はる

映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)のはるのレビュー・感想・評価

3.0
ドラえもーーーーん!!!


ドラえもんというコンテンツの大きな魅力のひとつは、主人公であるのび太がちょっとダメダメなところです。誰もがのび太のぐうたらな所、悪巧みをしたり苦手なものがあったりするところ、皆にあって共感できるんですよね。それでいて、読み手や鑑賞者が、のび太ってほんと仕方ないな〜って、ちょい大人目線になれちゃうところ。

そして、大事なところで活躍し、主人公として優しく勇敢な心を持っているところ。ダメだなぁって思われながら、のび太の勇気やあたたかさを、みんな尊敬してるんですよね。

そんなのび太が揺るがない主人公として存在できる、いつもの仲間が必ず冒険に加わり活躍できる、それがドラえもんという作品の素晴らしさだとおもいます。

本作は、雲の上にあるユートピアが舞台でしたが。。。個人があるがままで良い理由、完璧じゃなくて良い理由を、理論的に台詞で丁寧に説明してくれるんですが、
理論と状況描写をここまで積み重ねないと証明できないのか、と少し切なくなってしまいました。

理論って、突破されたらそこで終わりなんですよね。その分、心の機微や感情の起伏は、論理的ではないので、いざという場面では強いのです。しずかちゃんも、ときどき理屈に合わないことをするのが人間だ、と話してますしね。

だからこそ、自分が自分で良い理由くらい、もっと感情に訴えかけるような描写で、表現してほしかったな、と思ってしまいました。

多分脚本担当の方が、理論派な方だったのでしょう。

のび太は完璧じゃないからのび太なんですよね。のび太が完璧なら、多分ドラえもんは未来から来ないはずだし。完璧じゃない存在だから始まるストーリーや、ドラマって素敵だなって感じました。
はる

はる