ユースケ

フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

第二次世界大戦末期の1945年、不死身の兵士を作り出す秘密兵器フランケンシュタインの怪物の心臓がドイツから日本に託された。しかし、同年の8月6日、実験中の広島に原爆が投下され、計画は水泡に帰した。それから15年後の1960年、広島で放射能に強い怪童が発見される。それは原爆の放射能によってフランケンシュタインの怪物の心臓が変異した姿であった…
第二次世界大戦と【フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス】を絡めたオープニングで掴みはOK。しかも、フランケンシュタインの怪物が巨大化し、地底怪獣バラゴンと怪獣プロレスを披露したら面白くないわけがありません。

みどころは、もちろん、本作が公開された翌年の1966年に放送が開始された【ウルトラマン】のプロトタイプとしか思えないフランケンシュタインの怪物とバラゴンの戦いと言いたいところなのですが、フランケンシュタインの怪物を研究対象としか見ていないヒューマニズムの欠片もないサイコパスを演じた高島忠夫に食われてしまいました。
フランケンシュタインの怪物の動物園での飼育を提案されると「彼は人間ですよ」とまともな事を言ったかと思えば、フランケンシュタインの怪物の真偽を確認するために手足を切断して再生するか確認したいと提案し、もしも手足を切断して再生しなかったらどうすんのと水野久美に反対されると「どうせ彼は人間じゃないんです」と言い、フランケンシュタインの怪物の動物園での飼育を提案された時に「彼は人間ですよ」と言ったじゃんと水野久美に揚げ足を取られると「まともな人間じゃない。造られた人間です」と言い、挙げ句の果てには「どうせ殺される運命にあるんです。心臓さえ傷つかずに残せるならそれがフランケンシュタインの生命を救う唯一の方法じゃないですか?」と滅茶苦茶な事を言い出す彼はフランケンシュタインの怪物よりも怪物です。ヘタクソな目潰し弾の投げ方も必見。
フランケンシュタインの怪物は人間だと擁護するくせに雨の中で車に轢かれたフランケンシュタインの怪物を助けずに窓からパンをぶん投げるコケシが大好きな水野久美もなかなかのサイコパスだと思いました。

今回はフランケンシュタインの怪物がバラゴンを倒した後に大ダコが出現し、湖底へ引き摺り込まれる大ダコ追加バージョンを鑑賞しました。展開が唐突で呆気にとられましたが、フランケンシュタインの怪物が地割れに飲み込まれるオリジナルバージョンも同じようなものなので、まぁ、いいでしょう。
それにしても、猪を捕まえるために掘った穴に戦車が落ちて悔しがるフランケンシュタインの怪物が可愛かったなぁ。

フランケンシュタインの怪物が思いを寄せる水野久美はもちろん、原爆症で余命僅かな女の子を演じた沢井桂子も、バラゴンに襲われる赤いカチューシャの女の子を演じた高橋紀子も、要チェックです。

ちなみに、我らが土屋嘉男はフランケンシュタインの怪物の心臓を受け取り、地底怪獣バラゴンを発見し、「金と暇ができたらまたやって来ます」と爽やかに去って行く天下りした日本兵を、Mr.父ちゃん坊やこと加藤春哉と狂鬼人間こと大村千吉はフランケンシュタインの怪人を怒らせるテレビ局のディレクターと照明係を、吸血植物ケロニアこと桐野洋雄、海底軍艦・轟天号の艦長・神宮司八郎こと田崎潤、ダイヤモンド・キックこと伊藤久哉、真面目なイケメンに戻った佐原健二は警察関係者を演じております。
高島忠夫と水野久美と共にフランケンシュタインの怪物を追うニック・アダムスの日本語が流暢だし、声が渋いと思っていたら納谷悟朗が中の人をやっておりました。

また、地底怪獣バラゴンは【ウルトラQ】の地底怪獣パゴス→【ウルトラマン】の透明怪獣ネロンガ→地底怪獣マグラー→ウラン怪獣ガボラに改造されました。

高島忠夫、土屋嘉男、佐原健二、志村喬、水野久美、沢井桂子、高橋紀子