フラニー

ファルコン・レイクのフラニーのレビュー・感想・評価

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)
4.4
まずは、期待以上に良かった!trailerがいかにもなので、危うく見逃すところだった。

間もなく14歳を向かえる少年バスチアンは、家族(母、父、小さな弟)と共にフランスから、カナダはケベックの母の友人宅にバカンスに来ている。
時々訪れているようだ。
久しぶりに会った娘のクロエは16歳になり、すっかり大人びているし、バスチアン自身もたぶん、思春期に入り始めた、大人になりきれないけど、子ども扱いされたくない、なんとも揺れるお年頃。そしてお互いの成長ぶりに彼ら自身驚き、戸惑っているはず。

最初は母に言われていやいや客であるバスチアンと弟を湖に連れていくが、
だんだん距離が縮まってゆく。

この湖には幽霊がいると思っているクロエ、そう言いながら湖にとても惹かれている。というか、死に惹かれているようだ。バスチアンは溺れた経験からどうしても泳ぐ気にはならない。
地元の友達の中でもどうやら独特の存在のクロエは、元彼とも嫌な思い出があり、バスチアンには心の内を話すようになる。
バスチアンはどこかでクロエを守ろうと言う気持ちと、純粋な少年らしい嬉しさとを隠しきれない。
2人はかけがえない夏をすごしてゆく…

クロエに言われるがままに呑んだワイン、彼女の男友だちたちから教えられたタバコ、どちらも思春期の自分を思い出した。(全て吐いたよね)
性の描き方もすごくいい。興味はあるが、まだ愛を知らないあの感じ!すごく可愛くて懐かしい甘さを思い出させられる。

この湖の冷たさと、汗ばんだ体に張り付くような湖畔の草のやわらかな輝き、そして家の中の光と闇と生活感。
16mmフィルムでの撮影だそうで、ノスタルジックな雰囲気がでていて、とてもいい、とても好き。

クロエが湖には幽霊がいるというのを、彼女に気のあるカナダ人の男の子が、それはネットにかいてあるのか?勝手に作り上げたのか?となじるシーンで、
クロエが「ネットにかいてあることがすべてな訳?」と答えるシーンが爽快。
そこからどんどんバスチアンの良さに気づいていくクロエだったのに…

ラストは…もう脳内いろいろなパターンが渦巻いた。こんなふうに思わせるってすごいよなぁ。

バスチアン、時々女の子に間違えてしまうような繊細で美しい男の子。
なんとあのルイ・ガレルの『パリの恋人たち』に出ていためちゃくちゃかわいい男の子だった!!この先も楽しみだ…。ブノワ・マジメルみたいになっちゃうかなー
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