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トリとロキタのnekokatzのレビュー・感想・評価

トリとロキタ(2022年製作の映画)
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ダルデンヌ兄弟の新作で、なかなかの出来。劇映画としての装飾を極力省いた分、力がある。
ベルギーのリエージュが舞台。西アフリカから密入国した弟トリと姉ロキタの姉弟が描かれる。

トップシーンは、ロキタが難民認定のため係官から質問を受けるが、上手く答えられずパニック発作になって…という描写。弟トリは既に難民認定がされている。
実はこの二人、姉弟ではなく出身国も別。どうやら密航船の中で知り合ったらしい…と見えてくる。

二人は保護施設で生活しつつ、ロキタは母国に仕送りするため、大麻の売人の下働きをする。だが稼いだ金は密航業者に巻き上げられ、仕方なく大麻栽培工場で三ヶ月働くことに…という流れ。主演の二人は役者ではなく素人。劇伴もなく、とても素っ気ないが、その分ラストは怖い。

劇中の大麻プラント内は、換気ダクトのお化けみたいな構造で結構面白い。
信頼できるのはお互いだけ、という寄る辺ない二人は本当に切ないのだが、日本でも難民問題や技能修習生など、他人事ではないのだよね。
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