正直なところ、不気味な笑顔になったたくさんの人々から追いかけられる系かと勝手に思ってたので、思いのほか全うなホラー的ストーリーテリングで、コレはこれで面白かったというべきか。
この作品の恐怖の“根源”が対象者“のみ”をジワジワと(精神的に)追い詰めてくるという設定や理由においては、わりと明確なルールに基づいており、やや曖昧なところもあるが、極端な違和感はあまりない(方法がとても非効率と感じるが、そういう事ではないハズ)。
主人公が精神科医(カウンセラー)なわりには、自分に起こっている状況を結構あっさり受け入れる(非現実的な現象に対してあまり分析的に否定しないなぁと)辺りには、もう少し“段階的”に「そんな人でも受け容れるしかない」見せ方か演出は欲しかったような気もする。
とはいえ、ひょっとしたら“自分にも起こり得るかも”というギリギリラインの“気の病み”的な恐怖も正統派だし、エンタメとしての映像効果や演出などなかなか楽しめた。特に個人的には音楽が良く、場所によってはやや過剰な煽り方をしてくるあたりも、何となく『サスペリア』を観ているような賑やかさ(？)に顔が思わず“ニヤけて”しまった。
最後は結局そんな都合良く終わらせ……ないクライマックスは、“精神系(この言い方が適切かはわかりませんが)”の設定が上手く効いてる、ナイスなひっくり返し方で「だよね〜!!」と思わず声に出しそうになりました。良いです。
