Moeka

ザ・ホエールのMoekaのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

いちばん太りそうな揚げたチキンを選ぶ。白米とか、ピザとか。普段毛嫌いしてる炭水化物。全部大っ嫌い。飽きたらず、マヨネーズとか、ソースをかける。手づかみで獣みたいに食べる。終わると、恥でいっぱいになり、脂肪で醜くなった身体に近づいた自らを思って、自分のせいなのに絶望する。

食事は、自分を罰するための儀式のようでもある。辱め貶めるための儀式のようでもある。いつのまにか癖になってやめられなくなっている。

昔、最愛の人は自分の体を美しいと言ってくれた。彼はやせ細り、死んだ。いま、自分の体は人に「悍ましいか」と確認するように、尋ねるまでになった。
彼のことは救えないだろう。なにが正解かというのは、分からない。
娘の悲しみ。娘は悲しみ、慄き続けるだろう。いちばん気の毒なのは彼女だ。自分の父の恋愛など、10代の娘にはどうでもいい。「あんたは私とママを捨てた。」

妻の悲しみ。人を好きになるのは、時に誰かを傷つけるが、私だってもし夫が実は同性愛者で、年下の男の人との人生を突如選んだら.....やりきれないね。

あんなに大きくなってしまう前に、リハビリの施設に行けたら、、、。
素晴らしい看護師の友人だっているし、あのやりとりを見ているに、前から死は避けられた気がするが。
ただ、彼にとって救いはそれしかなかったのだと、、、、誰が責めることができるだろうか。
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