだが、、、、

もう、旅先でこのオランダ人夫婦と出会った時点でデンマーク人夫婦のビャアンとルイーセ、娘のアウネスはの三人は「人生、詰んだ」って事だったのか?いや、最初に家に遊びに行ったとき妻のルイーセが「私はベジタリアンだ」と言ってるのにオランダ人の夫のパトリックが肉を食べさせた。もうこの時点で帰れば良かったのに!この映画は何度も何度もオランダ人夫婦の元から「逃げるチャンス」はあった。そのチャンスをみすみす逃してる話でもある。

最大の逃げるチャンスに、車の中で娘のアウネスが「大切なウサギのぬいぐるみが無い」と言いだして、それを取りに戻る時はもうほんと辛かった、、、絶対見つかると思ったから。

この映画が意地悪なのは、このウサギのぬいぐるみを取りに戻った事がきっかけで、夫婦がお互い本心を語りあい一瞬仲良くなる。妻同士は庭仕事(この切れないハサミがまさかの舌切りハサミ)、夫達は買い物へ。主人公のビャアンはこの時、日々感じてるストレスをパトリックに話す(この場所が死場所になるとも知らずに)。

でもやっぱり「この人はなんか変だ」って直感には従った方が良い。自分の考え過ぎかなと思ってるうちに、どんどん相手が侵食してくる。

最後は娘のアウネスは舌を切られて連れ去られ、夫婦は全裸で岩を投げられて死ぬ。こんな悲惨なラストは見たこと無い。二人に何か罪があったのだろうか??多分、不幸は誰の元にも平等にやってくるってことなのかもしれないけど、、、ただ、最後倒れてる二人を上から撮っている画は宗教画のようで美しくもあった。



妻のルイーセがシャワー浴びてるときに、姿は見えないがパトリックが歯磨きしてる音が、シャワー室の入り口のすぐそこまで迫ってくるとか、