ストリップ劇場の支配人に任命された中年男（山城新伍）が、踊り子とヒモが織りなす人生模様に取り込まれていく。林征二・著「ヒモ」を原作に取っている、艶笑系の人情喜劇映画。池玲子にとって最後の主演作となる。
社会的底辺部の悲喜交交を描きながら、人間讃歌を説いていくスタイル。女性陣が威風堂々としているところが、森崎東作品の真骨頂。性産業に頼らざるを得なくなった人々の「Let it go!（流れに沿って進むしかない）」が、エネルギッシュに描写されている。
池玲子が姉御肌のイイ女ぶりを発揮すると、芹明香が素のままにしか見えない酔いどれ演技を披露。愛憎劇の狂言回しとなる警察官（川谷拓三）、養育費を稼ごうとする実直な聾唖者（下条アトム）、お局様の踊り子（絵沢萌子）など、見どころは枚挙に暇がない。
物語に警視庁とのイタチごっこが盛り込まれており、アイデンティティを守ろうとする芹明香が、獅子奮迅のジタバタ劇を魅せてくれる。まさに「死中に活を求める」を、笑いと涙で表現し尽くしている、不朽の傑作。
※追加情報
結婚スキャンダルで干されていた「ヒデとロザンナ」のヒデが主役を演じる予定だった。しかし、クランクイン寸前で逃げ出してしまったため、山城新伍が代役を務めることになった。
