Moeka

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワーのMoekaのレビュー・感想・評価

4.1
もちろん、えーそんなことないんじゃない?と突っ込みたくなるところはある。『マンディンゴ』の言及とかは、自分はあえてフライシャーは既存のMale Gazeを逆手にとってあのような撮り方をしてて、それはあの映画が持つ時限爆弾的なそれに効果をもたらしてるのでは、って思う。強烈な白人至上主義批判映画だし。

本作は主に「映画にある性差別的な言語」を読み解くドキュメンタリーだが、
最近の日本の報道、りりちゃんとか、タイムリーな新宿での死傷事件とか、ちょっと昔の桶川ストーカー事件とかもそうだが
まず報道が男性目線、男性に寄り添った目線そのものだといっそう体感して怖くなった。他の事件もそう。犯罪グループに1人でも女がいたりすると「女らがなになに」と書かれるし、男子高校生だけだと「高校生ら」と書かれたりする。「男のお気持ち」に左右され、そういう時だけ女を主語にされる、それが女性差別でなくてなんなのか。
こういった問題は、今までも、今も、沢山の市井の女たちも声をあげている。そして、無視される。「フェミさんは怒らないの?笑」と言われる。アホか。おめーらが聞いてないだけなんだよ。女と男の見ている世界が違うことを知る努力をしろ。
と、思わず怒りが進行してしまったが、この映画に出てくる女性たちが真っ直ぐカメラに語るように、これからの世の中を生きる子供たち、若い女性たちが少しでも嫌な思いをしなくてすむように、黙らずに声を上げ続けようと鼓舞される作品。
映画はさまざまな物語があり、さまざまな表現があるべきだ。だが、それがどのように実生活、社会に影響しているか、我々も重々知らなければならない。
Moeka

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